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FM八ヶ岳で放送

FM八ヶ岳で放送

エフエム八ヶ岳/FM82.2Mhzという非営利活動法人(NPO法人)が運営する 山梨県北杜市を主な対象エリアとしたコミュニティ放送局があります。この放送局の番組の中に以下のコーナーがあり、八ヶ岳動物病院も協力する事になりました。

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エフエム八ヶ岳/FM82.2Mhz

◆ペット日和◆ 
   ペットに関する楽しい話題とお知らせを織り込んだ情報番組です。
   毎週土曜日 午前11時30分~
   日曜日午前11時30分~
   ペットと一緒にあなたもぜひ参加してください。
   お友達の輪が広がればあなたもペットもカフェデビュー!

 ▽獣医さん大好き! 
         北杜市内4つの動物病院の先生方が交代で専門的なアドバイスや楽しいお話をお届けします。
         - 協力 -
         にらさき動物病院 ・ おおいずみ動物病院
         長坂インター動物病院 ・ 八ヶ岳動物病院

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当院の院長が、このコーナーでお話させていただきました。
お聴き漏らしになった方のご要望にお応えしてここに掲載しました。

●今回は猫ちゃんの呼吸が悪い時についてのお話

 皆さんこんにちは、八ヶ岳動物病院の浜田です。今日は呼吸状態が悪い猫ちゃんのお話です。

 最近呼吸状態が悪い猫ちゃんが続いたのですが、呼吸が悪い猫ちゃんが来院するととても緊張します。重症の場合が多いからです。

 猫ちゃんの呼吸が悪くなる原因はたくさんあります。
まず、病気でなくても緊張で呼吸が早くなることがあります。ひどい場合、過呼吸のようになることもあります。家ではどうだったか比較することでわかることもありますが、病気かどうかレントゲンを撮ることもあります。

 病気としては、まず肺や気管の病気があります。肺炎や肺の腫瘍、また気管支炎や気管が狭くなる病気などです。猫の気管支炎は猫喘息とも言われていて発作のような咳をします。また肺炎でも咳をします。

 肺の腫瘍は、悪くなるまで症状を出さないことが多く、肺原発の腫瘍や乳腺腫瘍など他の腫瘍からの転移があります。

 また、心臓の病気、猫では心筋症という病気が多いのですが、この病気でも肺水腫といって肺に水が溜まったり、胸水といって胸に水が溜まる状態でも呼吸が悪くなります。

 その他、胸腔という胸に水が溜まったり、胸膜炎といって胸に膿が溜まったりすることでも呼吸が悪くなります。溜まった水や膿が圧迫して肺が膨らまなくなるのです。この原因には先ほどの心筋症や喧嘩の傷などから感染することがあります。また、伝染性腹膜炎というほとんど死んでしまう怖い伝染病でも黄色い特徴的な胸水がたまります。

 その他、喉頭という喉の奥にできものができて呼吸が悪くなった子が最近来ました。

 呼吸の悪い子が来たときに、私たちはまず、レントゲンで心臓や肺、気管、喉の奥、そして胸水があるかなどを調べたいのですが十分気をつけなければなりません。

 呼吸が悪いときは酸素を十分に取り入れることができなくなっています。レントゲンはうつ伏せや横にして撮るのですが、この時無理に横にすると下にした肺がつぶれて状態が悪化して死んでしまうこともあります。まず酸素吸入をして状態を安定させてから検査をすることも多いです。

 治療は病気によって違ってきます。診断が大事ですが、検査もできず困難な場合もあります。

 胸に水や膿が溜まっている場合、それを抜くことが第一の治療になります。これは肋骨の間から胸に針を刺して行います。その後原因となった病気の治療をします。

 肺炎や気管支、喉の炎症などの場合は抗生剤を使います。喘息ではステロイドや気管拡張剤などを使います。

 心臓が悪い場合、胸に水が溜まっていれば抜き、肺水腫という肺に水が溜まる状態では利尿剤を使います。さらに強心剤なども使います。

 このように猫ちゃんの呼吸が悪いときは重症が多いですが、少し前からその兆候、たとえば少し呼吸が早いとか咳などが出ていることがあります。それらを早く見つけて、呼吸の状態が少しでも悪い場合は、可能なら呼吸や咳の様子をスマホなどで動画に撮って、早めに動物病院で診てもらいましょう。

●今回はワンちゃんを飼う前に考えることについてのお話

 皆さんこんにちは、八ヶ岳動物病院の浜田です。今日は、ワンちゃんを飼う前に考えることについてのお話です。

 皆さんはワンちゃんを飼い始める時、犬種や性別、そして入手方法などどのように決めるでしょうか?ペットショップで展示されている子犬を見て、目が合った、可愛いなどと安易に決めていないでしょうか? 

 誰とでも見ていれば目は合います。また、子犬の頃はみんなかわいいものです。

 私たちは獣医なので、様々な種類のワンちゃんを診ます。そして、どの種類のワンちゃんにはどんな病気が多いか、とかこの種類のワンちゃんはどんな性質かということを、おおよそわかっています。

 たとえば、T.プードルなどの人気犬種は、病気が多いです。人気のため数多く繁殖させるので遺伝的な病気が増えます。また、日本で人気の小型犬は心臓の弁が異常になる心臓弁膜症がすごく多いです。人でこんなに心臓病があったら大変なので対策を考えるでしょう。

 一時圧倒的人気だったM.ダックスなどは椎間板ヘルニアをはじめ、ダックスの何々という病名がいくつもあるほど病気が多いです。

 愛らしい姿、表情から今人気のバグやフレンチブルドッグ、ボストンテリア、これらの犬は短頭種と言われ、鼻や喉などの構造が異常です。生まれつき病気といってもいいでしょう。暑い夏場など少しのことで呼吸困難で死んでしまったり、麻酔時の事故も多発しています。

 また、ワンちゃんを飼ったはいいけど、人を噛んだり、言うことをきかなくて持て余して不幸になっている場合も結構あります。

 柴犬も人気ですが、日本犬は一歩間違うと飼い主さんも咬む狂暴犬になってしまうことも少なくありません。また、コーギーやボーダーコリーなど牧羊犬は十分な運動が必要ですが、狂暴犬になることもしばしばです。

 安易にシェパードを飼っている人もいますが誰も触れない犬になることもあります。

 今ではペットショップで買うときに保険に入っていることが多いです。はじめから病気を想定しているのです。

 ワンちゃんを飼う人はこれらのことを少しは知っているのでしょうか?

 一方で、病気とはほとんど縁がなく獣医というと一年に一回の狂犬病注射、というワンちゃんもたくさんいます。ペットショップで買ったりせず、もらった、とか保護犬などが多いです。もちろん例外はあります。

 最近強く思うことは、ワンちゃんを飼うにあたって、もっとワンちゃんの病気や性質をよく知ってから飼ってほしいです。ペットショップでそんな説明をすると売れなくなるのでしないでしょう。

 だからワンちゃんの病気や性質をよく知っている獣医がワンちゃんを飼う前に相談できるしくみがあればいいと思います。

 また、犬をお金で買うのでなく、保護犬という選択肢もあることを強く言いたいです。

 それが不幸なワンちゃんを減らすことにもなります。

 15年くらい一緒に生活する家族、もっとよく考えてから飼ってほしいと強く思います。

●今回は犬と猫のコロナウイルス感染症のお話

 皆さんこんにちは、八ヶ岳動物病院の浜田です。今日は、犬や猫のコロナウイルス感染症についてのお話です。 

 新型コロナウイルス感染症もいまだ終息せず、先が見通せない状況ですが、ワンちゃん猫ちゃんにも、昔からコロナウイルス感染症はあります。

 獣医である私は、初め新型コロナウイルス感染症が、肺炎と聞いてアレっと思ったのですが、ワンちゃん猫ちゃんはコロナウイルス感染症で主に下痢などの消化器症状を示します。新型コロナではないですよ。

 ワンちゃんのコロナウイルス感染症は主に下痢を起こしますが、症状はそれほど重くないことが多いです。実際にウイルス診断をすることがないので、詳しいことはわかりませんが、時々ワンちゃんの下痢が流行ったり、うつる下痢がそれだと思います。

 あまり重症になることはなく、一般的な対症療法、つまり整腸剤の投与などで治ります。また、6種以上の犬用混合ワクチンにはコロナウイルス感染症が含まれています。

 猫ちゃんでもコロナウイルス感染症はあります。主に2つのタイプがあり、一つは一般的な腸炎を起こすタイプ。そしてもう一つは、腸炎を起こすウイルスが突然変異したウイルスによる伝染性腹膜炎、別名FIPとよばれる致死性の怖い病気のタイプがあります。

 猫ちゃんの伝染性腹膜炎は治癒率が低い怖い病気で、お腹や胸に腹水、胸水が溜まるタイプと全身の臓器に炎症が起こるタイプがあります。この病気の診断にはコロナウイルスのPCR検査を行うこともあります。

 このように、コロナウイルス感染症はワンちゃんではそれほど重くない下痢を起こし、猫ちゃんでは軽い下痢や、時に重篤な症状を起こす伝染性腹膜炎(FIP)を起こします。

 さて、新型コロナウイルスについてです。ワンちゃん猫ちゃんではどうなのでしょうか?

 今のところわかっているのは、ワンちゃんも猫ちゃんも新型コロナウイルスに感染はするようです。ただ、あまり重い症状は出さないようです。そして、ワンちゃん、猫ちゃんから人に感染したという報告はありません。

 また、日本では実際に動物病院でワンちゃん、猫ちゃんの新型コロナウイルス感染症を調べていません。詳しいことはわかっていないですが、アメリカなど多くの感染者が出ている国からもワンちゃん猫ちゃんの話題は出ていませんし、今のところそれほど心配することはないと思います。

 ただ、新型コロナウイルスに感染した飼い主さんの飼育しているワンちゃんや猫ちゃんは注意が必要かと思います。

 何より大事なのは人が感染しない、させないように気を付けることです。また、感染しても重症化しないように人が免疫力をつけることだと思います。早く新型コロナウイルス感染症が落ち着いて普通の生活がおくれるようになるといいですね。

●今回は犬と猫の不妊手術のお話

 皆さんこんにちは、八ヶ岳動物病院の浜田です。今日は犬猫の不妊手術のお話です。

 子犬や子猫を飼い始めて、ワクチンや寄生虫の予防などが済むと、次に考えるのは不妊手術です。
 不妊手術とは、繁殖することができないようにする手術のことで、雄では去勢手術、雌では避妊手術といいます。

 雄の去勢手術は、2つある精巣を摘出する手術のことで、猫ちゃんでは陰嚢つまりタマタマの袋を切開してそこから精巣を取り出します。ワンちゃんの場合は陰嚢より少し前のお腹の皮膚を切開してそこから精巣を取り出す手術です。このように去勢手術はお腹を開く開腹手術ではなく、皮膚を切開してそこから精巣を取り出す手術になります。

 ただ、最近ワンちゃんで精巣が外に出ないで、お腹の中や下腹部の皮下にある子も増えてきました。この場合、切開する部分が2か所になったり、開腹手術になることもあります。

 雌の避妊手術は、お腹を開く開腹手術で、子宮や卵巣を摘出する手術になります。獣医さんによって卵巣だけを摘出する場合と、子宮と卵巣両方摘出する場合があり、切開の大きさや手術時間も変わってきます。

 このような不妊手術をするメリット、デメリットについてお話します。
メリットというか目的ですが、雄では、縄張りにおしっこをひっかけるマーキング、スプレー行動の抑制になり、縄張り意識も少なくなります。縄張り意識による喧嘩の抑制にもなります。病気の面からは、精巣の腫瘍などの病気の予防、また性ホルモンによって起こる前立腺の病気や肛門周囲の腫瘍、会陰ヘルニアなどの病気の予防になります。

 雌の場合は、望まない妊娠をなくす、発情による鳴き声や出血などの煩わしさがなくなることがあります。病気の面からは、子宮蓄膿症や卵巣腫瘍など子宮卵巣疾患の予防になります。また、乳腺腫瘍の予防になります。
乳腺腫瘍に関しては、なるべく早い時期の手術が発生予防になるというデータが出ています。

 デメリットとしては、手術後太りやすくなること、そして麻酔、手術のリスクがあります。
最近は早期不妊手術も行われているようですが、一般的には、雄で8か月くらいから、雌で6か月くらいから手術を行う場合が多いです。

 手術の費用や麻酔、術式、術後の入院などはそれぞれの病院によって違いますので主治医とよく相談して手術を考えましょう。

●今回は野良猫ちゃんの不妊手術のお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。今日は日が長くなり繁殖シーズンなったこの時期に多い野良猫ちゃんの不妊手術についてのお話です。

 まず、野良猫ちゃんをどうやって捕まえるか?です。あまりいないですが、少し触れるとか抱っこできる子なら何とかケージやネットなどに入れることができるかもしれません。猫ちゃんを捕まえるときにはくれぐれも気を付けて下さい。いざとなると野生の本能で咬みついたり引っかいたりします。実際に捕まえる時に怪我をされた方も結構います。

ひっかき傷はともかく、猫に噛まれると結構腫れて、ひどいときには化膿して治療に通わなくてはならなくなります。厚い皮手袋をするのがお勧めですが、思うように手や指が動かないのが難点です。

 ネットで捕まえても今度はそれをケージやキャリーに移さなければなりません。猫ちゃんが慣れていないときは、ネットなどで捕まえるのはまず無理です。その場合、まずは食事を与えて、近くで食べるようにします。今度は食事をケージの中で食べるように徐々に慣らしていきます。そして食べに入った時に扉を閉めるような仕掛けを工夫して捕獲します。実際にこのように捕まえた方もおられますが、これをやるには時間と忍耐が必要です。

 もう一つの方法は捕獲ケージを使うことです。これは細長い金属製のケージで、奥の方に食餌を入れて、猫ちゃんが奥の板を踏むと入り口が閉まるようになっているものや、ぶらさがった食餌に触れると入り口が閉まるようになっているものがあります。うちの病院でも貸出していますが、これを使うようになって捕獲できる割合がずっと増えました。ただ、一度失敗するとなかなか捕まらなくなってしまいます。

 さて猫ちゃんが捕まったら病院へ連れていき手術です。ここからは私たちの仕事ですが、まず麻酔をかけなければなりません。初めに鎮静薬を筋肉注射します。この段階で入っているケージによっては一仕事です。ケージからネットなどに移すこともありますが大暴れして逃げられることもあります。

 ネットや格子状のケージに入っていると注射はしやすいです。無事に鎮静剤を注射すると今度は点滴を入れて、気管にチューブを入れて吸入麻酔薬を使って全身麻酔に入ります。

 ここでも普通の猫ちゃんの手術と違います。まず、麻酔をかけるまで雄か雌かわからないことも多いです。さらに雌の場合妊娠してお腹が大きいこともたびたびあり、あまり大きいと母体にも無理がかかります。さらに、麻酔をかけて初めて不妊手術がすでに行われていることがわかる場合もあります。

 さらに、とても汚い子や病気を持っている子もいます。中には、ノミやシラミがいて、手術部位を歩いていることもあります。お尻から寄生虫が出ていることもあります。そして、手術した野良猫ちゃんは、再び捕まえることは難しいので、縫合した皮膚の糸を抜糸できません。それで抜糸しないように吸収される糸で、結び目が外に出ないように縫わなくてはなりません。妊娠しているときなどは傷口も大きくなります。

 このように、野良猫ちゃんの不妊手術は普通の猫ちゃんよりもはるかに大変なのです。

 今では地域猫といって、野良猫ちゃんたちに食餌をあげながら、捕まえてみんな不妊手術を受けさせて地域で見守っていくという活動も行われています。これには、行政やボランティア団体、獣医さんたちが一緒になって活動しています。

 この地域ではそのような活動はありませんが、くれぐれも安易に野良猫ちゃんに食餌をあげるのはやめましょう。もし食餌をあげるなら責任をもって飼いましょう。そして不妊手術を受けさせましょう。

●今回はペットの健康診断のお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。暑かった夏もいつの間にか終わり10月に入り、いい季節になってきました。

 ところで10月13日は何の日だったかわかりますか?語呂合わせでじゅう(獣)い(医)さんの日が正解です。この獣医さんの日を「ペットの健康診断の日」として定め、ワンちゃん猫ちゃんの健康診断を広めていこうという獣医さんのグループがあります。

 人の医療でも、一年に一度は健康診断を受けて病気になる前の段階から気を付けていこうというふうになってきています。実際に健康診断や人間ドッグで病気や異常が発見されて早期治療、食事指導などが行われています。

 ワンちゃん、猫ちゃんではどうでしょうか?時々、健康診断をお願いしますという飼い主さんもおられますが、まだまだ健康診断が一般化しているとはいえません。
何でこんなになるまでほっておいたのかというような症例も数多くあります。

 ワンちゃん、猫ちゃんは言葉が話せません。少し調子が悪くても症状を出さないことも多いです。また、毎日見ていると変化に気が付かないことも多いです。久しぶりに見たら、とても太っていたとか随分痩せたということはよくあります。

 昔と違い今ではペットも高齢化の時代です。高齢って何歳でしょうか?小型犬や猫ちゃんでは10歳くらいで人の還暦つまり60歳くらいになります。中型犬や大型犬では、10歳だと高齢のおじいさん、おばあさんです。

 だいたい、人もそうですが、還暦前後になると体のあちこちに「がた」がきます。この年齢を目安に一度健康診断をしてみてはどうでしょうか?

 この健康診断を広めていこうという獣医師のグループをteamHOPEといいます。予防獣医療、健康診断を広めようという趣旨に賛同する日本全国の獣医師の集まりです。

 TeamHOPEではペットが定期的な健康診断を受けることを推奨しています。

 健康診断って何をするのか、ということですが、まずは問診、最近疲れやすいとか食欲が落ちた、水を多く飲むようになったなどの聞き取りです。次に実際にペットの全身状態のチェック、これは見たり触ったり聴診して診察することです。そして検査です。

 検査はまず血液検査、そしてレントゲン検査さらに必要に応じて超音波検査や心電図検査なども行うのが一般的です。

 このように健康診断を実施することで、病気の早期発見や治療を行うことができます。

 高齢になると出てきやすい病気として、猫ちゃんでは慢性の腎臓病や甲状腺の病気。小型犬では心臓の弁膜症、白内障など目の病気、また、ワンちゃん猫ちゃんとも歯肉炎、歯周病などの口の病気、腫瘍や関節の病気などがあります。

 ワンちゃん、猫ちゃんたちが一日も長く健康でいられるように一度健康診断を受けてみましょう。また、たとえ病院で健康診断を受けなくても、定期的に体重をチェックしたり、体のあちこちを触ったり、よく観察して異常がないかを時々チェックしてみましょう。

●今回はリンパ腫のお話

 皆さんこんにちは。八ヶ岳動物病院の浜田です。今日は最近うちの病院で続いたリンパ腫のお話です。

 リンパ腫というと人ではあまり聞かない病気ですが、ワンちゃん、猫ちゃんでは比較的多い病気です。リンパ腫とは血液の中のリンパ球という白血球系の細胞が腫瘍化して増える病気です。骨髄由来のリンパ球が骨髄で腫瘍化して増殖するのをリンパ性白血病といい、人ではこちらの方がよく聞きますね。

 リンパ腫では、リンパ節、消化管、皮膚など骨髄以外の場所でリンパ球が増殖します。

 ワンちゃんでは、多中心型といって全身のリンパ節が腫れるタイプのリンパ腫が圧倒的に多く、その他では、腸などの消化管や胸腔、皮膚に病変ができるものなどがあります。

 猫ちゃんはワンちゃんよりもリンパ腫は多く、ワンちゃんと違ってリンパ節が腫れるタイプは少なく、消化管にできるものが多いです。その他では胸腔や鼻の中、腎臓や皮膚、脳などにできるものもあります。

 リンパ腫の診断ですが、そのリンパが増殖している部分に針をさして細胞をとって、それを染色して顕微鏡でみることで多くは診断できます。ただ、細胞を見ただけでは診断できないリンパ腫もあり、その場合リンパ節を切除したり臓器の一部を採材して病理検査を行うこともあります。

 リンパ腫と診断されたら、今はかなりリンパ腫の研究も進んでいるので、どのタイプになるのかの検査を進めていきます。タイプとは悪性の度合いや、腫瘍化しているリンパ球の種類、脾臓や肝臓にまで腫瘍細胞があるかなどの進み具合のことで、そのタイプによって、どのような治療が望ましいか、あとどれくらい生きられるかなどが、だいたいですがわかってきています。

 リンパ腫の治療は、基本的には抗癌剤による治療になります。ただ消化管にできたものなどは外科手術で切除してその後抗癌剤治療ということもありますし、鼻など手術ができない場所では放射線治療も選択肢です。

 リンパ腫のワンちゃんで一番多い来院理由は、リンパ節が腫れているということです。この場合すぐにリンパ節に針を刺して細胞をとり染色して診断します。これで診断できない場合は外注検査で診断します。同時に全身の状態、血液や脾臓、肝臓に病変がないかをチェックします。さらに詳しい検査でどのタイプのリンパ腫か診断して治療法を飼い主さんと相談して治療を進めていきます。

 猫ちゃんやその他のタイプのリンパ腫では症状もできた部位によって様々で、すぐに診断できないことも多いです。

 治療は抗癌剤が主体なので、副作用や費用のこともあり十分に話し合って進めていくべきです。また、リンパ腫は治る病気ではありません。寛解といって症状がしばらくの間なくなることはありますが、また多くの場合症状が再発してきます。

 このようにリンパ腫は難しい病気です。ただ最近は大分研究が進んでいるので、最新の情報を参考にして適切な治療を飼い主さんとともに考えていくべき病気だと思います。

●今回は肺水腫のお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。今日は最近続いた肺水腫のワンちゃんのお話です。

 どちらの子も夕方、呼吸が早いということで来院しました。一匹はチワワ、もう一匹はキャバリアでした。どちらの子も心臓の弁が悪い病気で治療中です。このような場合、肺水腫が最も疑われるので緊張する診察です。重症の肺水腫は一刻を争う状態で死亡率も高いからです。

 まずは聴診です。肺の聴診をしてみると水っぽい湿った肺の音がブクブクと聞こえます。キャバリアの子は血の混ざった痰をはいています。このような症状から肺水腫と診断できます。

 肺水腫とは肺胞の中に液体成分が貯留することで、肺で酸素と二酸化炭素のガス交換ができず、全身の低酸素状態、呼吸困難をひきおこす状態です。簡単に言うと、肺に水が溜まって呼吸が充分にできない状態です。

 肺水腫になる原因には、心臓の病気からくるものと、それ以外のものがありますが、ここでは心臓の病気によるものの話をします。

 ワンちゃんでは、僧帽弁閉鎖不全症といってキャバリアや小型犬で多い心臓の弁の病気があります。この病気になると全身に血液を送る左側の心室と心房という部屋の間の弁がしっかりと閉まらなくなり、逆流を起こします。すると、全身に行くべき血液が少なくなり、心臓がそれを補おうとより働くために疲れてきます。また、逆流を起こした血液が左心房から肺静脈へと負荷をかけて肺に液体成分がしみでてくるようになります。これが肺水腫の状態です。

 この状態になると、全身に酸素が充分に送れなくなるので、少しストレスをかけると死んでしまうこともあります。実際にレントゲンを撮ったり、採血をするときに暴れたりして亡くなってしまうこともあります。

 したがって、まずは安静にすること、酸素吸入をすることが重要です。そして、血管を拡げるニトログリセリンを投与したり、利尿剤を注射します。利尿剤で肺に溜まった水分を体の外に出すわけです。

 利尿剤は症状が軽減するまで、状態を見ながら続けて投与します。利尿剤を使いすぎると、今度は脱水状態となり腎臓の機能が落ちてくるのでそれにも注意が必要です。酸素吸入もあまり長い間やるとよくないので、短期の集中治療が必要です。

 ということで、重症の肺水腫の子が来ると、ほとんど張り付きで治療となりますが、なぜか休みの前の日に来ることが多いのです。

 今回の二人の子も休みの前の日に来て、集中治療を行い、何とか数日後に肺水腫の状態は脱して退院しました。その後少ししてこの子たちはなくなってしまったのですが、肺水腫で入院して、そのまま亡くなってしまう子もいますし、入院する前にすぐに亡くなってしまう子もいます。また、肺水腫から脱してその後、また心臓の治療をしながら長く生きる子もいます。

 いずれにしても、肺水腫は緊急疾患で、とてもこわい状態です。
心臓の治療をしている子が急に呼吸が早くなったり、苦しそうにしていたらすぐに病院へ連れて来て下さい。

●今回はストッキングを食べたワンちゃんのお話

皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。今日はストッキングを食べてしまったワンちゃんのお話です。

 例によって病院のお休みの日の午後、久しぶりの午後休みで出かけようと思っていたら一本の電話がなりました。5日くらい前にストッキングを食べたゴールデンが3日間吐いていて、全く食べないとのことです。

 この電話だけで、まず今日は緊急手術になり明日のお休みもなくなっちゃうなと思いながら、早速来てもらうと意外とワンちゃんは元気でした。診察してみると、それほどぐったりはしていないのですが、いつもハイパーなのに少しおとなしく、採血もレントゲンもおとなしくできました。

 さっそくレントゲンを見てみると、腸に異常なガスがあり、腸閉塞を疑う所見でした。また血液検査では電解質が大きく下がっていて腸の異常を示しています。お腹の触診をすると少し痛みもあるようです。

 ストッキングを食べたことが間違いないならば、これが胃や腸に引っかかって悪さをしていることが充分考えられます。飼い主さんは食べたのは見ていないけど、状況からまず間違いないとのこと。

今は高性能のエコーと診る獣医の腕で、腸内の異物や閉塞もわかる時代ですが自分ではそれもできず、しかも休日の午後。バリウムを飲ませて通過を見る検査も有用ですが、時間も手間もかかり診断も遅れます。
そこで手術を決断して、優秀な助っ人に来てもらい晩に緊急手術を行いました。

 開腹してみるとすぐに赤く変色した腸管が見つかり、胃袋から腸内に紐状のものが1メートルくらいにわたってあり、腸は一部アコーディオンのようになっていました。アコーディオンのようになった腸壁に紐状物が引っ掛かっているため、このような場合、1か所切開しただけではこの異物を取り除くことはできない場合が多く、通常腸を複数個所切開して異物を切断して取り出します。

 このワンちゃんも腸を3か所切開して、異物を切断して摘出することを繰り返し、最後に胃を切開して、何とかこのストッキングを取りだしました。
ストッキングの一部が塊のようになって胃で引っ掛かり胃の出口を出られず、その他の部分が腸に出て、腸の蠕動運動でどんどん下流へと出ていくのですが、ストッキングが伸び切ったところで動けなくなり腸閉塞の状態になってしまいます。ひどいときには腸壁が壊死したり腸が破れて腹膜炎になったり、重篤になる場合が多いです。

 ワンちゃんでは、ストッキングやタオルなど、紐状に伸びるものを食べた時は要注意です。

 猫ちゃんでは、細い紐や糸などがベロの付け根や胃袋に引っ掛かって同じような腸閉塞を起こすことがあり、注意が必要です。

 さて、このワンちゃん、ストッキングを食べてしまうくらい食欲が旺盛だったので、幸いにして術後の経過も良く、術後の絶食や食事量を少なく抑えるのが大変なくらいで無事に元気に退院していきました。

 ストッキングや紐、糸などの異物を食べた時はすぐに病院に行きましょう。 また、異物を口にする子は繰り返しますのでくれぐれも飼い主さんが気を付けてあげて下さい。

●今回は重症の子宮蓄膿症についてのお話No.2

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。今日は最近続けてきた重病の子宮蓄膿症のワンちゃんのお話です。

 子宮蓄膿症とは以前にもお話ししましたが、雌の子宮に膿が溜まる病気で、命に関わることのある怖い病気です。一般的には診断がついた時点で開腹手術をして膿の溜まった子宮と卵巣を摘出する手術を行います。

 この病気は避妊手術をしていない中年以降の雌のワンちゃんに多く見られます。症状としては陰部から汚い織物や出血が見られたり、吐いたり、水をたくさん飲むなどの症状が見られることが多いです。織物や排膿が見られない閉鎖型のものほど症状が重い場合が多いです。

 診断は症状とレントゲンや超音波検査で子宮に内容物が溜まっていることを確認して行います。

 さて今回の症例ですが何故かどちらも日曜日の昼ぎりぎりにやってきました。うちの病院は日曜日の午後は休診なのですが、そういう時にしっかりと重病はやってきます。

 どちらもトイプードルの子でしたが、一匹目は8歳、3日前くらいから具合悪く昨日は立てなかったとのことでした。診察してみると少し熱があり、陰部がやや膨らんでいましたが排膿はなく、立てなかったとのことでしたが、しっかり立って腰の痛みもありません。

 避妊手術をしていないということだったのでお腹を超音波で検査してみると子宮と思われる臓器に液体がたくさん溜まっているのが確認でき血液検査をしてみると白血球に炎症像が見られ、血小板の数が少し減少していました。

 検査結果と症状から子宮蓄膿症と診断して、早急に手術をするべく点滴を始めました。この時点ではワンちゃんは元気でしたが、3,4時間点滴をして手術を始めようとしたときに急変して残念ながらこの子は亡くなってしまいました。血液検査のわずかな異常から、子宮に膿が溜まってそれが全身にまわる敗血症や炎症が激しいために全身の血管に血液凝固亢進状態になって血小板が消費されて血栓ができやすくなるDICという怖い状態になっていたと考えられました。

 もう一匹の子は3歳と若い子で、10日ほど前に交配したが織物があって具合が悪いとのことでした。診察時には立ち上がれない状態でお腹を触るとかなり痛そうでした。レントゲン、超音波でみるとやはり子宮に多くの液体が溜まっていました。血液検査をしてみると他の項目は異常がなかったのですが血小板の数が1万2千と極端に低く(正常は20~50万)またまた敗血症や血小板が大量に消費される全身の異常な状態です。しかもお腹を痛がっているので子宮が破れているなど腹膜炎の疑いが強く先日亡くなった子よりもずっと悪い状態です。

 この子もすぐに点滴をうちながら麻薬の鎮痛剤も使いながら晩に手術を行いました。

 開腹してみると予想通りお腹の中は血膿でいっぱいでした。内臓脂肪や大網と呼ばれる胃を包んでいる膜も色が悪く明らかに腹膜炎でした。

すぐに子宮を出してみると破れた部分がすぐにわかりました。穴の開いた子宮と卵巣を摘出してお腹の中を生理食塩水で何度も何度も洗浄してなるべくきれいにしてお腹を閉じ何とか無事に手術を終えました。

 あとは点滴、鎮痛、そして抗生物質をしっかりやることです。この子はしばらく入院が必要でしたが何とか回復して無事に退院しました。

 このように子宮蓄膿症は時として命に関わる怖い病気です。懸命に治療しても亡くなってしまうこともあります。我々獣医師は動物が治る手助けをしているにすぎません。人事を尽くして天命を待つということですね。

●今回は黄疸についてのお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。今日は最近ワンちゃん、猫ちゃんで続いた黄疸についてのお話です。

 黄疸というと人ではC型肝炎、肝硬変などが思い浮かびますがペットでもいろんな病気で黄疸になります。
 黄疸とは血液中のビリルビンという物質の濃度が上昇して皮膚や粘膜そして白目の部分が黄色くなる状態をいいます。

 ビリルビンという物質は古くなった赤血球を破壊するときにできるもので、肝臓に運ばれて胆汁の成分になります。肝臓で作られた胆汁は胆嚢という袋に貯められて濃縮され食べ物が十二指腸に流れてくるとそこに排出されて主に脂肪の消化を助けます。

 黄疸という状態は血液中にビリルビンが増えるのですが、これには大きく分けて三つの原因があります。

 一つ目は赤血球がたくさん破壊される場合。
これは溶血といって赤血球が壊れてしまう状態で、貧血になります。代表的な病気として、赤血球に寄生虫のようなものがついてしまう場合があります。猫ちゃんではヘモプラズマという病原体が、ワンちゃんではバベシアという病原体が寄生することで赤血球が破壊されて黄疸になります。また、タマネギ中毒でも赤血球が破壊されて黄疸になることもあります。その他、自分の赤血球を攻撃して破壊してしまうという免疫異常の免疫介在性溶血性貧血という病気も黄疸になり、最近人気のプードルでは時々見られる病気です。

 黄疸の原因の二つ目は肝臓が悪いときに起こるものです。肝臓の機能が落ちるとビリルビンが処理できなくなり血液中の濃度が上がって黄疸になります。肝炎や中毒、肝硬変、脂肪肝、肝臓の腫瘍などが原因として考えられます。

 三つ目の原因は、閉塞性黄疸と呼ばれるもので、胆汁の流れが障害されて胆汁の排泄が悪くなり結果として胆汁に含まれるビリルビンが血液中に増えて黄疸になります。胆石や胆嚢の炎症、胆嚢や胆管の付近の腫瘍、炎症さらに胆管が開口する十二指腸付近の腫瘍や炎症、膵炎などの場合に閉塞性黄疸になります。最近ワンちゃんでは胆嚢の異常が見られることが多いようです。膵炎もワンちゃん、猫ちゃんで時々見られます。

 このように黄疸を呈する病気は数多くあり、原因も様々なので診断は必ずしも容易ではありません。まずは血液検査で赤血球が破壊されていないか調べたり、肝臓の酵素、肝機能なども見ていきます。そして肝臓や胆嚢、胆管の異常が疑われれば、画像診断でどこに異常があるかを調べていきます。

 治療はどの病気かによって変わってきますのでしっかりと診断することが大事です。また黄疸を呈する病気は重篤なものが多いので、もしも白目が黄色いとか皮膚や粘膜が黄色いなどの症状があればすぐに病院へ連れて行き、しっかりとみてもらいましょう。

●今回は加計学園獣医学部新設についてのお話

 皆さんこんにちは、八ヶ岳動物病院の浜田です。今日は今話題の加計学園獣医学部についてのお話です。

 巷では総理大臣のお友達だから加計学園に決まったかのではというような話で盛り上がっていますが、少し観点を変えて獣医として獣医大学を新設することはどうなのかを考えてみたいと思います。

 実は私もこの話ニュースなどで話題になるまで知りませんでした。岡山理科大学が広島県・今治市国家戦略特区内の愛媛県今治市に獣医学部として新キャンパスを設置、獣医学科入学定員は160人、専任教員数70人、平成30年4月開学予定となっています。この獣医学部の新設の目的や特徴というのを見てみると今までの大学獣医学部と異なり、実験動物を使った基礎研究から臨床への橋渡しや家畜感染症対策や国際的な獣医師さらに高度臨床獣医師を育成するなど、これまでの大学と異なる新しい獣医学教育拠点を目指すとなっています。
 
この文言だけを聞いているととても立派な大学を目指しているし興味深いとは思います。
 現在日本の獣医系大学は、国立10校、公立1校、私立5校の16校あり、地域的には北海道3校、東北2校、関東5校、中部1校、近畿1校、中国地方2校、そして九州に2校です。定員は国公立大学で30から40人、私立では80から120人となっていて全国で930人となっています。ただ、入学定員の多い私立大学が北海道、東北、関東にあるため入学定員で見ると東日本、北日本が西日本より大分多くなっています。

 こう見ると加計学園の定員160人というのがいかに多いかわかります。

 ところで獣医師は実際に不足しているのでしょうか?はっきり言って答えはNOです。最近、鳥インフルエンザや牛の口蹄疫などの伝染病が発生することが多くなり、これらの防疫対策に従事する獣医師が不足しているということが言われています。そして加計学園の獣医学部もそのことをうたっています。しかしこれは非常事態時のことで普段からこれらに従事する獣医師が不足しているわけではありません。また実際にこれらの仕事を希望する獣医師が増えているわけではありません。

 今は獣医学部が人気で大学の志願倍率も非常に高くなっているのはほとんどが小動物臨床つまりペットのお医者さん希望のためだと思われます。この人気のペットの獣医師も今は飽和状態と言われています。つまり獣医師は実際には不足しているとは考えられません。

 獣医師会や獣医系大学の教官たちもこの加計学園の獣医学部新設には早くから反対してきたようですが、ではなぜ今獣医学部新設なのかというとよくわかりません。

 何よりも懸念されるのは70人もの教官がしっかりと確保できるのか?教育機関としては一番大事な部分ですね。来年4月開校予定ならもうすでにお声がかかっている人がたくさんいるのでしょうが実際はどうなのか心配なところです。

 獣医学部ができるとなると、やはり人気のペットの獣医さん希望の学生が集まってくると考えられますが十分な教育ができるか疑問です。
今一番やきもきしているのは獣医師をめざす学生と教官内定の人たちでしょうね。

 今獣医の間で問題なのは、獣医師不足ではなく、獣医の職場環境の改善や、賃金の適正化ではないでしょうか?こういう仕事にこそ働き方改革をしなければならないと思います。

 ?マークの多い加計学園獣医学部ですが、獣医界および動物たちにプラスになるように進んで行ってほしいものです。

●今回はノミ、ダニのお話

 皆さんこんにちは、八ヶ岳動物病院の浜田です。ようやく春らしくなり桜も咲き始めました。狂犬病の予防注射も始まり動物病院も賑やかになる季節です。暖かくなると虫たちの活動も活発になってきます。今日はノミ、ダニのお話です。

 ペットに寄生するノミですが、日本ではネコノミが主で体長1~3mmくらいで体の色は褐色または黒褐色です。ペットにノミがついていないかみるには、水にぬらすと赤くなる黒っぽい砂粒のようなノミの糞をみつけることです。

 ノミは体温、振動や二酸化炭素を感知して、体長の数十倍から100倍もの跳躍力で飛びつき人や動物についてきます。ワンちゃんや猫ちゃんの体表に寄生したノミはすぐに吸血を始め交尾して48時間以内に産卵を始めます。雌は一日平均で20~50個の卵を産み、卵はすぐに地上、つまり家の中ではカーペットや寝床などに落下して1~6日でふ化して幼虫になります。

 幼虫はノミの糞や動物のフケや垢などを食べて育ち、2度の脱皮をして1~2週間で繭を作り蛹になります。蛹が羽化して成虫になる期間は温度や湿度で変わり1年近く蛹でいることもあるようです。蛹から羽化したノミは簡単にまたワンちゃん、猫ちゃんに寄生してこのサイクルを繰り返していきます。

 このように一度ノミが家に入ると駆除しにくい成虫以外の卵、幼虫、蛹が環境中に多くいるために駆虫が難しくなります。

 次にダニの中でも野外でついてくるマダニについてですが、マダニはクモに近い8本足の節足動物で、大きさは成ダニで3-4mmくらいです。マダニは外気温が15度くらいになると活動が活発になり初夏から夏にかけて成ダニが多くなります。マダニは郊外の山や森の木の葉や草むら、公園や河川敷の草むらなどに潜んでいてノミ同様動物を感知して飛びついて寄生します。

 寄生したマダニはすぐに頭や耳、目の上や指の間など吸血しやすい皮膚の軟らかい所に移動して吸血します。吸血は、のこぎりのような口を皮膚に差し込んで行うため口がしっかりと皮膚に固定されているので簡単には取りずらく専用のピンセットなどを使うと取りやすいです。

 吸血した雌のマダニは地上に落ちて産卵します。卵は2,000~3,000個で20~30日で卵から体長1mmほどの幼ダニが孵化して動物に寄生します。3~7日の吸血後再び地上に落下して脱皮し、体長1.5mmほどの若ダニになります。若ダニも動物に寄生吸血後再び地上に落下して脱皮して成ダニになり再び動物に寄生して吸血、落下して雌は産卵、というサイクルを繰り返します。

 毎年、体に何百匹ものマダニがついているワンちゃんを見ますが、外で飼っているワンちゃんは特に注意してみてあげましょう。

 ノミやマダニは吸血するだけでなく、病気や寄生虫を媒介します。また咬まれて痒いだけでなくアレルギー皮膚炎を起こすこともあります。今はノミ、マダニを駆除、予防するいい薬が出ていますので動物病院で相談して、ワンちゃん猫ちゃん、そして人が快適でいられるようにしっかりと対策をしましょう。

●今回は、震災から6年、ペットの災害対策について考える

 皆さんこんにちは八ヶ岳動物病院の浜田です。あの大震災から6年が経ちました。最近また地震なども増えているように感じます。今日はペットの災害対策についてのお話です。

 まずは住まいについてですが、室内飼いの場合、家具やケージが倒れたり落下しないように固定を考えましょう。外で飼っている場合は、破損しやすいブロック塀やガラス窓の下、倒れやすい建物のそばは避け、首輪や鎖が外れたり切れたりしないか確認しましょう。ケージや囲いも隙間がないか点検しましょう。

 そして家族で連絡方法や集合場所、ケージや非常持ち出し袋などの役割分担を考えておきましょう。近所や仲間、緊急時に預かってもらう人を決めておくのもいいと思います。

 ペットは災害時に逃げだして迷子になってしまうこともあるので、首輪などに迷子札をつけたり、マイクロチップを入れておくのもいいと思います。
 災害時は人も動物も大きなストレスがかかります。慣れない避難所ではさらに体調をこわしやすくなるので、日頃から健康管理に注意しておくことが大事です。動物の体を清潔に保ち予防注射やノミなどの外部寄生虫の駆除もきちんとしておきましょう。

 避難所では迷惑にならないように、むやみに吠えない、キャリーバッグやケージにならしておく、他人に友好的に接するなどのしつけをしておくと、周りの人にも迷惑がかからず、ペットもストレスが少なくすみます。あとはトイレのしつけも重要です。決められた場所やペットシーツで排泄できるようにしておきたいですね。

 最後に、動物のための備蓄品の用意についてお話します。ライフラインの寸断、緊急避難などに備えて必要な物を備蓄しておきましょう。避難所などでは人に対する準備はされていますが、飼っている動物に対する備えは飼い主の責任になります。救援物資が届くのに時間がかかるので最低でも3~5日分は用意しておきましょう。

 まずは、キャリーやケージですね。軟らかいものより掃除もしやすいプラスチック製のものがいいです。普段から慣らしておくといいです。またつなぐためのリードや首輪、これは緩んでいないか確認しておきましょう。予備もあるといいです。

 次に大事なのは水とフードですね。食器も必要です。病気で薬を飲んでいる場合は薬も忘れないようにしましょう。できればペットの名前や写真、飼い主の名前、ワクチンや病気の情報を書いた手帳のようなものがあるといいと思います。

 また、排泄用のペットシーツや簡易トイレも必要です。猫ちゃんの場合洗濯ネットがあると便利です。その他のものでは、ガムテープ、トイレットペーパー、タオル、バスタオル、ブラシ、新聞紙などがあるといいでしょう。またワンちゃんがパニックで咬みついたりすることも考えられるので口輪やカラーがあるとさらにいいでしょう。

 実際に災害が発生した場合、まずは人の身の安全を確保しましょう。ペットを守るのは飼い主です。

 災害時はペットもパニックになるので、飼い主がなるべく落ち着いてペットをつないだりケージなどに入れ安全を確保しましょう。

その後、状況を判断して避難などを考えましょう。

 災害は忘れたころにやってくるといいますが、普段から災害時のシュミレーションをしておくことが大事だと思います。

●今回は、猫ちゃんを動物病院へ連れてくるときの注意点のお話

 皆さんこんにちは八ケ岳動物の浜田です。
 一年で最も寒い季節ですが、この時期になると猫ちゃんが風邪をひいたり、おしっこの病気になったり、発情の季節で喧嘩の怪我や避妊、去勢の手術で動物病院に来ることが多くなります。今日は猫ちゃんを動物病院に連れてくるときの注意点についてのお話です。

 皆さん猫ちゃんを病院に連れていくとき、どうやって連れていきますか?
最近続けて猫ちゃんを抱っこしてそのまま連れてきた方がいました。これは大変危険なので絶対にやめて下さい。

 車から降りて病院に入るまでの間に、何かに驚いて逃げてしまうこともあります。もともと猫ちゃんは縄張りの動物です。自分の住んでいる家が安全な縄張りなので、そこから出ると不安なのです。ちょっとした物音や声、見慣れない物に怯えているのです。

 猫ちゃんは恐怖でパニックになりやすい動物です。パニックになると診察室の天井まで飛んで診察室をめちゃくちゃにすることもあります。

 実際にうちの病院でも外に逃げてしまった猫ちゃんが何匹かいます。幸い皆見つかったのですが、探すのも捕まえるのもとっても大変でした。

 大きめの洗濯ネットに猫ちゃんを入れるのはいい方法です。ただ、洗濯ネットだけでは、やはり外の刺激がそのまま入ってきます。これでは何かあった時にパニックになってしまうのは同じです。洗濯ネットに入れてさらにキャリーバッグに入れるか、普通のバッグに入れるのもいいでしょう。

 たまに段ボールに猫ちゃんを入れてこられる方もいますが、しっかり閉められないので開けた瞬間に飛び出したりして危険です。洗濯ネットに入れてからだといいかもしれません。

 一般的には猫ちゃん用のキャリーバッグに入れてくる場合が多くお勧めですが、キャリーバッグもいろいろな種類があります。材質もいろいろありますが、丈夫で掃除しやすいプラスチック製がお勧めです。

 できれば扉が上に開くタイプのものがお勧めです。横にしか扉がないと猫ちゃんを捕まえて入れるのも、怖がっている猫ちゃんを出すのにも苦労します。上が開けばキャリーから出さなくても、いざというときにはそのまま注射などもできます。

 それでも猫ちゃんによってはキャリーバッグに入れるのが大変な子もいます。普段からキャリーバッグを部屋に置いて慣らしておくのがいいのでしょうが、いざという時は心を鬼にしてくつろいでいるときにネットをかぶせて入れてしまうという方法もいいかなと思います。

 無事にキャリーに入れて病院へ行きます。できればすぐに猫を連れて行くのではなく、病院の待合室の様子をよく見ましょう。誰もいなければすぐに連れて行ってもいいのですが、ワンちゃんがいたら要注意です。特に吠えるワンちゃんがいる場合は順番まで車で待機しているほうがいいでしょう。

 とにかく猫ちゃんは怖いのです。声や物音に十分気を付けて下さい。もしも、他の猫ちゃんやワンちゃんがいて待合室に入る場合はバスタオルなどをかぶせ、なるべく端の方にいるのがいいでしょう。よく可愛いといってのぞき込む方や、ワンちゃんがキャリーをのぞき込むようなことがありますが、やめてほしいです。一部のワンちゃんのように猫ちゃんはみんなにフレンドリーではないのです。

 そして、ドアを開けるのもキャリーを開けるのもなるべく猫ちゃんを驚かせないように静かにして下さい。猫ちゃんがパニックになってしまうと診察もきちんとできなくなってしまうのです。
 
 皆さん、動物病院で猫ちゃんを見たら十分気を付けてあげて下さいね。

●今回はおしっこの出ない雄のワンちゃんのお話

 皆さん、あけましておめでとうございます。八ケ岳動物病院の浜田です。年末年始はいかがでしたか?一昨年の年末は腸閉塞で腸切除するような大きな手術がありましたが、去年は平和な年末かなと思っていたところ、クリスマスの日に一本の電話が鳴りました。

 外で飼っている雄のワンちゃんが、何か月か前からおしっこの出が悪く、ここ2,3日はほとんどおしっこが出ないで食欲もなく今朝は吐いたとのことでした。この電話を聞いて、ああこれで年末もなくなるな、と思いました。想像すると、おそらく尿道に結石がつまって尿が出なくなっていて、大きな手術になるだろうと。

 すぐに診察に来たのでみてみると、予想通り、尿道にがっちり石がつまってカテーテルもまったく通りません。レントゲンを撮ってみると膀胱はパンパンに腫れていて中には多くの結石があり尿道にも結石がたくさんあって脹れています。

 このように雄のワンちゃんで尿道が石で詰まっている場合、まず麻酔をかけて、結石を膀胱に押し戻すことをします。これはカテーテルを結石の手前まで挿入して水圧をかけて行います。これができた場合には尿道の損傷がなければ、開腹して膀胱を切開し、結石を取り除く手術をします。

 結石が戻せなかった場合、尿道を切開して結石を取り除き尿道の損傷具合に応じて尿道を縫合するか、新しく尿道の出口を別のところに作る造瘻術という手術を行います。膀胱に結石があれば膀胱切開も行います。

 さて、この子の場合ですが、まず全身麻酔をかけて尿道の結石を膀胱に押し戻す操作を繰り返しますが全く石が動くことはありませんでした。この子は去勢されていなかったのでまず去勢を行い、その傷を延長して尿道の結石がある部分を切開しました。するとぎざぎざの小さな石がたくさん積み重なるように詰まっています。これらを丁寧に取り出しながら切開部分から何とか膀胱までカテーテルを通すことができました。

 切開部から先のペニスの部分にはさらに結石がつまり尿道に食い込んでいたのでこの尿道を温存することは不可能でした。そこで尿道を結石の詰まりにくい少し太い部分で切断して包皮の粘膜に開口させる人口尿道の造婁術という手術を行いました。ここまでで3時間ほど経過していたでしょうか。

 さらに膀胱の中には多数の結石があったので開腹して膀胱切開を行い膀胱の中の結石を取り出す手術を行いました。幸いこのワンちゃんは若かったこともあり5時間ほどかかった大きな手術に耐えてくれました。

 術後はカテーテルをしばらく尿道に留置しているので、尿も垂れ流し状態なので、その管理も楽ではありません。尿道、膀胱の手術では術後比較的出血します。カテーテルが血餅で詰まることもあります。何とかそれも乗り切って数日後カテーテルを抜いてあとは自分でしっかり排尿できなければなりません。そこも何とかクリアして、あとは結石がまたできないようにしっかりと結石を溶かす処方食を食べさせていきます。

 このようにあわただしい年末をすごし、ぎりぎり大みそかの午後に退院となりました。 今年は正月1日、2日と診察もありいつものように新しい年が始まりました。

皆さん、雄のワンちゃんでおしっこが出ずらくなったら早く病院へ連れていって下さいね。

●今回は老齢犬の体表腫瘍のお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。今日は最近続いた老齢ワンちゃんの体の表面にできた腫瘍についてのお話です。

 どちらの子も中型でやや大きめの雑種のワンちゃん年齢は14歳と高齢でした。一匹は左の肋の部分の皮下脂肪の中に5~6㎝大のしこりがあり、もう一匹は下腹部と右前足前腕部と右の大腿部の3か所にしこりがあり下腹部のしこりは出血している状態でした。

 体表にできるしこりは腫瘍の場合、老齢では、良性のものなら無理して全身麻酔をかけて手術することはありません。ただ悪性のものや、すでに出血しているような場合は、これからのことも考えて手術でとるのがいいと思います。

 今回の場合、2匹目の子はすでに出血しているので手術することになりました。一匹目の子は手術するか判断するのにまず私たち獣医はしこりに細い針をさして細胞を調べる針生検という検査をします。

 この検査はしこりに細い針を刺してその針に入ってきたものをスライドグラスに吹き付けて染色して顕微鏡で出てきた細胞をみるというものです。ただこの検査は万能ではなくあくまで吸引された一部の細胞をみているので必ずしもしこり全体を見ているわけではなく、また細胞が取れないこともあり、出血すると血液成分が多くわかりにくいこともあります。

 ただ、脂肪腫という良性の脂肪のしこりや肥満細胞腫という悪性の腫瘍、さらにリンパ腫という腫瘍など細胞が特徴的なものはこの検査だけで診断できることもあります。

 一匹目のワンちゃんはこの検査をしたのですが、細胞を見てみると悪性っぽい細胞がみえました。っぽいというのは私が病理専門医ではないので、それくらいしかわからないということです。それを飼い主さんに告げると最近急に大きくなってきたし、悪性っぽいなら手術をするということになりました。

 さて、どちらも手術することになりましたが、これで、はいすぐ手術ですとはいきません。老齢ですし、麻酔がかけられる状態なのかを調べる必要があります。まずは血液検査で体全体の状態をチェックします。重要なのは貧血がないか、血液中の蛋白が十分あるか?止血に関わる血小板は十分あるか?また、腎機能、肝機能はどうか、麻酔薬などの薬は腎臓肝臓で代謝されるので重要です。そしてレントゲンでは心臓、肺という命に直接関わる部分をチェックします。動物の腫瘍は肺に転移しやすいので肺に転移の影がないかを調べます。さらに心電図で不整脈などの異常がないかも調べます。

 幸い2匹とも検査では大きな異常はなかったので手術になりました。検査上異常がなくても老齢の子の麻酔は慎重に行います。老齢では麻酔にかかりやすく、覚めにくくなります。麻酔が深くなると血圧も下がり循環も悪くなります。最低の麻酔の深さで維持しながらモニターで心拍、呼吸、血圧、酸素飽和度、炭酸ガスの濃度などをチェックしながら必要な薬も使いながらの手術です。皆さんが考えているほど麻酔は簡単ではないのです。幸いなことに優秀な獣医さんに麻酔をお願いして無事に2匹とも手術を終え経過も順調です。手術自体はしこりを取るだけなので大きな血管に気を付ければ難しくはありません。

 後日外注検査から帰ってきた結果で一匹目の子の腫瘍は悪性のものでした。摘出は完全なのであとは再発や転移がないか定期的にチェックすることです。もう一匹の子も出血もなくなり飼い主さんも快適になりました。

 皆さんもワンちゃん猫ちゃんの体の表面に変なしこりがないか時々スキンシップでチェックしましょう。

●今回は串カツを食べたワンちゃんのお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。今日は最近びっくりしたワンちゃんについてのお話です。

 そのワンちゃんは、7歳のゴールデンレトリバーの女の子ですが、熱が続いて痩せて来たということで来院されました。お話を聞いただけで、これは何かあるなと思ったのですが、診察してみるとワンちゃんは意外と元気で一般的な聴診や触診では異常がみられませんでした。

 ただ、2週間くらい熱が続いていて痩せて来たということで経過も長く検査をすることにしました。血液検査とレントゲン検査を行いました。血液検査では軽度の貧血と肝臓の酵素が少し上昇していました。レントゲン検査では、胸の肺心臓では異常が見られませんでしたが、お腹のレントゲンでは、左の腎臓のあたりに明らかに異常な影が見られました。

 そこで超音波エコーの検査をしてみると左の腎臓とその周囲に液体が溜まっているような異常がみられました。

 予想通りただ事ではないようなので、さらに専門の検査をすることにしました。腎臓、そしてそのそばの副腎などの腫瘍も十分に考えられたので、手術適応も考えて、東京の画像診断専門の病院を紹介してCTおよび超音波検査をしてもらいました。

 その結果を聞いて、飼い主さんは、ああやっぱりと納得、私たち獣医はびっくりでした。

 その結果とは、何と長さ11センチ、直径2mmの串がお腹の奥の背中に近い部分にあり、その周りが炎症を起こして、左の腎臓と後大静脈、小腸、脾臓、子宮、膀胱と癒着していて、左の腎臓のまわりには液体が溜まった像がみられるというものでした。

 飼い主さんにきいてみると、半年ほど前に串カツを食べた可能性があり動物病院でみてもらったとのことでした。その時は状態も良く、経過をみることになってその後も具合悪くならなかったのでそのままになっていたとのことでした。

 さて、串カツの串が胃か腸を突き破りお腹の奥の大事な大血管のそばにあり、周りの多くの臓器に癒着して悪さをしているということがわかりました。そして左の腎臓の周りにはかなり大きな病変もあるようです。

 これは、一般の病院でできるレベルではないので、知り合いの先生に相談して、外科専門の経験豊富な先生を呼んで手術することになりました。その先生でも手術中に死亡する確率が半分くらいあるという難しい手術でした。

 開腹して、少しずつ癒着をはがしながら、尿管や重要な血管を確認して主要な臓器を確認して進めていきます。そして串を含んだ肉芽組織を無事に摘出しました。また、左の腎臓の周りは被膜に包まれた膿瘍といって膿の塊になっていました。この膿瘍を切開してきれいに洗浄して主要な臓器を確認して手術は無事に終わりました。

 術後は順調に回復していたのですが、少しして急性腎不全や胃腸炎を併発しましたが何とか乗り切って今は回復しつつあります。

 しかし自然界には串にささった肉はないでしょうから、食べてしまうのですね。焼き鳥の串を食べてしまったというワンちゃんも時々いるようです。そして串が危ないところに刺さっていても何も症状が出ていなかったのも不思議ですね。

 皆さん、くれぐれもワンちゃんには串カツや焼き鳥、串のついたものは与えないように、そして置いておかないように気を付けてください。もし食べた疑いがある場合は、しっかり確認してもらいましょう。

●今回は肺腫瘍のワンちゃんのお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。今日は先日来た呼吸困難のワンちゃんのお話です。

 先日、14歳のプードルの子が昨日から具合悪く今日はぐったりして起き上がれないとのことで来院しました。
この子は少し前に、下痢や腰痛で治療したことのある子でしたが、見ると明らかに呼吸が苦しそうです。聴診してみると肺の音もジュルジュルと湿った音が聞こえ、心臓に雑音もあります。

 小型犬で心雑音があり呼吸が悪い時、私たち獣医師はまず心臓弁膜症による肺水腫を疑います。レントゲンをとるのにストレスを与えただけで死んでしまうこともあります。

 血液検査をしようと採血を試みるのですが、血管が全く張ってくれません。循環がとても悪くなっているようです。

 仕方なく、点滴の留置針を何とか前足の血管に入れて、そこから絞るように採血しました。すぐに、点滴を始め、利尿剤を注射してそおっとレントゲンをとり酸素室にいれました。とても重症の場合、ここまでできると少しほっとします。

 ところが、現像されたレントゲンをみてびっくりです。肺の全域に綿のような病変が多数、まともな肺ではありません。ふつうこのようなレントゲンをみると肺の腫瘍を疑います。ただ、肺が原発の腫瘍はそれほど多くないので、肺の膿瘍や肺炎なども考えて治療していきます。肺の腫瘍はほとんどが他の腫瘍からの転移なので体に腫瘍がないか探りますがわかる範囲では腫瘍らしきものは見つかりません。

 酸素吸入と利尿剤などの治療で少し楽になったかに見えましたが程なくしてこの子は亡くなってしまいました。
 飼い主さんによると一昨日までは全く異常がなかったとのこと、この肺でそんなことがあるのかと自分でも納得できないでいました。
ワンちゃんではめったに解剖をすることはないのですが、今回飼い主さんに原因を知りたいのでと提案すると承諾してくれたので、晩に剖検(解剖)してみました。

 解剖して肺を見た途端、ああやっぱりという感じでした。肺全体に白い結節状の病変が多数ありました。まともな肺の部分はほとんどありません。よくこれで生きていたものだと不思議です。他の臓器には肉眼的に大きな異常は見られませんでした。異常な肺の部分を専門機関に送って病理組織検査をしてもらいました。少しして結果が来ましたが、肺腺癌とのことで、やはり肺原発の悪性腫瘍だったようです。病理専門医にどのくらいかけて進行したものかと聞いたところ、半年以上かけて徐々に進行したのではという答えでした。

 しかし、動物は不思議です。あんな肺の状態でも普通に呼吸して普通に生活できていたわけですから。この子は長い間苦しまなくてよかったのかもしれません。

 大動物の獣医をやっている頃は原因がわからなくて死んだ牛や馬をよく解剖していましたが、なかなかワンちゃん猫ちゃんではできません。納得がいかないで亡くなった場合、病理解剖も勉強になります。 

●今回は痙攣発作のワンちゃんのお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。今日は先日来た痙攣発作のワンちゃんのお話です。 

 痙攣が止まらないとのことで、時間外の急患で来院されました。ワンちゃんは4歳のゴールデンドゥードルというゴールデンレトリバーとプードルを掛け合わせた犬種で来院すると横たわって10分おきくらいに激しい痙攣を起こしています。

 早速血液検査を行い、同時に血管に留置針を入れて点滴を始め、痙攣を抑える薬を投与しました。痙攣を抑える薬を注射すると痙攣が治まり静かになるのですが、時間がたつと痙攣を繰り返します。このように痙攣が続けて起こる状態を痙攣重責発作といいます。急いで治療を要する状態でほっておくと脳に重大な障害をおこすこともあります。

 痙攣発作を起こす病気ですが、主に脳の異常によるものと、それ以外の代謝異常によるものがあります。
 代謝異常というのは、たとえば血糖値が下がった低血糖の時や血中のカルシウムが下がる低カルシウム血症の時などがあります。また、中毒や肝不全で血中にアンモニアが増えたときにも痙攣発作をおこすことがあります。
 したがって、このような動物が来た時には何か中毒になるものを食べていないか、インシュリンを注射していないか、お産した後ではないか、などを聞き取りながら血液検査の結果を待ちます。 

 血液検査の結果が出ると、この子は血糖値、カルシウム値も正常、肝機能も正常、その他血液検査に痙攣発作の出るような異常はありませんでした。そうすると脳に原因がある可能性が大きくなります。

 脳に異常がある病気というと思い浮かぶのは脳腫瘍ですが、これは比較的高齢の子に多いです。その他、脳炎や癲癇があります。これらの診断は一般の病院では簡単ではなく、脳のMRI検査や脳脊髄液の検査が必要です。

 さて、この子ですが、痙攣を抑える薬を発作のたびに注射するのですがその後も定期的に発作を繰り返しました。小さな子ではないので発作を起こすと足をバタバタ頭もふって床にぶつけて大変です。このように発作が続く場合、軽い麻酔をかけて眠らせる方法がありそれを行いました。おおよそ20時間くらい眠らせましたが結構深く眠っているので時々状態を確認します。

 そして麻酔から覚ますのがまた大変、ゆっくりと覚ますのですが、うまく覚めてくれるか、また発作はでないか?この子の場合、本当にゆっくり覚めましたが、両方の後ろ足が麻痺していますし、少し性格も変わったようだということで脳に障害があるのは間違いありません。

 痙攣を抑える薬を使いながら、飼い主さんとの相談でMRI検査を受けることにしました。

 その結果、特発性癲癇という癲癇であることがわかりました。麻痺は重度の発作だったために脳の一部に障害が出ているからで、時間とともに治ってくるだろうということでした。

 その後、癲癇の薬を使っていますが麻痺もなくなり正常な生活をしています。獣医療の診断技術も進んだものですね。

 痙攣発作を起こす病気もいろいろあります。このような症状が見られたらすぐに病院へ行きましょう。

●今回は潜在精巣のお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。今日は先日手術をした、お腹の中に巨大なしこりのあったワンちゃんのお話です。 

 そのワンちゃんは、14歳と高齢の雄のMダックスで、ワクチンの注射に来院しました。高齢なのによく食べて元気もあるとのことでしたが、パッと見て明らかにお腹が張っていて痩せています。実はこのうちではもう一匹Mダックスを飼っていて、その子が近々鼠径部のヘルニアの手術をする予定で手術前の検査をすることになっていました。
 それで、この子も明らかに病気と思われるので一緒に検査をすることになりました。

 血液検査、レントゲン検査を行ったところ、血液検査では年齢のわりに悪いところはなかったのですが、レントゲン検査でお腹の中に巨大なしこりが見つかりました。エコーでみてみても、明らかに充実性の腫瘍らしき像でした。そしてよく見てみるとこの子の睾丸は一つしかありません。

 以上のことから、お腹の中にあるもう一つの精巣が腫瘍化して巨大なしこりになっていると考えられます。お腹の中の精巣の腫瘍は転移などがなければ摘出することで治ってしまう場合も多く、普通ならすぐに手術しましょうということになりますが、この子の14歳という年齢、半端ではない腫瘍の大きさなどから癒着や転移も考えられ、手術時間も長くなる可能性もあり、悩ましい選択です。手術で命を落としてしまっては意味がないですからね。

 飼い主さんと相談の結果、手術をすることになりました。

 手術ですが、お腹を開けると巨大な腫瘍がすぐにあり、大網という内臓を包んでいる膜には小さなブツブツのようなものがあり、腹膜に転移しているかな、という感じでした。拳2つ分くらいの巨大な腫瘍を、大きな血管を結紮しながら摘出すると、その奥にさらにつながった5cm大の腫瘍があり、これは背中側の大きな後大静脈という血管にくっついていました。この血管を傷つけたらアウトです。慎重にゆっくりと剥離しながら、何とか2つに分かれた腫瘍の本体を摘出することができました。手術時間は2時間くらいと結構負担は大きかったと思います。ところが、この子は予想に反して麻酔は順調で、麻酔からの覚醒も順調でした。翌日には食欲もしっかり戻りました。

 一週間ほどして病理検査の結果が帰ってきましたが、セミノーマという精巣の腫瘍で、悪性度も高く、やはり腹膜播種といって腹膜に転移していました。残念ながら予後はよくないですが、大きなしこりがなくなってお腹の張りもなくなり少しは楽になったと思います。あとは、苦しんだり痛くないように天寿をまっとうするように支えていくことですね。

 潜在精巣といって、精巣がお腹の中にあったり、鼠径部の皮下にあったり、正常な陰嚢の中にない場合、精巣が腫瘍化する確率が高いといわれています。タマタマが2つ正常な位置にない場合、早い時期に去勢手術をすることで精巣腫瘍の心配はなくなります。最近このようなワンちゃんが増えていると思われるので気を付けてみて下さい。

●今回は椎間板ヘルニアのお話

 皆さんこんにちは八ケ岳動物病院の浜田です。今日は先日来た腰が抜けたワンちゃんのお話です。

 腰が抜けて立てなくなり、体を痛がっているという3歳のTプードルが来院しました。診察してみると胸から腰の背骨の部分を痛がり、後ろ足は立てずに前に伸ばしている状態です。食欲もないとのことです。前足の方はしっかりしています。

 症状から、背骨の中の神経を損傷して後ろ足が麻痺している状態です。このような症状はMダックスではよく見られますが、若いプードルでは珍しいです。このように神経の損傷が起こる病気としては、椎間板ヘルニアが一番考えられます。その他外傷による脊椎の骨折や脱臼、また脊椎の感染による炎症などもあります。さらに腫瘍が神経を圧迫して麻痺症状を起こすこともあります。

 骨折や脱臼、感染や腫瘍ではレントゲンで異常がわかる場合もあります。この子はレントゲンでは異常が見られなかったことから、やはり椎間板ヘルニアが一番考えられます。

この椎間板ヘルニアの重症度を示す指標に深部痛覚というのがあります。深部痛覚とは深いところの痛み、つまり鉗子で思い切り足の指をつまんだ時に痛みを感じるかどうかが重要になります。幸いこの子は初診時には深部痛覚はありました。

 ただ、おしっこがいっぱい溜まっていて自分でおしっこが出せない状態です。よけいにお腹が張って痛みもより強くなっています。そこでカテーテルでおしっこを抜いてあげると少しお腹が楽になりました。痛み止めの注射をうって、腰にレーザーを当ててあげました。

 ところが次の日、足の麻痺がさらに進行して深部痛覚がなくなってしまいました。こういう場合、一刻も早く手術をしないと麻痺が回復しなくなるといわれています。椎間板ヘルニアの場合、どこの椎間板がつぶれてヘルニアを起こしているかを検査しなければならないのですが、それには脊髄造影やMRI検査が必要です。今では動物でもMRI検査が普通に行われるようになってきました。

 このワンちゃんもMRI検査のできる病院を紹介し、そこで椎間板ヘルニアと診断され緊急手術となりました。手術は無事に終わり今入院して経過観察中です。退院したら今度はリハビリが必要です。最近は動物医療でもリハビリが注目されるようになっています。北杜市にはリハビリ用のワンちゃんのプールもあります。

 実は私も腰の椎間板ヘルニアの手術をしているのですが、神経の痛みはとてもつらいものです。長い期間の安静や、手術の後は筋肉が落ちるので、今では早くから体を動かしリハビリを行うようになっています。
 ワンちゃんが腰を痛がり、足が麻痺したら一刻も早く病院へ連れていきましょう。

●今回は血便のワンちゃんのお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。今日は先日来院した血便のワンちゃんのお話です。

 このワンちゃん、12歳のMダックスですが、食欲や元気はあるものの血便が2か月近くも続いているということでした。ワンちゃんが下痢をして血便が出ることは結構あります。急性の腸炎の場合に多く、通常は一日二日で治まってしまいます。

 ところがこのワンちゃんの場合、2か月も血便が続いているということなので、話を聞いただけでただものではないな、何か大きな病気が潜んでいるだろうな、と思いました。ただそのワンちゃんは、こちらの気持ちも気にせずに、比較的呑気で元気です。

 早速診察してみると、まずとても痩せていました。粘膜を見ると比較的白っぽいようです。お腹を触診してみても、どちらかというとお腹はぺちゃんこでしこりなどもないようでした。
 栄養状態があまりよくなく、血便が出ているので出血によって貧血があるようだな、でもお腹に触ってわかる腫瘍のようなものはないな、とみていきます。

 2か月も血便をしているので、全身状態のチェックとして血液検査とレントゲン検査をすることにしました。血液検査では、やはり軽度の貧血がみられ、炎症によるのか白血球の数が増えていました。また、消化管の出血のときに見られるのですが血液中の尿素窒素(BUN)の値が高く出ていました。
 レントゲンの検査では大きな異常はみられませんでした。

 真っ赤な鮮血が出ているということなので、大腸からの出血と考えられ、肛門から指で触れる範囲に異常がないかを検査しました。肛門からやさしく指を入れてみると2cmくらいのところに1cm大のポリープ様のものに触れました。
このワンちゃんは大腸にポリープがあって出血しているということが想像できました。

 実は最近参加している消化器病のセミナーでMダックスに多発性の大腸ポリープという病気があるということを聞いていたので、それかも知れないということで、そこの消化器専門の先生に診てもらうことにしました。

 その先生は内視鏡のプロなので内視鏡で検査するとやはり大腸にポリープがたくさんあるということで、麻酔をかけて内視鏡でポリープを切除する手術を行いました。無事に手術も終えて経過も今のところ順調です。あとは切除したポリープの病理検査の結果をみてこれからの治療を考えていくところです。

 このレベルの治療は一般の動物病院ではまだ難しいですがやっていることは人の医療と変わりませんね。動物が小さい分、そして麻酔なしには検査も治療も難しい分、人の医療より大変なんだと思います。

 動物の病気は最近検査が進んだこともあり、いろいろわかるようになってきて新しい病気や新しい治療法などもどんどん出てきています。常に勉強していかないといけないなと思わせてくれたワンちゃんでした。そしてこれからしっかり治療していかなければならないですね。

●今回は犬の目の下が腫れる病気のお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。今日は最近続けて来たワンちゃんの目の下が腫れる病気についてお話しします。 

 ワンちゃんの目の下がぷっくりと腫れることがあります。初めのうちは固く腫れて、そのうち軟らかくなり、ついにはそこが破れて赤い膿が出てくることも多いです。 さてこの病気何が原因だと思いますか?試しに自分の目の下を触ってみて下さい。そしてその手をもう少し下げていくと・・・そう上の歯茎にあたりますね。

 このようにワンちゃんで目の下が腫れて化膿してくる場合、歯が原因のことがほとんどです。特に多いのが奥歯の第四前臼歯あるいはその奥の第一後臼歯の根が化膿している場合です。これらの歯は根がいずれも3本あります。歯周病が進行したり、固いものを噛んだ時に歯が割れたり欠けたりして歯髄が出て感染した場合にこのような症状が見られます。
 
 治療ですが、感染して化膿しているので抗生剤を使います。この治療で腫れがひいて治ってしまったようになることもありますが、根本原因は、歯周病や歯の破損で歯の奥の根が感染していることです。したがって根本治療は抜歯ということになります。

 ワンちゃんの場合、抜歯は全身麻酔下で行います。歯周病で歯がぐらついている場合は比較的容易に抜歯できることもありますが、3本の根があるこれらの歯の抜歯は結構大変です。ドリルで歯を分割しなければ抜歯できません。また、比較的高齢のワンちゃんにおきることが多いので、十分な麻酔前の検査も必要です。抜歯をして化膿した部分の洗浄を行い抗生剤を投与すれば治療は終了です。

 このような歯の奥の根が化膿する病気の予防ですが、まず歯肉炎、歯周病を予防することです。これは日頃から口の中をよく観察することや、やはり歯磨きが重要と考えられます。歯磨きは、歯の表面をきれいにすることよりも歯と歯肉の間(歯周ポケット)の歯垢をしっかりブラッシングでとるとことが大事です。ブラシは先が細く軟らかいものがいいのですが、言うは易し、実際はワンちゃんの歯磨きは難しく皆さん苦労されていると思います。子犬の頃にいかに歯磨きの習慣をつけるかということがポイントになります。あとは定期的に麻酔下で歯石の除去、歯、歯肉のチェックが重要ですね。

 また、歯の損傷、破損を防ぐために、固いものを噛ませないことが重要です。固いものを噛みたがるワンちゃんは特に注意が必要です。骨や蹄、乾燥した豚の耳、ナイロン製骨型ガムなどは与えないようにしましょう。

 ワンちゃんも歯の管理、予防が重要ですね。ワンちゃんの目の下が腫れていたらすぐに病院で診てもらいましょう。特に噛むことがすきなワンちゃんは特に注意しましょう。

●今回は怖い冬の中毒のお話

 皆さんこんにちは。八ケ岳動物病院の浜田です。まだまだ寒い日が続きますが、今日は先日あった寒い季節の怖い中毒のお話です。

 猫ちゃん3匹が具合悪いということで来院されました。一軒のうちで3匹いっぺんに具合が悪いというのはあまりないことです。猫ちゃんで今の時期なら風邪かなとも思っていたのですが、3匹の猫たちをみて、すぐにただごとではないことがわかりました。

 3匹のうち2匹はまともに立てないような状態でした。平衡感覚を失っているというかふらついてひっくり返ったりしていました。そして3匹とも呼吸がとても早く、鼻でひくひく呼吸しているような状態です。猫で呼吸が早く鼻をひくひくさせている場合肺に水がたまったりして重篤な場合が多いです。
 さて、3匹とも呼吸が早く、ふらついたりしているとなると、何かの中毒が一番考えられます。あとは伝染病か?飼い主さんに何か変なものを食べたり、飲んだりで、思い当たることはないかと聞いてみますが、全く思い当たらないとのこと。

 いずれにしても検査が必要なので、まずは呼吸の一番早い子のレントゲンを撮ってみますが、肺・心臓・気管などの呼吸器には異常がありません。
次に一番症状の重い子の血液検査をしたところ腎機能を示す数値がとんでもなく高い値でした。腎不全、尿毒症といって腎臓が正常に働かなくなって体の中の老廃物をおしっこに出せない状態です。

 これで益々中毒の疑いが強くなりました。絶対に中毒だからよく考えてと飼い主さんに、思い当たる中毒を並べていきました。ユリや観葉植物はないか?不凍液は?と言ったところで、飼い主さんが、ん?と反応しました。そういえばトイレに不凍液を入れていてドアが開いていたのでそれを飲んだかもしれないとのことです。

 ああ、これで間違いない、不凍液に含まれるエチレングリコール中毒だということが判明しました。そして、猫のエチレングリコール中毒はとても予後がよくないのです。

 エチレングリコールは甘い味がするようで、摂取して体内で代謝されるとシュウ酸ができ、カルシウムと結合してシュウ酸カルシウムとなり腎障害を起こします。また重度の低カルシウム血症となります。 3匹ともこの病気の時の特徴である、重度の低カルシウム血症になっていました。これはエチレングリコールを摂取して時間が立っていることを示しています。

 摂取してすぐなら吐かせたり、拮抗作用のあるエタノールで治療ができますが、もはや点滴して解毒する以外に方法がありません。しかし腎臓が機能していないのでうまく解毒できないわけです。

 それでも早速入院させて点滴による治療を始めました。翌日には点滴の効果か少し良くなったようにみえましたが、血液検査をしてみると腎臓の機能を示すクレアチニンが26以上と、とんでもない数値になっていて、点滴をしても尿が作られない状態になってしまいました。ほとんどつきっきりで懸命に治療しましたが一匹は全く尿がつくられないまま、あとの2匹は尿が少し出るようになったものの入院して4~5日で残念ながら皆亡くなってしまいました。

 このエチレングリコールという物質ですが、不凍液のほかアイスノンなどの保冷剤にも含まれている場合があります。保冷剤を齧って飲んでしまう可能性があります。寒い時期だけでなく暑い季節にも注意が必要です。不凍液、保冷剤は危険と考えて成分をみて十分に注意する必要があると思います。

●今回は年末の重病のお話

 皆さんあけましておめでとうございます。八ケ岳動物病院の浜田です。年末年始はいかがでしたか?動物病院でも年末年始やお盆はなるべく重病がいなければいいなと思うのですが毎年いろいろありますね。

 今日は今年の年末に来た重病のお話です。まだ若い2歳のワンちゃん、4~5日前から食欲なく何回も吐いている、ということで来院しました。診察すると脱水がひどく、循環も悪くなっていて明らかに状態が悪くお腹を触診すると痛みもありました。

 血液検査をすると明らかに脱水して血が濃くなっていて電解質といって血液中のナトリウムやクロールが低くなっていました。腸閉塞の疑いもあります。レントゲンを撮ってみますが、腸閉塞の疑いもあるかなということくらいしかわかりません。異物があるようにもないようにも見えます。レントゲンではっきりわかる異物は、石や固い骨、金属くらいなのであとは神の目でみるしかありません。

 この子は腸閉塞の疑いもあり状態が悪いので入院して点滴をすることにしました。腸閉塞の疑いが強い場合、手術もありということでしたが入院中も何度も嘔吐しました。この吐物がうんちの匂いで病院中が臭くなってしまうほどでした。吐物がうんちの匂いということは腸内容が逆流して出てきていると考えられるので腸閉塞の疑いがさらに強くなったので晩に緊急手術となりました。

 開腹してみると、色が赤紫になった小腸と腸の中に固いものが詰まっているのがわかりました。一部の小腸は痛んでいたので30センチくらいは切除して腸を吻合して何とか無事に手術を終えることができました。切除した腸の中に詰まっていたものを取り出してみると何とトウモロコシの芯でした。長さは4,5センチくらいです。

 あとでレントゲンをよく見直してみるとそれらしき影が映っています。このことが頭にあればレントゲンでわかったかも知れません。
やはり神にはまだほど遠いですね。

 手術後2日ほど入院して何とか食べられるようになり、年末ぎりぎりに無事退院していきました。よかったです。あの時手術に踏み切っていなければ、さらに悪化してどうなっていたでしょう。ぎりぎりのタイミングだったかも知れません。

 ワンちゃんが吐く原因は胃腸だけでなく実にいろいろあり、また何を食べたか話してくれないので診断に苦労することもあります。また今回のようにトウモロコシの芯で腸閉塞になることはしばしばあります。ワンちゃんが食べてはいけない物のリストにトウモロコシも加えた方がいいですね。さらに、吐物がうんちの匂いがする場合、腸閉塞の疑いが強く手術が必要な場合が多いので、すぐに病院へ連れてきてください。

●今回は猫ちゃんの膀胱炎とストレスのお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。暖冬とはいっても寒くなってきましたね。今日はこの時期に増える猫ちゃんのおしっこの病気とストレスのお話です。

 寒くなってくると増える病気の一つにおしっこの病気、特に膀胱炎があります。ワンちゃんでは細菌などが増える感染性の膀胱炎が多いのですが、猫ちゃんではストレスなどが原因となる特発性、つまり原因のよくわからない膀胱炎が多いといわれています。また、ストラバイトなどの結石のもとになる結晶ができてこれが膀胱炎の原因になることが多いです。

 なぜ寒い時期にこの病気が多いかというと、寒いと運動量も減り、水を飲む量も減ることが原因として考えられます。水を飲む量が減るとおしっこが濃縮されて濃くなるので結晶ができやすくなります。また、おしっこが少ないと細菌や結晶が排出されにくくなります。

 膀胱炎の症状としては、頻尿つまり何度もトイレに行くけどあんまりおしっこが出ない。また血尿といって赤いおしっこをすることもあります。結晶が多い場合、おしっこがキラキラ光って見えることもあります。さらにトイレではない場所でおしっこをすることもあります。おしっこをするときに痛くて変な声を出すこともあります。雄猫ちゃんの場合は尿道が細いので結晶や血の塊などで尿道が詰まってしまいおしっこが全く出なくなってしまうことがあり、これは命に関わることなので、おしっこが全く出ない、食欲なく吐いているなどの症状があるときは一刻も早く病院に連れていって下さい。

 膀胱炎の治療は、通常は抗生剤を使います。血尿の時は止血剤を使うこともあります。また結晶が多い場合や続く場合は、食餌管理といって専用の療法食に変更する場合もあります。ストラバイトという結晶ができるのは体質、食餌が関係していて、おしっこが酸性になるようにまたマグネシウムというミネラルを低減したフードにすると結晶ができにくくなります。食餌の値段は高いのですが、効果は確実なので、食餌管理はお勧めします。

また、膀胱炎の時はおしっこをたくさん出して洗い流す方がいいので水分の多い缶詰フードにするのもいい方法です。さらに水分をしっかり摂れるように飲み水を工夫するのも大事です。

 さて、最近、続けてストレスが原因と思われる猫ちゃんの膀胱炎が来ました。一つは飼い主さんが病気で長期間入院していた子、もう一つは車で東京方面に泊まりに行った子、そして最後は子供が生まれて最近あまり構っていなかった子。猫ちゃんは思った以上にストレスを感じています。

 猫ちゃんにはなるべくストレスを与えないように、そして異常があれば早めに病院へ行きましょう。

●今回は大村先生と動物医療のお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。山梨県出身の大村智先生が、今年のノーベル医学・生理学賞に選ばれました。とても明るい話題ですね。

 ところで、あまり話題にならなかったのですが、大村先生の開発したイベルメクチンという薬、実は動物医療ではとてもよく使われている薬なのです。このイベルメクチンという薬ですが、静岡県の土の中から発見された微生物が生産する寄生虫に効果のある抗生物質を製品化したものです。この薬は線虫という糸状の寄生虫や体に寄生するダニにも効果があります。

 テレビなどでも報道されていますが、人の重篤な熱帯病であるオンコセルカ症およびリンパ系フィラリア症に効果があり、薬を開発したメルク社および北里研究所によって無償供与され撲滅プログラムが展開されています。いずれの病気もフィラリアという糸状の寄生虫が原因でオンコセルカ症ではかゆみ、そして重症化すると失明を引き起こします。またリンパ系フィラリア症ではリンパ節炎、リンパ管炎、熱発作を起こし皮膚に水腫やむくみ、進むと象皮症を引き起こします。この薬、2012年1年で2億2千万人に投与され、オンコセルカ症は2025年、リンパ系フィラリア症は2020年に撲滅を達成できる見通しが発表されています。素晴らしいですね。

 さて動物医療の方ですが、まず牛などの産業動物の寄生虫駆虫剤として登場しました。私は以前、牛の診療をしていたのですが、画期的な薬が出来たということで放牧する若い牛たちに片っ端から注射したのを思い出します。その後、皮膚から吸収される背中に垂らす薬になり投与がずっと楽になりました。寄生虫を駆除することにより体重も増え、乳量も増えると言われ畜産業界にも多大な貢献をしています。

 また、フィラリアといえばワンちゃんを飼っている人は予防すると思いますが、フィラリア予防の薬の成分はほとんどがイベルメクチン、あるいはその仲間の薬なのです。いかにたくさんこの薬が使われているかわかりますね。

 また、この薬、体に寄生するダニにも効果があり、時々ワンちゃんで見られる疥癬という皮膚にトンネルを作って寄生するダニの治療の特効薬です。見ているのもかわいそうなくらい痒がるワンちゃんを3.4回の注射で治してしまいます。

 さらに、昔はほとんど治らないとされていた重症の毛包虫症というやはりダニが皮膚に増殖してしまう病気にも効果があります。

 この薬、何と1981年の発売の翌々年から20年あまり世界の動物薬売り上げNO.1だったそうです。

 大村先生は間違いなく動物界でもノーベル賞ですね。獣医として、そして動物たちを代表して大村先生、ありがとうございます。

●今回は人気犬種と病気のお話

 皆さんこんにちは。八ケ岳動物病院の浜田です。今日は人気の犬種と病気についてのお話です。

 人気の犬種は時によって変わりますが、昔はテレビドラマの影響でコリーやハスキー犬が人気になったこともあります。またTVコマーシャルの影響でチワワも人気が出ました。最近では、少し前まではMダックスが圧倒的な人気で、今はTプードルが一番人気です。
 動物保険会社大手のアニコムの統計でも、今の人気はTプードル、チワワ、Mダックスが御三家で、柴、ポメラニアン、ヨークシャーテリア、Mシュナウザーが続き、さらにフレンチブルドッグ、コーギー、シーズー、パピヨン、ゴールデンレトリバーなどが続きます。

 こうみると小型犬が圧倒的に多いですね。そして、我々獣医師が多くみる病気も人気犬種によって変わってくる傾向にあります。

 人気が出ると乱繁殖によって遺伝的に素因を持っていた病気が出てくることが考えられます。もしもワンちゃんを買う場合、人気があるとか、目が合った、可愛いとか安易に選ぶのではなく、その犬種はどんな性質か、どんな病気が多いかなど十分に考えてから買うのがいいと思います。

 まず一番人気のTプードル、社交的で穏やかな性格の子が多く、抜け毛も少ないのが特徴です。ただ毛の手入れが必要でトリミングは欠かせません。
病気に関しては若い頃に注意が必要なのは前足の骨折です。さらに後ろ足では大腿骨の股関節部分の異常、また膝蓋骨脱臼といって膝のお皿が脱臼する病気も多いです。
白内障など目の病気も比較的多く涙焼けも多いです。さらにホルモン異常による副腎の病気や糖尿病も比較的多いです。
その他癲癇や心臓の弁の病気も比較的多く、免疫異常による関節炎や貧血も時々見られます。

 次にチワワですが、賢くて勇敢、性格はすごく臆病な子から気の強い子まで様々です。時々飼い主さんより偉くなってしまうおバカさんもいます。病気は、まず、Tプードル同様膝の脱臼が多いです。その他水頭症など脳神経関係の病気も多いです。また、目が飛び出ているために目の病気も比較的多いです。さらに気管が細くなる病気や心臓の弁膜症も多いです。

 最後にMダックスですが、ダックスはもともとアナグマやキツネの狩猟犬だったので、勇敢で好奇心旺盛な性格です。結構きついワンちゃんもいます。病気ではまず、首や腰の椎間板ヘルニアがとても多いです。関節炎も比較的多いです。また、皮膚病も多くダックス特有の皮膚炎や脂肪識炎もあります。ホルモンの異常による甲状腺の病気や副腎の病気も多く糖尿病も比較的多いです。白内障や角膜疾患など目の病気も多く、歯周病も多いです。
 今回はワンちゃんの人気御三家とその病気について話しましたが、飼う前にその犬種の特徴やなりやすい病気についても知っておくほうがいいと思います。

●今回は最近続けて来た重病のお話

 皆さんこんにちは。八ケ岳動物病院の浜田です。今日は最近続けてきた重病についてのお話です。

 どちらの子も、超小型犬で一つは1,5kgもう一つは2,2kgしか体重のない子でした。いずれも数日食餌を食べず、お腹が張ってうんちが出ないとのことでした。診察してみると、最初の子はふらふらして起き上がれず、お腹が張っていました。レントゲンを撮ってみると、どちらの子もお腹の中に巨大な臓器があって腸は上の方へ押しやられている状態でした。どちらの子も避妊していない女の子だったので、子宮に膿が溜まる病気を疑い、エコーで見てみると液体の溜まった巨大な子宮と思われる臓器がお腹の大部分を占めていました。

 また、血液検査をすると初めの子は白血球の数が2,000くらいに下がり、低血糖、貧血もありました。敗血症といって菌が全身に回って体が菌に負けている状態でした。もう一方の子も貧血があってこちらは何と白血球の数が10万を超えていて感染がひどいという状態でした。またどちらの子も腎臓の機能も落ちていました。子宮蓄膿症といって子宮に膿が溜まる病気です。

 一刻も早く感染した子宮を取り出さないと命が危ない状態でしたので、いずれも晩に緊急手術となりました。

 状態が悪いため、どちらの子も麻酔のリスクは高く、あまりに大きな子宮のため手術の時に仰向けにすると胸を圧迫して呼吸がしずらくなり、人工呼吸器なども使って慎重な麻酔で手術を行いました。

 また、傷口が大きくなりすぎると手術時間も長くなりリスクが増えるので切開してすぐに太い針をさして子宮の膿をある程度抜いてから子宮を取り出して卵巣と一緒に切除しました。普通の子宮蓄膿症では避妊手術とそれほど変わらないのですが、今回は超小型犬でしかも子宮がとても大きかったので大変な手術になってしまいました。

 幸いどちらの子も無事に手術を終えることができ、その後数日入院して元気に退院していきました。もう一日遅かったら、と考えるとドキドキものですが、まずはほっとしました。

 うんちが出ないというと便秘など腸の病気を考えがちですが、便秘はむしろ多くなく、腹水が溜まっていたり、今回の例は珍しいですが子宮の病気や男の子なら前立腺の病気や肛門の付近の腫瘍やヘルニアなど大きな病気が原因のことが多いです。雄猫ちゃんではおしっこが出ない時にも便秘と間違えることもあります。

 おしっこやうんちが出ないというときは大きな病気のことが多いのでくれぐれも早めに病院へ連れていくようにしてください。

●今回はワンちゃんの甲状腺機能低下症のお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。毎日暑い日が続きましたがワンちゃん猫ちゃんたちは元気ですか?

 今日は中高齢のワンちゃんに多い甲状腺機能低下症のお話です。以前にお話ししたように猫ちゃんでは甲状腺の機能が高まる病気が多いのですがワンちゃんは逆に甲状腺の機能が低下する病気が多いです。

 甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは、体を構成する骨、筋肉、皮膚その他全身の新陳代謝の働きを促進、調節しています。したがってこの甲状腺ホルモンの分泌が低下する甲状腺機能低下症では様々な症状がでます。元気、活力がなくなり散歩をいやがったり、ぼんやりして悲しげな顔つきになったり、寒がる、体重増加、肥満傾向になることもあります。

 脱毛や皮膚が乾燥して色素沈着をしたり、心拍数が減ったり、神経の異常として顔面神経麻痺や平衡感覚が異常になったりもします。
食欲が落ちることは少ないので病気だと思わず年のせいだと思われて見過ごされることも多いようです。

 この病気の原因ですが、免疫異常による甲状腺の炎症や原因のわからない甲状腺の委縮が多いようです。この病気の多い犬種としては、ゴールデン・レトリバー、ラブラドール、アフガンハウンド、ボクサーなどの大型犬やシェルティ、ビーグル、プードル、ダックスなどがあります。

 診断は、臨床症状と血液検査を総合的に判断します。一般的な血液検査では貧血や高コレステロール血症が見られることが多いです。また、甲状腺ホルモンの値が低くなります。甲状腺ホルモンの値は他の病気でも下がることがあるので、腫瘍、心臓病や糖尿病、副腎皮質機能亢進症などの他の病気がないかをよく調べて総合的に診断する必要があります。

 治療ですが、この病気と診断されれば治療は比較的簡単です。甲状腺ホルモンの薬を飲むことです。診断が正しければ臨床症状は改善されてきます。あとは、定期的に甲状腺ホルモンの値を検査して薬の量を調節していきます。治療の反応は良好なことが多く、多くの場合様々な臨床症状は時間とともに改善されてくる場合が多いです。この病気自体の予後はよいといえます。
ただ、他の病気を併発している場合や、他の病気がもとで甲状腺の機能が落ちている場合は、その基礎疾患によって悪くなることもあります。

 中高齢のワンちゃんで何となく元気がないとか、皮膚の脱毛や肥満傾向がある場合など甲状腺の病気を疑ってみることも必要です。

●今回はワンちゃん連れでアウトドアの注意点のお話

 皆さんこんにちは、アウトドアを楽しむ季節になりました。今日はワンちゃん連れでアウトドアを楽しむときの注意についてお話しします。

 アウトドアに出かける時はほとんど車で出かけますが、まず車での注意です。普段から車に慣れさせておくといいでしょう。どうしても車酔いをする場合は獣医さんと相談して薬を使うのも方法です。

 まず、車に乗る前にはトイレを済ませ、満腹だと吐くことがあるので食事は少し前に済ませておきましょう。車の中ではなるべくクレートやケージに入れてリラックスできるように工夫します。また、1,2時間毎に休憩をして水分もこまめに補給しましょう。

 車で最も気を付けることは犬を残して車を離れない、特に暑いこの時期はエアコンをきって窓を閉め切った状態に絶対にしないでください。毎年車の中で暑くて熱射病になり命を落とすワンちゃんがいます。特にパグ、ボストンテリア、フレンチブルドッグなどの鼻のつぶれたワンちゃんは注意が必要です。

 さて、車から出てアウトドアで遊ぶ場合ですが、伝染病やノミ・ダニの予防をしておくことが重要です。ダニに咬まれたというワンちゃんはよく来ます。また、森や林の中などでは、蜂に刺されることも多いです。蛇にかまれることもあります。特にマムシは注意が必要で蜂に刺されたり蛇に咬まれたらすぐに病院へ行きましょう。応急処置としては冷やすことです。

 ドッグランなどで遊ぶ場合には、急に激しい運動をしないように気を付けましょう。特に高齢のワンちゃんは注意が必要です。その他ワンちゃん同士が接触する場所では喧嘩にも注意が必要です。喧嘩をして怪我をした場合はなるべく傷口をきれいにして病院へ行きましょう。

 その他異物を食べてしまうことも多いので気をつけましょう。バーベキューの串にさした肉や玉ねぎの入った食材なども注意しましょう。ヒキガエルは毒がありますし、カエル、蛇など寄生虫がいることもあります。また、宿で食べ慣れない物を食べて下痢することもあります。普段の慣れた食餌を持参するのがいいでしょう。

 この時期最も注意が必要なのは熱射病です。車は先ほど話しましたが、散歩も注意が必要です。散歩は早朝まだ気温が上がらないうちがいいでしょう。夕方は意外に気温が下がっていないし地面も熱いですから注意が必要です。先ほども話しましたが、パグ、ボストンテリア、フレンチブルドッグは特に注意してください。応急処置はとにかく冷やすことです。濡れタオルに水をかけて風を送るのが一番です。氷を使うとさらにいいでしょう。全身冷やしますが特に血管の多い首筋や腋の下を重点的に冷やします。

 以上アウトドアでワンちゃんと遊ぶ時の注意点を話してきましたが、これからいい季節、病気、怪我などなく楽しいアウトドアを楽しんで下さい。

 以上、八ケ岳動物病院の浜田でした。

●今回は猫のワクチンについてのお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。梅雨に入り不快な季節になりましたがワンちゃん猫ちゃんは元気でしょうか?今日は猫ちゃんのワクチンについてのお話です。

 猫ちゃんにもワンちゃん同様、怖い伝染病があります。このうち次の感染症に対するワクチンがあります。
 猫エイズウイルス感染症、猫汎白血球減少症(猫パルボ)、猫白血病ウイルス感染症、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫クラミジア感染症の6つです。

 猫のワクチンはこれらの病気のうちの複数が入った混合ワクチンを注射する場合が多いです。猫エイズウイルス感染症に対するワクチンは単独で、一度発売されてその後発売中止となり、また現在は発売されています。このワクチンは扱っていない病院もあるので、事前に問い合わせた方がいいです。
 その他の混合ワクチンですが、基本的には猫汎白血球減少症(猫パルボ)、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症の3つの病気に対するワクチンが3種ワクチンと呼ばれているものです。これに猫白血病ウイルス感染症、猫クラミジア感染症に対するワクチンが含まれたものが4種から7種ワクチンと呼ばれています。

 ワクチンに含まれる感染症ですが、まず猫汎白血球減少症(猫パルボ)は、下痢、嘔吐、発熱などをおこし急死することもある怖い伝染病です。また、猫ウイルス性鼻気管炎と猫カリシウイルス感染症は、いわゆる猫風邪と呼ばれるくしゃみ、鼻水、目脂、発熱などの症状を起こし、他の細菌の二次感染などで重症化することもある病気です。とても感染力が強いのが特徴です。

猫クラミジア感染症も風邪のような症状を起こし、結膜炎や角膜炎など目の症状が強く出ます。

猫エイズウイルス感染症と猫白血病ウイルス感染症はどちらも免疫を弱くするので様々な病気にかかりやすくなります。口内炎は代表的ですが、その他ウイルスに関連した腫瘍を起こすこともあります。エイズウイルスは主に喧嘩の傷から感染します。白血病ウイルスは母猫から子猫への感染や接触などで感染します。

 どのワクチンを使うのがいいのかは、その猫ちゃんの飼い方にもよります。外に出て他の猫ちゃんに接触することがあるのかどうかがまず重要なポイントです。外に全く出ない猫ちゃんにエイズや白血病のワクチンは必要ないでしょうし、猫ちゃんが複数いる場合は、他の猫ちゃんがこれらの病気をもっているかも重要なところです。

 またワクチンも体に異物を注射するので副作用もあります。猫ちゃんではワンちゃんと違ってアレルギー様の急性の副作用が出ることは少ないですが、2,3日ぐったりしていたとか、元気がなくなるということは時々あります。

このようにワクチンにはいい面も悪い面もありますから、獣医さんと相談して適切なワクチンを適切な時期に注射するようにしましょう。

●今回は犬のワクチンについてのお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。動物病院もワンちゃんの予防の季節でにぎやかになってきました。今日はワクチンのお話です。狂犬病については前回お話ししましたので今回はワンちゃんの混合ワクチンのお話です。

 混合ワクチンとは複数の伝染病のウイルスに対するワクチンを含んだもので、5種ワクチン、6種ワクチン、9種ワクチンなど含まれているウイルスの種類や数によって名前がついています。

 これらのワクチンによって予防できる病気ですが、まず、犬ジステンパーは、発熱や風邪のような症状、嘔吐、下痢や神経症状を示し子犬では死亡率の高い病気です。また、犬パルボウイルス感染症は発熱、下痢、嘔吐をおこしやはり死亡率の高い病気です。

 犬伝染性肝炎も高熱、嘔吐、下痢、目が濁るなどの症状が出て急死することもある怖い病気です。さらに犬アデノウイルス2型感染症と犬パラインフルエンザは熱、鼻水、咳など風邪のような症状をおこし細菌や他のウイルスとの混合感染で症状が悪化する病気です。

 これらの5つの病気が代表的な伝染病でこれらに対する免疫をワクチン注射でつけておくことが大事です。

 これらの代表的な伝染病の他に犬コロナウイルス感染症といって主に嘔吐、下痢をおこす病気や、腎炎や肝炎をおこし人にもかかる犬レプトスピラ感染症という病気があり、混合ワクチンに含まれています。

 ワクチンをいつ打つかということについてですが、子犬の2,3か月の時期に2~3回、以降は一年に一回注射するのが一般的です。
子犬の時期に複数回うつ理由ですが、子犬は母親から移行抗体といって病気に対する免疫をもらっています。この移行抗体が体にあるうちは病気にかかりにくいのですが、この抗体をお母さんから母乳を介してどれくらいもらっているか?また、そのもらった抗体がどれくらいでなくなるか?これを推測して抗体がきれてくる時期にワクチンを注射して自分で免疫を作るようにするのです。
それが大体生後2,3か月くらいということで、この時期に複数回ワクチンを注射します。母親の抗体が残っている時期にはワクチンを注射しても効果がないので抗体が切れる時期をめがけて複数回注射するわけです。

 このように病気の予防として重要なワクチンですが、いいことばかりではありません。体に異物、しかもウイルスを弱くしたものを入れるのですから副作用もあります。
もっとも激しいものではアナフィラキシーといって急性の反応で死んでしまうこともあります。もちろん頻度はとても低いのですが毎年そのような報告はあります。また、よく見られる副作用では顔が腫れたり、吐いたりすることがあります。その他免疫を刺激して自己免疫疾患といって免疫異常の病気の引き金になる可能性もあります。

 このようにワクチンといってもいろいろな面がありますので獣医さん任せにしないで十分に話してもっとも適切な時期に適切なワクチン注射をするようにしましょう。

●今回は狂犬病についてのお話

 皆さんこんにちは。八ケ岳動物病院の浜田です。4月になり大分暖かくなってきました。狂犬病の注射も始まり、動物病院もにぎやかになってくる季節です。今日は狂犬病のお話です。

 先日私も狂犬病の集合注射に行ってきましたが、獣医にとってはとてもエネルギーを使う仕事です。動物病院には来ないような気性の荒い犬も多く、咬まれないように素早く注射をうたなければならず、またワンちゃんが沢山集まるので興奮して喧嘩をしないように注意しなければなりません。自分の飼っているワンちゃんはしっかりと抑えられるようにしてほしいものです。
さて、狂犬病という病気ですが、実はワンちゃんだけの病気ではなく、人を含めたすべての哺乳類が感染します。発病すると治療法はなく、神経症状を示してほぼ100%死亡するという大変怖い病気なのです。

 狂犬病の病原体はウイルスで、発病動物に咬まれ唾液中に排出されるウイルスが傷口から侵入して伝播します。体に入ったウイルスは神経を伝って脳など中枢神経に達して大量に増えて様々な神経症状を起こし、唾液腺で増殖します。潜伏期間は平均1~2か月、人で7年という例も報告されています。
高度な医療が確立した現在でも、世界では毎年約5万人の人と十数万の動物が狂犬病で死亡していると推定されています。狂犬病の発生がない国は日本、英国、ニュージーランド、オーストラリアなどわずかで、ほとんど世界中に発生がみられます。

 日本では1920年代には年間約3500件の発生がありましたが、犬にワクチン接種が義務付けられてから約10年で年間数件の発生に減少し、太平洋戦争で予防対策がおろそかになって約1000件の発生が見られました。

 しかし1950年に狂犬病予防法が施行されワクチン接種が義務付けられたところ1956年の6頭の犬の発生を最後に今日まで発生していません。猫でも1957年を最後に発生がありません。また、人でも1956年を最後に発生はありませんが、狂犬病発生地域で犬に咬まれて帰国後に発症した事例はその後数例あります。

 このように現在日本では狂犬病の発生はありませんが、これは今までの犬へのワクチン接種の成果といえます。犬からの感染が最も考えられるのできちんと狂犬病ワクチンを注射することが大事です。近年海外との交流も盛んでいつ海外から狂犬病が侵入してくるかわからない状況にあるといえます。

 また、海外に渡航する場合は、安易に犬や動物に近づかないようにして、もし犬や動物に咬まれたら保健所や医療機関に相談するのがいいでしょう。生きているうちに狂犬病にかかっているかどうかを検査する方法は現在のところありません。咬んだ動物が特定でき拘留できれば発症するかを確認することはできます。人の場合は、犬などに咬まれた後に発症を予防するワクチンの注射があるので、それを受ける方法もあります。また、狂犬病流行国に渡航する場合あらかじめ狂犬病のワクチンを注射する方法もあります。

 以上狂犬病についてお話ししましたが、狂犬病は想像以上に怖い病気ですね。

●今回は最近多かった乳腺腫瘍についてのお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。今日は最近多かった乳腺腫瘍についてのお話です。

 人の方では女性の乳癌が増えているようですが、ワンちゃん猫ちゃんの乳腺腫瘍も時々見られます。ペットの乳腺腫瘍は、主に中高齢の雌に見られ、ワンちゃんでは主に避妊していない子に多くみられます。猫ちゃんの乳腺腫瘍はワンちゃんほど多くありません。これは猫ちゃんではほとんどが避妊手術をしている場合が多いからだと思われます。

 乳腺腫瘍の原因は詳しくはわかっていませんが、その発生にはエストロジェン、プロジェストロンといった女性ホルモンが関係していると言われています。早期に避妊手術を実施した場合には乳腺腫瘍の発生率が低いことがわかっています。また、栄養学的には1歳時の肥満が乳腺腫瘍の危険性を増加させているという報告もあります。

 乳腺腫瘍の症状ですが、乳腺のある部分にしこりができます。食欲がなくなるなどの、全身症状が出るのはかなり病状が進んだ場合です。毛が長い場合や、普段からあまり触っていないと、かなり大きくなるまで気が付かないこともあります。外で飼われているワンちゃん猫ちゃんでは、腫瘍が大きくなって破れて出血するまで気が付かないこともあります。

 乳腺腫瘍の中でも特に症状が激しいものがあり、炎症性乳癌とよばれています。この乳腺腫瘍はワンちゃんで見られ、悪性で症状が激しく、痛みや発赤、熱感を伴い病状も早く進行する場合が多いです。また、転移することも多く、基本的に手術は禁忌とされています。治療としては痛みを抑えたり、炎症を抑える治療が主体になります。

 炎症性乳癌は特殊な例ですが、一般的な乳腺腫瘍の治療は外科手術が基本です。腫瘍をとってしまうことです。ただ、乳腺という広い部分の中に腫瘍ができるために切除する範囲が問題になります。悪性の腫瘍では周りに腫瘍が浸潤していることも考えられるため、時には片側の乳腺を大きく切除することもあります。それで乳腺腫瘍の手術では術後の傷を見てびっくりする飼い主さんも少なくありません。乳腺腫瘍は多発していくつもできることがあり、どのように切除するかは、年齢や状態によっても変わってきます。また、悪性かどうかの判断は基本的には切除した組織を病理検査に出さないとわかりません。ワンちゃんでは大体半分くらいが悪性、猫ちゃんはほとんどの乳腺腫瘍は悪性とされています。一般的には大きなもの、急速に大きくなるものが悪性の可能性が高くなります。

 乳腺腫瘍の切除と一緒に避妊手術をするかどうかですが、一般的には同時に行う場合が多いです。同時に子宮や卵巣の病気の予防にもなります。これも手術時の状態や飼い主さんの考えによっても変わってきます。

 抗がん剤など外科手術以外のいい治療方法は今のところ知られていません。早期に見つけて切除するのが一番いいようです。

 乳腺腫瘍の早期発見のためにも、ワンちゃんや猫ちゃんとのスキンシップで胸やお腹のしこりがないか時々チェックしてみましょう。

●今回はワンちゃんの怖い伝染病についてのお話

 皆さんこんにちは、今日はワンちゃんの怖い伝染病のお話です。
先日生後2か月くらいのワンちゃんがパルボウイルス感染症で亡くなってしまいました。小さな体で一生懸命頑張っていたのですが、とてもやりきれない思いです。

 ワンちゃんの伝染病は、主にウイルスや細菌の感染によって起こり、伝染力が強く死亡率が高い怖い病気もあります。
伝染病は、混合ワクチンに含まれるものが主なもので、6種ワクチン、9種ワクチンというように7種類くらいの伝染病があります。

ワクチンに含まれる伝染病は、犬ジステンパー、犬伝染性肝炎、犬アデノウイルス2型感染症、犬パラインフルエンザ、犬パルボウイルス感染症、犬コロナウイルス感染症、犬レプトスピラ感染症です。

 これらの伝染病のうち、よくみることがあり実際に診断するのは犬ジステンパーと犬パルボウイルス感染症です。そしてこれらの感染症は特に子犬での死亡率が高く怖い病気です。

 犬ジステンパーは以前は多かったようですが最近はあまり見なくなりました。この病気にかかると高熱、目ヤニ、鼻水、くしゃみと風邪のような症状が出て、元気、食欲がなくなります。また嘔吐や下痢をしたり、震えやケイレンなどの神経症状を起こす場合もあります。特に子犬では死亡率の高い伝染病です。ウイルスによる病気なので特効薬はなく、治療は点滴をしたり、二次感染を抑える抗生剤を投与したり、ケイレンや吐き気を抑える薬を使います。

 犬パルボウイルス感染症も、初めにも述べましたが怖い伝染病で、食欲がなくなり、衰弱して発熱や嘔吐、時には血液の混じった激しい下痢がみられます。重症になると脱水が進み、短い経過で死亡することもあります。伝染力が強く、非常に死亡率が高い病気です。治療はジステンパー同様に点滴したり二次感染防止に抗生剤を投与したり、吐き気止めを使います。最近ではタミフルなどの抗ウイルス薬を使うこともあります。
この病気は今でも時々みられます。特にペットショップから来てまもない子犬に多くみられます。

 これらの伝染病はワクチンで予防できる病気です。子犬の時のワクチンは特に重要で、生後2カ月くらいから、確実に最低2回のワクチンをうつ事が大事です。これらのウイルスは一般の家庭にあるわけではなく、多くのワンちゃんたちが集まる場所にあると思われますので、ペットショップなどからワンちゃんを買う場合には、適切な時期に確実にワクチンを注射している子を選ぶようにしましょう。また、ペットショップから家庭へと環境の変化がストレスになり病気が発症すると思われるので、慣れるまでは十分気をつける必要があります。

 また、新しくワンちゃんを家族に迎えるに当たっては保護犬や里親さんから迎えることをもっと考えてほしいと思います。
以上、八ケ岳動物病院の浜田でした。

●今回は動物のインフルエンザについてのお話

 皆さんこんにちは。寒さも厳しくなり、インフルエンザが流行っているようですが、ついに私も初めてインフルエンザに罹ってしまいました。体にいいか悪いかはわかりませんが、今は抗ウイルス薬などもあり、仕事も休むことなくすぐに回復しました。今日はインフルエンザのお話です。

 ワンちゃん猫ちゃんなどのペットにインフルエンザはあるのでしょうか?フェレットが人と同じインフルエンザにかかることはよく知られていますが、実はワンちゃんや猫ちゃんにもインフルエンザの発生は報告されています。ただ、日本では犬や猫のインフルエンザが発生したという報告はありません。

 インフルエンザウイルスはAからC型に分類されB、C型は主に人が感染し、A型ウイルスは多くの動物に感染し、主に呼吸器症状を引き起こします。
 A型ウイルスはもともとカモなどの水禽類の間で感染していたもので、この鳥インフルエンザウイルスが全てのA型ウイルスの起源で、何らかの経緯で人に感染するようになり人の社会に定着、進化しているのが人インフルエンザウイルスです。

 鳥のウイルスが人に感染するようになるためには、あらかじめ哺乳動物に感染して変異する必要があります。この変異に強く関わっているのが豚です。豚は鳥ウイルスと人ウイルスに対するレセプターが呼吸器にあるために人から豚、豚から人への感染が報告され、スペイン風邪などの世界的大流行にも関わっています。

 また、鳥インフルエンザウイルスの中で致死性の高病原性鳥インフルエンザウイルスも多くの哺乳動物に感染し、ネコ科動物への感受性が強く、全身症状を呈した後、致死性に経過する例が多くみられ、感染源はウイルスに感染した鳥類が混入した餌を食べた事によると考えられています。
 馬のインフルエンザは世界中で流行がみられ日本でも競走馬に流行し競馬開催が取りやめになったりしました。

 犬のインフルエンザはアメリカで報告され、始めはいずれもドッグレース場での発生で、ウイルスは馬インフルエンザウイルスと同じ亜型のウイルスによるものでした。その後ペットの犬にも発生がみられました。また、韓国でも鳥由来のウイルスによる集団発生が、タイでは高病原性ウイルスの犬への感染も報告され、いずれも鳥の肉を食べて感染したようです。

 猫のインフルエンザはタイの動物園のトラ、ヒョウで報告され、死亡率の高い高病原性鳥インフルエンザウイルスの亜型の感染でした。
また、タイで2歳の雄猫がインフルエンザに感染して死亡しましたが、その猫は鳩の死骸を食べていてそれが感染源と考えられています。

 インフルエンザが犬や猫から人に感染したという報告はありません。

 今のところ日本では犬や猫のインフルエンザは報告されておらず、人に感染するということはあまり考えられませんが、馬、豚、そして鳥では発生がみられます。馬や豚、鳥のインフルエンザと犬や猫のインフルエンザ、そして人のインフルエンザも密接に関わっています。インフルエンザは、人だけでなく他の動物の動向にも注意していかなくてはならない病気なんですね。
以上、八ケ岳動物病院の浜田でした。

●今回は寒いこの季節に多い病気

 寒さが厳しくなってきましたが、猫ちゃん、ワンちゃんたちは元気ですか?今日は寒いこの時期に多い病気についてのお話です。

 寒いというとまず風邪ですね。猫ちゃんではこの時期いわゆる猫風邪という病気が流行ります。人の風邪に似ていて鼻水、くしゃみが多く出ます。また口の中に口内炎ができたり喉に炎症がおこって声がかすれたり飲み込みにくくなったりします。主にウイルスが原因なので特効薬はないため二次感染防止に抗生剤を使ったり、ネブライザーといって吸入治療をしたり、十分に栄養をとって休養することが大事です。

 ワンちゃんではいわゆる風邪というのはあまりないのですが、寒くなるとお腹を壊す子が多くいます。下痢がひどい場合は腸を休めるのに絶食して、整腸剤や抗生剤を使ったり輸液をすることもあります。

 寒いとトイレが近くなりますが、猫ちゃんやワンちゃんでもこの時期、おしっこ関係の病気も増えます。寒くなると水を飲む量も少なくなって、尿が濃くなります。それで結石や炎症が起きやすくなるのです。膀胱炎や尿路結石が起こりやすくなり、特に雄猫ちゃんは尿道が細いために尿道が詰まっておしっこが全く出なくなってしまうこともあり、これは命にも関わる病気です。トイレで踏ん張ってもおしっこが出ない時やおしっこに何回も行くとき、血尿が出ているときは一刻も早く病院へ行きましょう。

 寒いと空気が乾燥して咳が出やすくなります。猫ちゃんの咳はあまりないのですが、ワンちゃんのうち特に小型犬ではこの時期、咳をする子が多くなります。咳の原因は主に気管や気管支、肺、そして心臓に異常がある場合です。気管支炎や喘息のような病気を持っている子は急に冷たい空気に触れると咳が出やすくなるので注意しましょう。
また、心臓に異常がある子は特に注意しましょう。人でもそうですが、急に寒い所へ出た場合など血圧の変化が大きくなり心臓に負担がかかります。心臓病が進んで肺に水が溜まる肺水腫という状態は、呼吸が早く苦しくなり咳も出ます。鼻や口から血が出るようになると危ない状態ですから、その前に咳が多かったり呼吸が早く苦しそうなら一刻も早く病院に行くべきです。

 その他寒いと運動不足になり、関節の動きも悪くなります。また地面が凍っていて滑って関節や筋肉を傷めることもあります。老齢の場合特に関節や筋肉を傷めやすいので、急な運動は避けて、ウォーミングアップをしながら少しずつ体を動かすようにした方がいいでしょう。

 これからますます寒くなりますが、このような病気にも注意しながら、寒さ対策をして元気に寒い冬を乗り切りましょう。皆さんよいお年をお迎えください。以上、八ケ岳動物病院の浜田でした。

●今回は糖尿病のお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。今日は糖尿病のお話です。
 人では糖尿病の患者さんが増えているようですが、ワンちゃん、猫ちゃんにも糖尿病があります。しかも猫ちゃんの糖尿病は増えているようです。 

 糖尿病はどういう病気かというと、血糖値が高くなって尿に糖が出る病気です。糖尿病では血糖値を低下させるインスリンという膵臓から分泌されるホルモンが出なくなったり、うまく作用しなくなって血糖値が高くなり、全身の様々な臓器に障害を与えて重篤な合併症を伴うこともあります。

 糖尿病の症状ですが、軽いものから死に至る重篤な症状まで様々です。ワンちゃん、猫ちゃんの場合この病気が発見されるまでに時間がかかっている場合も多いです。糖尿病性ケトアシドーシスといって昏睡状態になって初めて糖尿病と診断されることもあります。

 一般的にはワンちゃん、猫ちゃんの糖尿病の初期症状は、多飲多尿つまり水をたくさん飲んでおしっこをたくさんすることです。また多食つまりたくさん食べるのも特徴です。食べているので病気だと思わない場合が多く発見が遅れるのです。太っている場合が多いですが、病状が進むと痩せてきます。
 その他の症状としては、手足の麻痺などの神経症状、猫ちゃんでは踵を地面につけて歩行するなどの症状が見られます。またワンちゃんでは白内障になることが多いです。
 また、膀胱炎などの尿路感染症や腎臓の障害を起こすこともあります。

 糖尿病の診断はそれほど難しくありません。特徴的な症状と空腹時の高血糖、尿糖の陽性所見によって診断できます。ただ、猫ちゃんではストレスによって血糖値が高くなるので注意が必要です。

 次に糖尿病の治療についてですが、人ではインスリンの注射だけでなく、食餌療法や運動療法から始まり血糖降下剤も使われています。しかし、ワンちゃん、猫ちゃんではインスリン注射が治療の基本です。猫ちゃんではインスリン注射から離脱できることもあるようですが、ワンちゃんでは生涯のインスリン注射が必要です。

 インスリンの注射は家庭で飼い主さんが行うので治療は基本飼い主さんです。獣医はインスリンの投与量を決めたり、定期的に検査するアドバイザーのような感じです。食餌のカロリー計算をしたり、水を飲む量や尿に糖が出ていないかチェックしたり、獣医と飼い主さんで一緒に治療していく病気です。もちろん重篤なケトアシドーシスという状態になったときは入院して泊まり込みで治療することもあります。

 私自身糖尿病の猫ちゃんを何匹も飼っていたことがあるのでよくわかりますが、飼い主さんは大変です。ほとんどは毎日2回のインスリン注射、低血糖といって命に関わる状態になることもあります。家をあけることもできません。でもうまくコントロールできれば何年もいい状態で過ごすこともできるので皆さん頑張るのです。

 太っていたワンちゃん猫ちゃんが水をたくさん飲むようになって痩せてきたら要注意です、早めに病院で検査を受けましょう。

●今回は犬と飼い主が似ているというお話

 皆さんこんにちは、八ケ岳動物病院の浜田です。以前、ペットと飼い主は似ているというお話をしましたが、今回はそれを裏付けるような研究が実際に行われていた、というお話です。

 犬と飼い主の顔が似ていることについての科学的な研究を行っているのは関西学院大学の心理学者、中島定彦教授です。この研究は英国の学術誌アンスロズーズに発表したもので、この説が事実であることを示すだけでなく、顔のどのパーツが重要ポイントなのかを裏付ける実験結果もあります。

 中島教授は40頭の犬とその飼い主のカラー写真を用意し、正しいペア20組とペアを入れ替えた20組に分けて、事情を知らない500人以上の判定者にどちらが似ているかを5つの条件で尋ねます(この条件とは隠しなし、飼い主目隠し、飼い主口隠し、犬目隠し、目だけというものです)

 実験結果ですが、隠しのない写真では67~80%の判定者が正しいペアを選択しました。飼い主の口が隠れている場合の正答率は73%と同様の結果でしたが、飼い主あるいは犬の目を隠した場合の正答率は50%前後と偶然水準と変わりませんでした。そして、飼い主と犬の目だけを見せた写真でも正答率は69~76%とかなり高くなりました。

 この結果から犬と飼い主が似ていると判断するには目および目の周辺が重要だと結論付けています。
 どうでしょうか?あなたのワンちゃんと自分の目のあたりをよく見てみましょう。似ていますか?

 さて、やはり飼い主とワンちゃんは似ていることが多いようですが、どうして似ているのか?についてはまだ明確な答えが出ていません。中島教授やアメリカの研究者の行った実験では、飼育年数との相関関係が認められないことから飼っているうちに似てくる可能性は低いとしています。それよりも、人は見慣れたものに好感を抱くため、無意識のうちに自分によく似た犬を飼い犬として選択しているとの見方が強いとのことです。

 皆さんどうでしょうか?私はむしろ長い間一緒にいてアイコンタクトなど目の表情、そして顔が似てくるのでは、と思っているのですがもちろん何の証拠もありません。

 前にも話しましたが、熊の研究をしている同級生は熊によく似ているし、カミキリ虫の採集が趣味の友人はカミキリ虫によく似ています。また、仲のいい夫婦はよく似ています。

病院に来る患者さんもワンちゃんにかぎらずウサギ、鳥など飼い主さんとよく似ていることは多いです。

 どうやら、好き、と似ているというのは関係がありそうな気がします。
 これからは好きな人や動物をよく観察してみようかと思います。はたして自分に似ているかどうか。

●今回はデング熱のお話

 皆さんこんにちは、八ヶ岳動物病院の浜田です。今日は今話題のデング熱についてのお話です。

 デング熱は日本脳炎ウイルスなどと同じ属に分類されるデングウイルスがひきおこす伝染病で主にネッタイシマカやヒトスジシマカなどのヤブカによって媒介されます。

主に人が感染しますが人以外のサル目にも伝染します。世界の流行地は熱帯や亜熱帯の全域で、東南アジア、南アジア、中南米で患者の報告が多く、アフリカ、オーストラリア、南太平洋の島でも発生があり日本に最も近い流行地は台湾です。現在では110カ国以上で毎年およそ5000万から1億人が感染する風土病となっています。

 感染ですが、輸血や血液製剤、臓器移植を除いて通常人間同士の直接感染は起こりません。デングウイルスに感染した患者を蚊が吸血すると、蚊の体内でウイルスが増殖して唾液腺まで及ぶとその蚊が他の人を吸血することで感染します。潜伏期間は2~15日多くは3~7日です。

 症状は、高熱、頭痛、目の奥の痛み、結膜充血などの初期症状に続き全身の筋肉痛、関節痛などを呈し発症3~4日後発疹が体から手足顔に広がります。症状は1週間程度で回復しますが、ごくまれに一部の患者では出血傾向が表れ死に到ることもあります。

 治療ですが、ウイルスが原因なので、点滴などの対症療法が主です。解熱、鎮痛剤も出血傾向を強める薬は使わないようです。したがって思い当たる症状がある場合は自分で薬を飲んだりせずに病院でみてもらうのがいいと思います。

 さて、日本での状況です。日本の国内でも毎年200人前後発症が報告されています。ただ、これは海外の流行地で感染して帰国した人が発症した報告で、今回騒ぎになっているのは日本国内で感染したものだからです。日本国内で感染した症例は過去60年以上報告されていなかったのですが昨年ドイツ人渡航者が日本で感染したと思われる症例が報告され、今年の8月に国内感染者が確認され、現在までに100人以上の感染者が報告されています。

 日本でも太平洋戦争中に東南アジア、南太平洋などの戦闘地域から持ち帰られたウイルスが日本に生息するヒトスジシマカによって媒介され長崎、佐世保、広島、神戸、大阪などで流行して何万人も発病したことがあります。したがって条件さえそろえば日本で流行することは十分考えられます。ただ、ヒトスジシマカは越冬することもなく、活動範囲は50~100m程度で活動時期は概ね5月~10月までなので、それほど大きな流行にはならないと考えられます。

 対策としては、蚊に刺されないようにすること、そして蚊が繁殖する溜まり水をなくすことです。

 またデングウイルスに効果のあるワクチンはまだありませんが、フランスの製薬会社が来年の実用化を目指しているところです。また、デング熱対策としてイギリスのバイオテクノロジー企業が遺伝子組み換え技術によって致死性遺伝子を組み込んだ雄の蚊を開発してブラジルで放したというような、かなり危険な対策も行われているようです。

 以上今回はデング熱についてのお話しでした。

●今回は耳の病気のお話

 皆さんこんにちは。暑く湿っぽい日が続いていますが、今日はそんな時に悪化しがちな耳の病気についてのお話です。

 耳の病気で一般的なのは外耳炎です。耳の穴から鼓膜までの間の外耳道が炎症を起こす病気で、Aコッカーやダックス、ゴールデンレトリバーなどの垂れ耳のワンちゃんに多く、猫ちゃんでも時々見られます。またウエスティやシーズーなどでアレルギ-を持っているワンちゃんにも多いです。
症状は耳の穴が赤くただれて、後ろ足で耳を頻繁に掻いたり、頭を振ったり、ひどくなると耳や耳の付け根を触ると痛がったり耳が臭くなったりします。

 原因ははっきりしない場合も多いですが、シャンプーや水浴びで耳に水が入った後に起きることも多いです。
耳の状態をよく見て、顕微鏡で耳垢を調べてどんな病原菌が増えているかを調べることもあります。細菌やマラセチアという酵母の仲間のカビが増えていることが多いです。治療は検査結果や状態に応じて、抗菌剤、抗真菌剤、ステロイド剤などを使います。症状に応じて飲み薬や点耳薬を使います。また耳が汚れている場合は洗浄します。

 洗浄で注意しなければいけないことですが、綿棒で耳の奥を掃除するのはやめた方がいいです。汚れや耳垢を奥に押し込んでしまうし綿棒は固いので外耳道を傷つけてしまいます。綿棒を使う場合はやわらかい素材のもので、耳のしわの部分などの見えている汚れをとるだけにした方がいいでしょう。

 外耳炎の原因の一つにミミダニという拡大鏡で見ないと見えない小さなダニがいることがあります。子犬や子猫に見られることが多いですが大人でも見られ、接触することでうつります。耳の中にダニがいるのですからとても痒くて黒い耳垢がでるのも特徴です。

治療は殺ダニ剤を使います。またうつりやすいので複数飼っている場合は他の子も調べて治療した方がいいです。

 その他、鼓膜より奥の炎症として中耳炎や内耳炎もあります。鼓膜より奥の見えない部分の問題なので、内視鏡やCT検査などをしないと診断が難しいです。症状は耳の奥の痛みや、頭を傾けたり、また奥の平衡感覚を司る部分に炎症が進むとぐるぐる回ったり、目が揺れる眼振という症状が出たりします。治療は抗生剤や炎症を抑えるステロイド剤などを使ったり、外科的な治療が必要な場合もあります。

 また耳血腫といって耳の皮膚と軟骨の間に血液や漿液がたまって耳がぎょうざのように膨れる病気もあります。これは外耳炎など耳の病気で耳や頭をよく振ることによって耳の血管から出血して起きたり、免疫的な異常から起こることもあるようです。治療は、溜まった液を抜いたり、ステロイド剤を使ったり、外科的に手術することもあります。

 その他、外耳道にポリープや腫瘍ができることもあります。治療は外科的な切除ですが多発している場合や悪性の場合は耳道を切除する大きな手術が必要な場合もあります。

 以上耳の病気について大まかにお話ししましたが、病気は早期発見が大事です。日ごろから耳の皮膚や耳の穴を観察して異常があれば早めに病院に行くことが大事です。

以上八ヶ岳動物病院の浜田でした。

●今回は暑さ対策のお話

 皆さんこんにちは。暑さが厳しくなってきましたね。暑さが苦手なワンちゃんたちには大変な季節です。今日は暑さ対策のお話です。

 猫ちゃんはもともと砂漠地帯の出身ですからそれほど暑さには弱くないのですが、ワンちゃんはほとんどが北方系なので暑さは苦手です。特にハスキーやマラミュートなど北方系のワンちゃん、被毛が厚いピレネー犬やシェルティなど、また短頭種といわれているフレンチブルドッグ、パグ、ボストンテリアなどでいびきのひどいワンちゃんは特に注意が必要です。

 暑さ対策で重要なのは環境です。室外で飼っている場合は犬小屋や寝床を涼しい場所、日の当らない場所に設置するようにしましょう。また床もコンクリートではなく土や木にしてあげて出来ない場合はスノコをしくのもいいでしょう。また水をまいてあげたり、冷たくて新鮮な水を十分量あげるようにしましょう。

 室内飼育の場合も安心できません。エアコンなしで締め切った室内は想像以上に温度や湿度が高くなります。日の当たる窓はカーテンやブラインドを閉める、換気扇などで換気を良くすることが重要です。またクールプレートなどの冷却グッズを活用するのもいいでしょう。一番はエアコンを上手に活用することです。エアコンで注意しなければならないのは冷えすぎです。エアコンの冷気は床にたまりやすいので人が丁度よくてもワンちゃんには冷え過ぎの場合もあります。

 フードや飲み水にも注意しましょう。なるべく温度が上がらない場所に置くこと、また高温で傷みやすいので食べ残しなどはすぐに片づけてなるべく新鮮な水やフードを常にあげられるようにしましょう。

 お散歩やお出かけも注意が必要です。特にワンちゃんは人よりも低い位置にいるので暑さの影響を受けやすいです。散歩は温度の上がる前の早朝がいいですね。夕方や夜はなかなか温度が下がらないので暗くなって涼しくなってからの方がいいでしょう。また、アスファルトの道を散歩している場合は触ってみて温度を確認することも大事です。

 お出かけでは車の中の温度が特に重要です。エンジンを切った車の中はとんでもなく暑くなります。日陰に止めたり窓を開けたり、十分に注意してください。毎年、旅行中で車の中で熱射病になって亡くなるワンちゃんがいます。ほとんどがフレンチブルドッグやパグなどの短頭種のワンちゃんです。命にかかわることですから十分注意してください。

 その他、被毛や皮膚のお手入れも大事です。毛の長いワンちゃんは思い切って短くサマーカットにするのがいいでしょう。ブラッシングも大切です。また水遊びをした後などはよく乾かしてあげるのがいいです。タオルで十分水を吸い取って自然乾燥が一番です。ドライヤーを使う場合は必ず冷風でしてあげて下さい。

これからますます暑くなるかと思いますが、しっかりと暑さ対策をして楽しい夏にして下さい。以上八ヶ岳動物病院の浜田でした。

●今回はマダニのお話

 皆さんこんにちは、大分暑くなり虫たちの活動も盛んになってきました。最近マダニがついたワンちゃんを診ることが多くなってきました。今日はマダニのお話です。

 マダニは8本足の節足動物で昆虫ではなくクモに近い生き物です。大きさは吸血前の成ダニ(大人のダニ)で3~4mmくらいで、栄養源は動物の血液です。
 マダニは外気温が15度以上になると活動期になり地方によって異なりますが5月上旬くらいから活動が活発になり初夏から夏にかけて成ダニの数が多くなります。
 マダニは郊外の山や森の木の葉の裏や草むら、広い公園や河川敷の草むらなどに潜んでいます。マダニは動物の体温、振動、二酸化炭素などを感知する感覚器官を持っているので、そばを通りかかった人や動物に飛びついて寄生します。

 マダニのライフサイクルですが、動物の血液をいっぱい吸血した雌の成ダニは地上に落下して産卵を開始します。雌は2~3週間に2000~3000個の卵を生みその生涯を終えます。適度な温度のもとで20~30日で卵から体長1mmほどの幼ダニが孵化して動物に寄生します。3~7日の吸血後地表に落下して脱皮して体長1.5mmほどの若ダニになります。若ダニは動物に寄生、3~7日の吸血後再び地表に落下して脱皮します。脱皮後1~2週間で体長3~4mmくらいの成ダニとなって再び動物に寄生します。
このようにワンちゃんについている成ダニはいくつかの動物を渡り歩いているわけですね。

 マダニの吸血ですが、動物に飛びついたマダニはすぐに移動を始め、頭や耳、目の上や指の間などの皮膚のやわらかいところで吸血を始めます。ワンちゃんでも目の周囲や耳、頭部についていることが多いですね。
吸血の方法ですが、マダニはのこぎりのようなくちばしを皮膚に差し込みセメントのような接着物質を分泌してくちばしを皮膚に固定して吸血と唾液の分泌を繰り返します。このようにマダニの吸血時にはマダニの口がしっかりと皮膚に固定されているため、マダニをとるときは専用のピンセットを使ったり獣医さんにとってもらうのがいいでしょう。ある程度血を吸って大きくなった方がとれやすいです。また回転させてとるのがこつです。
マダニの吸血はそのままにしておくと1週間くらい続きます。

 マダニの予防と駆除ですが、まずはなるべくマダニのいそうな草むらや茂みを避けること。そして、散歩から帰ったらなるべく早くマダニが体についていないかチェックすることです。特に頭や目の周囲、耳や足の指の間など皮膚のやわらかいところをチェックしましょう。マダニを見つけたら専用のピンセットでとるか獣医さんでみてもらいましょう。
また、予防薬として皮膚に垂らす薬があるのでそれを利用するといいでしょう。

 以上、今回はマダニについてのお話でした。
マダニが媒介する病気についてはまた今度の機会にお話しします。八ヶ岳動物病院の浜田でした。

●今回は発作を起こす病気のお話

 皆さんこんにちは、今日は痙攣などの発作を起こす病気についてのお話です。

 発作は突然起こり激しい症状を起こすこともあるので飼い主さんは気が動転してしまうこともあります。発作の症状も様々、発作を起こす原因も多いために簡単には説明できませんが、おおまかに分けて考えてみましょう。

 発作の原因として考えられる病気ですが、まず心臓が原因のもの、脳が原因のもの、そして低血糖や低Ca血症など代謝性のもの、に大きく分けられます。

 心臓が原因の発作では、虚脱や失神といって一時的に力が抜けて倒れたり失神することが多く、発作の前後では何事もなくケロッとしていることが多いです。これは不整脈や心臓の弁膜症などで一時的に脳に血液がいかなくなっておこるものです。

 次に脳が原因でおこる発作ですが、この場合激しい症状を示すことがあります。涎が出たり激しく痙攣したり、体が突っ張ってしまったり、また目が上を向いたままになったりぐるぐる回ったり、頭が傾いてしまったりすることもあります。これらの症状は次にお話しする代謝性の発作の場合にもみられます。

 脳による発作の原因の代表的なものは癲癇です。癲癇は比較的若いうちから症状が発現し痙攣発作を繰り返すものです。その他には脳炎があります。脳炎はウイルスや細菌などが感染して脳に炎症を起こすものや、原因のよくわかっていないパグなどに多い壊死性の脳炎もあります。また、脳腫瘍も発作を起こすことがあります。その他耳の奥の平衡感覚をつかさどる部分の炎症や異常によって目がぐるぐる回ったり頭が傾いたり発作のような症状を起こすこともあります。

 最後に代謝の異常による発作には、まず低血糖があります。糖尿病でインスリンが多かった場合や膵臓の腫瘍でインスリンが多く作られる場合、栄養失調などが原因で血糖値が極端に下がってしまう状態で、痙攣したり涎が出たり激しい症状が出ることが多いです。

 また血中のCaの値が極端に低くなると痙攣や震えたり、興奮したり激しい症状が出ます。これはお産のあとに起きたり、上皮小体というホルモンを生産する器官の異常によって起こることがあります。

 また、血液中のアンモニア濃度が高くなると涎が出たり痙攣したりします。これは肝臓の機能が落ちたり、肝臓へ行く血管の異常などによって起こります。

 このような発作の治療法ですが、もちろん原因がわかればそれに対する治療を行います。低血糖や低Ca、高アンモニア血症など代謝性のものは血液検査でわかるので、ブドウ糖を注射したりCa剤を注射したりします。また心臓が原因の発作では不整脈に対する治療をしたり心臓の働きを助ける治療をします。

 ただ、脳が原因の場合、はっきりとした原因がわからないことも多いです。脳を調べるにはCTやMRIといった検査をしないとわからないからです。それで、対症療法といって、炎症を抑えたり、痙攣を抑える治療をします。時には痙攣が治まらなくて麻酔の薬を使うこともあります。

 このように発作を起こす病気もたくさんあり、専門的な検査をしなければわからない病気もあります。ただ通常の血液検査でわかる異常もあるのできちんと検査をすることが必要です。
 以上、今回は発作を起こす病気についてお話ししました。八ヶ岳動物病院の浜田でした。

●今回は猟師さんの鹿のお話

 皆さんこんにちは。八ヶ岳動物病院の浜田です。今日は先日のある診療についてのお話です。 

 先日の日曜日の午後、うちの病院は休みだったので珍しく車の掃除などをしていたら一台の車が入ってきました。見ると知っている猟師さんが乗っていたので、また猟犬が大けがをしたのかと思い少し覚悟しました。
すると出てきた猟師さん、先生―死にそうな鹿を治療してくれー。というではありませんか。シ、シカですか?しかも死にそう、難しいとは思いますが断るわけもなく、また以前に鹿の治療をしたことがあったので、いいですよと言ってはみたものの鹿をみるとただ横たわって虫の息というか、本当に生きてるの?という感じでした。

 早速待合室に入れてもらいましたが、みると15キロくらいの小鹿で横たわっていて呼吸も心臓も弱く目の反射もほとんどありません。話を聞いてみると猟の途中で餓死寸前で横たわっているところをみつけて、助けようと運んできたといいます。

 これは何とかしなければ、とこちらも本気モードになり、まずは聴診、そして検温、目や口の中をチェック。心音は弱く、脈もゆっくりです。体温は低くて測定不能です。口の中は乾いていて湿り気が全くありません。目は開いたまま宙を見ているようで反射も鈍くなっています。栄養失調、低体温、衰弱そして低血糖が考えられます。血液を頚の血管から採って調べてみるとやはり重度の低血糖です。

 そこで頚の血管に留置針を入れて点滴を始めました。またブドウ糖、強肝剤、ビタミン剤を注射します。濃いブドウ糖を注射すると少し反応して、心臓や呼吸の働きが少し良くなってきました。1時間以上点滴をしたところ、今度は少し頭を起こして座れるようになりました。この間、誰も来ませんでしたが、知らない人が見たらとっても不思議な光景だったでしょうね。

 衰弱した鹿を猟師さんが3人で見守り獣医が治療して皆で頑張れと鹿を囲んでいるという、思わず写真を撮ってしまいましたが私は治療をしながら何とも幸せな気分になっていました。ひょっとしたら奇跡が起こるかもと皆が思っていたと思います。その後、起き上がろうとするくらいになり、何か食べさせてみようと思ったのですが、さて何を、そうウサギのペレットがあると取り出してあげてみると何と少し食べるではありませんか。大分状態も落ち着いてきたので点滴をはずして返すことにしました。皆ひょとしたら元気になるかも・・と期待していたと思います。

 ところが残念なことに次の日亡くなってしまったとのことでした。
とてもがっかりしました。入院させてしっかり見ていればとも思います。もし今度このようなことがあれば今回の教訓を生かしたいと思います。

 それとは別に今回の診療ですごくいい気持にもなりました。殺してしまえばお金になるような鹿を、弱って衰弱しているからと病院に連れてくる猟師さん達、そんな人たちがいることがとてもうれしかったです。これが動物の命と向き合う本物の猟師さんなのだと思います。ありがとうございました。
以上、今回は鹿の診療と猟師さんのお話でした。

●今回は冬の過ごし方のお話

 皆さんこんにちは、毎日寒い日が続きますがワンちゃん、猫ちゃんたちは元気でしょうか?今日は、冬に気をつける病気についてのお話です。 

 猫は南方系の動物ですから寒さは苦手です。ワンちゃんはどうかというと、北方系の種類が多いので、おおむね寒さには強いのですが犬種によっては非常に寒がりな子もいます。寒さに弱いワンちゃんとしては、チワワなどの南方系のワンちゃん、小型犬、子犬や老齢犬、トイプードルなど毛の生え方がシングルコートのワンちゃんなどです。

 まず注意したいのは泌尿器の病気です。冬には水を飲む量が減ります。また寒くておしっこをがまんするようなこともあります。そのため膀胱の炎症が起こりやすくなったり結石ができやすくなります。症状としては血尿や頻尿、ひどい場合は尿閉といって尿が出なくなることもあります。特に雄猫ちゃんは注意が必要です。水を飲みやすいように猫ちゃんでは温めた水をあげる、ワンちゃんでは肉汁などを混ぜるなどの工夫もいいかと思います。

 関節の病気も冬には注意です。寒くて運動不足のため関節が温まっていない状態で急に運動すると関節や筋肉、腱を痛めやすくなります。特に高齢犬や肥満の子は注意が必要です。ウォーミングアップをして徐々に激しい運動をするようにしましょう。また雪で凍った場所を歩く時も十分に気をつけましょう。

 心臓の病気を持っている子も冬は十分に注意が必要です。特に温度の急変に気を付けてください。暖かい部屋から急に寒い外に出るのは血圧が急激に変化して危険です。散歩に出るのは暖かい日中にするとか服を着せてあげるのもいいかと思います。

 肺や気管など呼吸器の病気も冬には注意が必要です。空気が乾燥して気温が下がると、鼻や喉の粘膜の働きが弱くなり細菌やウイルスが侵入しやすくなります。それで鼻炎、気管支炎、肺炎などにかかりやすくなります。部屋の通気をよくしたり、部屋を適度に温めたり、加湿することがいいと思います。

 また人のインフルエンザもそうですが、冬はウイルスの伝染病にかかりやすくなります。特に子犬や老齢犬は注意が必要です。また、特に外に出る猫ちゃんはヘルペス、カリシウイルスなどによる猫風邪が多い時期です。適切なワクチン注射や、ストレスを少なくしたり、十分な栄養をとって免疫力を落とさないことが大事ですね。

 冬の暖房についてですが、エアコンではワンちゃん猫ちゃんのいる床近くまで温まっているか注意が必要です。ホットカーペット、床暖では熱くなりすぎないように逃げ場所を作ってあげることも大事です。ストーブの場合、火傷をすることもあるので、ガードをつけましょう。こたつでは熱くなり過ぎないように注意が必要ですし練炭などを使用している場合一酸化炭素中毒にも注意が必要です。その他、ホットカーペットなど低温火傷も注意が必要です。また空気が乾燥していますので適切に加湿してあげることも大事だと思います。

ワンちゃん猫ちゃんたちが寒い冬を快適にすごせるといいですね。
以上八ヶ岳動物病院の浜田でした。

●今回はワンちゃんの断尾、断耳のお話

 皆さんこんにちは。今日はワンちゃんの断尾、断耳についてのお話です。
断尾、断耳って何?という方もいるかと思いますが、ワンちゃんのしっぽや耳を切るということです。

 Wコーギーというワンちゃんはしっぽがない子がたくさんいます。ドーベルマンやMピンシャー、プードルなどもしっぽの短い子が多いです。これらのワンちゃんたちは生まれつきしっぽがなかったり、短いわけではなく生後数日で切っているのです。

 昔ヨーロッパでは断尾が背中の筋力を強め、瞬発力を増加させネズミとりや外敵と争う際の怪我を予防すると信じられていたようです。またイギリスでは昔しっぽのついた犬に対して課税された時代があり節税目的で断尾されていたようです。

 現在でも断尾は行われていますが、その目的はほとんど美容目的です。純潔種の犬ではその犬種の犬種標準、スタンダードと呼ばれる姿があり、それに近づける目的で行われることがほとんどです。また猟犬は茂みや藪を走るときにしっぽを怪我しやすく、牧羊犬は牛や羊などにしっぽを踏まれて怪我をしやすいといいますが、実際に猟や牧羊に使われているワンちゃんは少数です。家庭で飼われているワンちゃんに断尾は必要でしょうか?
実際の断尾は生後数日に無麻酔で行われます。
 
 生後数日では神経の発達が悪く痛みを感じないといわれていたようですが、それは間違いで、実際にはかなり痛みを感じているようです。

 断尾に対する外国の対応ですが、ヨーロッパでは断尾を禁止している国が多くあります。アメリカでは容認されていますが、獣医師協会は反対しているようです。日本は、全く容認されていて、断尾されている実態さえも知らない人たちが多い現状です。

 次に断耳についてです。ドーベルマン、Mピンシャー、ボクサー、シュナウザーやボストンテリアなどでは耳がぴんと立って短くなっている子がいますが、これらのワンちゃんたちは耳を切っているのです。

 もともとは狩猟犬や牧羊犬が熊や狼などの外敵と戦ったときに噛みつかれて致命傷を負わないようにというのが目的だったようです。今では断尾と同じく犬種標準に合わせるように美容目的がほとんどです。

 断耳は生後2、3カ月に全身麻酔下で行うのが一般的です。耳を希望の形に切り取る手術ですが術後も耳が立つように副木で固定したり包帯を交換したりかなり手間や負担がかかるようです。

 断耳についての各国の対応も断尾と同様で、ヨーロッパでは禁止している国が多く、アメリカでは容認、獣医師協会は反対という姿勢、日本では容認、断尾同様実態を知らない人が多いという現状です。

 私は家庭で普通に飼うワンちゃんに断尾、断耳は必要ないと思います。小さい頃の痛い経験がその後に悪影響を与えることも多いと思います。皆さんはどう思われますか?

 以上、八ヶ岳動物病院の浜田でした。

●今回は猫の甲状腺機能亢進症のお話

皆さんこんにちは、今日は高齢の猫ちゃんに増えている甲状腺機能亢進症という病気のお話です。

 甲状腺は喉の少し下の気管の両側にある小さな分泌腺組織で、食べ物に含まれるヨウ素を材料にして甲状腺ホルモンを合成、分泌しています。甲状腺ホルモンの働きは体の成長を促進したり、新陳代謝を促進することです。

 甲状腺機能亢進症は、腫瘍や過形成によって甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが増加することによって症状が発現します。人のバセドウ病もこの病気の一つです。

甲状腺ホルモンは全身の臓器に作用するため、この病気の症状は様々です。おおざっぱに言うと、すごく食欲があるのに痩せていてたくさん水を飲んでおしっこもたくさんして、年の割には活発という場合が多いです。そのため飼い主さんは病気だと思わずに治療が遅れて症状が進んでからわかることも多いです。

もう少し詳しく症状をみていくと、皮膚はフケが多くなったり毛づやが悪くなります。神経の作用として活動が過剰になったり不安、興奮、夜鳴きなどがみられることがあります。

消化器系の症状では、多食によって下痢や嘔吐がみられたり排便回数が増えたりします。また心臓に対する作用として心拍数の増加、心臓の雑音、不整脈がみられたり、うっ血性心不全の症状として胸水や腹水がみられたり、心臓の肥大がみられることもあります。

 このように様々な症状が見られますが、この病気の診断はそれほど難しくありません。血液検査で甲状腺ホルモンの値を調べることです。甲状腺ホルモンの値が高ければこの病気と診断できます。

 次に治療ですが、大きく分けて外科治療と内科治療があります。
外科手術は甲状腺を摘出する手術ですが、高齢であることや術後の管理が少し難しいこともあり最近では手術をすることは少ないようです。

内科的な治療は甲状腺ホルモンの合成を阻害する薬を飲ませることですが、この薬は比較的副作用が出やすいために治療は少し難しいです。副作用には嘔吐、食欲不振、顔の痒み皮膚炎、白血球減少や血小板減少などがあります。副作用が出なければ甲状腺ホルモンの値を定期的にチェックしながら薬の量を調節していきます。

また最近この病気のための食餌、これは食餌中のヨウ素を制限したものですが、これが開発されて今この食餌療法を行っている猫ちゃんがたくさんいると思われます。この治療には私たちも期待しているところです。

副作用のない食餌だけで治療できればそれにこしたことはありませんね。
高齢の猫ちゃんを飼っている方で今日のお話に思い当たることがあれば病院で診てもらうことをお勧めします。

 以上、八ヶ岳動物病院の浜田でした。

●今回は腸閉塞のお話

皆さんこんにちは、今日は腸の病気のうちで命にかかわる腸閉塞という病気についてお話します。

 腸閉塞とは腸が閉塞して内容が流れなくなる状態をいいます。症状としては、腸が詰まってしまうので、何度も吐いたり、下痢をしたり、全くうんちが出なくなったり、お腹が痛くなったりします。また、下痢や嘔吐で水分や電解質が失われるので激しい脱水になりぐったりしてしまうこともあります。腸閉塞の原因によっては早く手術で原因を取り除かないと命に関わることも多い病気です。

 腸閉塞の原因には、異物や腸ねん転、腸重責、腫瘍などがあります。
異物ですが、ワンちゃん猫ちゃんは話ができないため何を食べたかわからないことも多いです。腸の閉塞の原因になる異物として石やくだものの種、トウモロコシの芯、プラスチック製の小物などがあります。また紐や糸のような異物は腸にからまってしまい腸に傷をつけることも多く注意が必要です。これらの異物は石以外レントゲンに写らない場合が多く診断が難しい場合もあります。

腸ねん転はあまりありませんが激しい痛みを伴うことが多いようです。腸重責は子犬や子猫に多く腸がおりたたまるように重なって入り込んでしまう病気で時間が経つと腸が壊死して腸を切除しなければならなくなります。
激しい腸炎や腫瘍が原因でおこることもあります。

腫瘍は腸の内側や腸の外にできた場合でも腸を圧迫して腸閉塞の状態になることもあります。腫瘍の場合は急に症状が出るのではなく徐々に症状が進んでいく場合が多いです。

 腸閉塞の診断ですが、症状、触診、そしてレントゲンや超音波検査など総合して行います。触診では異物や腸の異常部分を触れる場合も多いです。レントゲン検査では異物が写ったり異常なガスが診断の助けになります。閉塞がないかを調べるのにバリウムを飲ませて流れていくかを調べることも多いです。また最近では最新の超音波検査装置で腸の中身までわかるようになってきているようです。

激しい下痢や嘔吐と腹痛で腸閉塞と似たような症状を示す急性膵炎という病気もあるので慎重に診断をしていきます。

 腸閉塞の治療ですが、外科手術が主体です。異物などが特定できなくても腸に異常部分があり、閉塞が疑われれば試験的に開腹手術を行うこともあります。いずれにしても症状が重篤な場合が多いですから適切な時期に手術をするのが大事です。手術は異物の場合は腸を切開して摘出します。捻転や重責の場合はそれをもとにもどして痛んだ腸は切除します。

腫瘍の場合はそれを摘出しますが、できている場所によっては大きく腸を切除したりすることもあります。

 以上、今日は重篤な症状を示す腸閉塞についてお話しました。八ヶ岳動物病院の浜田でした。

●今回は椎間板ヘルニアのお話

皆さんこんにちは。今日は椎間板ヘルニアのお話です。わが国ではミニチュアダックスが多く飼われているので、椎間板ヘルニアはとても多い病気です。
 さて椎間板ヘルニアとはどういう病気かというと、動物の骨格を作る頚の骨や背骨をつないでクッションの役割をしているのが椎間板です。この椎間板の中にある椎間板物質が変性したり運動、衝撃などで飛び出したりした状態が椎間板ヘルニアです。頚の骨や背骨の中には脳から続く重要な神経があります。飛び出した椎間板物質がこの神経を圧迫することによって様々な症状を示すわけです。

 なぜダックスに椎間板ヘルニアが多いかというと、遺伝的に軟骨の変性がおこりやすい犬種なので、椎間板の変性がおこりやすいからです。同じように軟骨が変性しやすい犬種としては、コーギー、ビーグル、フレンチブルドッグ、ペキニーズなどがいます。

さてこの椎間板ヘルニアですが、神経の圧迫の程度によって様々な症状が出ます。具体的には痛み、足の麻痺などですがひどい時には腰が立たなくなって歩けなくなったり、自分で排尿することができなくなったりします。
実は私も腰の椎間板ヘルニアで坐骨神経痛も経験して手術もしているのですが、神経の痛みは半端なものではありません。痛み止めの飲み薬などほとんど効きませんでした。

 椎間板ヘルニアの診断ですが、実は簡単ではありません。犬の種類や症状から仮診断するのですが、実際には椎間板は石灰化などを起こしていないとレントゲンでは写りません。
それで造影剤を使ったりCTやMRIで検査しないと確定診断はできないのです。これらの検査には全身麻酔が必要です。したがって、手術が必要なほど重症の場合には、手術前にこれらの検査をするのが一般的です。

 椎間板ヘルニアの治療ですが、大きく分けると内科療法と外科療法に分かれます。
どのような治療法をするかは、症状の重症度や飼い主さんの考え方にもよります。一般的には、痛みが全く感じない状態になって歩けない場合や自分で排尿ができないような場合に手術を行います。神経の損傷が大きい場合です。

手術は脊髄神経の圧迫がある部分に窓を開けて圧迫している部分を取り除くというものです。手術後の回復の程度は、発症してからの時間や圧迫による神経の損傷の程度によります。

外科手術をする症例はそれほど多くはなく、大部分は内科的な治療で治ってきます。内科的治療は鎮痛剤を使ったり、痛みをとるレーザーの治療などを行います。そして治療よりも大事なのは安静にすることです。人と違ってワンちゃんたちはなかなか安静にすることが難しいですが、安静にして動かないということが最も重要です。

最近では車いすのワンちゃんも珍しくなくなってきたようですが、先ほど話したように軟骨の変性しやすい犬種を飼っている方は椎間板ヘルニアに気をつけましょう。動かないで震えている、抱くと痛がって鳴く、足が麻痺しているなどの症状を見落とさないようにしましょう。以上八ヶ岳動物病院の浜田でした。

●今回は野生動物の診療のお話

皆さんこんにちは、今日は野生動物の診療のお話です。
さて動物病院には時々野生動物が来ます。フクロウやトビ、チョウゲンボウなどの猛禽類やスズメ、ツバメなどの小さな鳥。哺乳類ではモモンガやハクビシンなどをみたことがあります。

 先日子鹿の診察をしました。ぐったり衰弱して起き上がれない状態でしたが、低血糖という血糖値が下がった状態だったために治療に反応して良くなったのですが、その後他の野生動物に襲われて亡くなってしまったとのことです。とても残念です。

 さて野生動物の治療に関しては立場や考え方によってさまざまな意見があります。飼い主がいない場合、治療費はどうするのか?もともとほっておけば自然に淘汰されるものを治療する意味があるのか?先ほどの子鹿の場合も猟師さんに言わせれば、なんで助けちゃうの?ということになります。

鹿やイノシシなどは増えすぎて農作物や森林、植物の生態系に大きな影響を与えています。環境省の発表によるとニホンジカの推定個体数は2011年には216万頭でこの20年で9倍近くに増えていることがわかり、今のペースでは2025年にはさらに倍の500万頭まで増える見通しとのことです。ここ八ヶ岳地域でも適正密度の約2倍の生息密度とされていて、山際の集落や河川沿いの集落を中心に水稲や野菜の食害、苗木や樹皮の食害などの森林被害があります。八ヶ岳南麓の牧草地ではよく群れがみられますね。イノシシやニホンザルについてはニホンジカよりもさらに大きな被害が報告されています。
私は山に登ることもありますが、南アルプスの鹿による高山植物の食害もひどいものです。

これらの被害に対する対策としては、猟友会に委託しての管理捕獲や、捕獲檻やワナの設置、防護柵の設置、環境整備や獣害対策犬の育成や訓練などが行われています。
 いずれも獣医や動物好きには胸の痛む話ではありますが、大きな目で自然環境を考えなければいけないと思います。

 ところで、傷ついた野生動物が病院に来たら・・・。獣医なのでやっぱり治すための治療を考えます。ただ、飼い主のある動物と違いますので、治るのか?野生に帰ることができるのか?治療費はどれくらいかかりどうするのか?など考えることはたくさんあります。

傷ついたり弱ったりした野生動物を見つけたらどうするか?
山梨県には鳥獣センターがありますので、基本的にはそちらに連絡するのがいいと思います。ただ、巣立ちの雛がよく保護されてきますが、親鳥がそばにいます。これについては保護せずにそのまま放置するようにしてください。
 以上八ヶ岳動物病院の浜田でした。

●今回は犬の痴呆のお話

皆さんこんにちは。ワンちゃんも長生きするようになり、いわゆる痴呆と呼ばれるような症状を起こすワンちゃんもいます。今日は犬の痴呆についてのお話です。

 ワンちゃんの痴呆ですが、なぜか柴犬などの日本犬系雑種に多く発生します。実際に痴呆だろうと思われるワンちゃんは自分がみたものでは皆日本犬です。
さてその症状ですが、13歳以上のワンちゃんで、これから述べる5つの症状のうち2つ以上のことが当てはまると痴呆が強く疑われます。

1つ目、夜中に意味もなく単調な声で鳴き出し、止めても鳴きやまない。いわゆる夜鳴きです。
2つ目、歩行は前方のみ、とぼとぼ歩き、円を描くように歩く。旋回運動というやつです。
3つ目、狭い所に入りたがり、自分で後退できないで鳴く。バックできなくなってしまうのですね。
4つ目、飼い主も、自分の名前も分からなくなり、何事にも無反応になる。
5つ目、よく寝て、よく食べて、下痢もせず、痩せてくる。
以上が犬の痴呆を診断するテストですが、この他にも頻繁に震えたり尿失禁をするなどの症状が見られます。

痴呆と同じような症状を示す他の脳腫瘍などの病気もありますが、この鑑別はCT、MRIなどを行わないと難しいです。

さて痴呆の症状の中でも最も困るのは夜鳴きです。飼い主さんが寝不足になるだけでなくご近所さんに迷惑になってしまうこともあります。対策としては、なるべく日中お散歩やコニュニケーションをとって昼寝をすくなくしたり、夜寝る前にお散歩や排尿をさせたりすることで夜寝てくれることもあります。ただ、どうしてもおさまらない場合は鎮静剤などを使用することもありますが、夜だけうまく寝てくれるような薬をみつけるのはそれほど簡単ではありません。

また、同じ場所を円を描くように動き回る対策としては、エンドレスケージといって角のない円形のサークルを作ってあげるのも一つの方法です。
また、尿失禁などに対しては、紙おむつやマナーベルトを使用するのがいいでしょう。ただ、皮膚炎の原因になるのでこまめに取り換えることが大事です。

最後に治療ですが、EPA、DHAやアラキドン酸などが症状を改善したり、進行を遅らせる効果があるといわれているので、これらを含むフードやサプリメントを給与することが治療、予防になると考えられます。
以上八ヶ岳動物病院の浜田でした。

●今回は動物のお産のお話

皆さんこんにちは。今日は動物のお産についてのお話です。
お産の話の前に、動物の妊娠期間についてお話します。

人はだいたい270日ですが、小さいハムスターで15.6日、ウサギは30日くらい、そしてワンちゃん、猫ちゃんではいずれも63日くらいです。
トラが120日、羊ヤギが150日、クマ・チンパンジーで210日です。
人より多い方では牛が280日、馬は335日、そして一番長いのはやっぱりゾウで650日です。
 
 さて、私たち獣医が見るお産ですが、ペット相手の獣医さんは別として、牛のお産をみるのが一番多いと思います。
私は以前、北海道で牛相手の獣医をしていたので牛のお産、難産には数多く立ち会ってきましたのでよくわかりますが、ペットのお産の方が難産などの判断が難しいです。

ペットは基本的にはお産させないことが多いので、ブリーダーさんなどをのぞくとお産自体が少ないです。
また、牛では体格が大きいので産道に手を入れて中の子牛の状態や産道の状態を確認することができます。

ペットでは体が小さいので産道には指しか入らないのでわかることに制限があります。
レントゲンなどで確認しても写るのは骨が主なので実際の産道や胎児の状態はわかりにくいです。

したがってペットで難産の場合は多くが帝王切開になります。
よく犬は安産の象徴のように言われますが、昔はそうだったかも知れませんが、今の作られた犬たち、そして小型犬などは決して安産とは言えません。それに比べて猫ちゃんは安産といえます。

一般的なワンちゃんのお産の経過について話します。
お産が近づくと落ち着きがなくなり食欲も落ちてきて、徐々に体温が下がってきます。
その後、陣痛が始まり、その間隔も徐々に短くなって胎児が産道に入ってきて、胎児を包んでいる膜が破ける破水がおこると出産は真近です。
強い陣痛で胎児が娩出されるとその後に胎児と子宮をつないでいた胎盤も排出されます。

その後胎児が複数いればこれを繰り返します。難産になる場合は陣痛が弱い、産道が狭い、衰弱などの母親側の原因と、胎児が大きい、胎児の姿勢がおかしい、2つの胎児が同時に産道に入るなど胎児側の原因があります。

お産にかかる時間は母親の状態や胎児の頭数でまちまちですが、一日がかりと考えてもいいでしょう。またお産は夜中や明け方になることが多いです。
 
 このようにワンちゃんのお産は一日がかり、時には命がけになることもあるので、安易にお産させようと考えるのはやめてほしいです。

また人と違って難産など異常な状態以外では動物病院でお産させるということはありませんので、つきっきりでお産に立ち会え、生まれた子犬の処置なども含めて、自分でやれる覚悟のある人以外はお産をさせない方がいいと思います。

もちろん、無事出産した後の親子をみていると言葉にはできない感動がありますが・・。お産の大変さは経験した方しかわかりませんが、動物のお産も大変ということですね。
以上、八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●今回はノミのお話

皆さんこんにちは、暖かくなって虫たちの活動も活発になってきました。前回はダニのお話でしたが、今回はノミのお話です。
 
ノミは世界中に生息する節足動物で体長1~9mm程度で翅はなく左右に扁平な体型で、体の色は褐色または黒褐色です。
雌のほうが大きく、日本では妻の方が夫よりも身長が高い夫婦のことを「ノミの夫婦」と表現します。

口は吸血に適した針のような形をしていて、後ろ足がよく発達していて何と、体長の60倍の高さ、100倍の距離を跳躍することができます。この脚力のために体重の数百倍の物を引っ張ることができ、20世紀初頭まではノミに芸をさせた「ノミのサーカス」があったそうです。これはインターネットでみることができますよ。

 
さて、ノミの成虫は蚊や虻などと同様、二酸化炭素を感知して寄生する動物を探し、哺乳類などの恒温動物の体表に棲んで吸血して生活します。
寄生して48時間以内に交尾して産卵を開始します。雌の成虫は一日平均20~50個の卵を産みます。
 
卵は楕円形で粘着性がなく、動物の巣や地上に落下します。好適な環境では約1~6日でふ化して幼虫になります。
 
幼虫は親ノミの糞や動物の体表から脱落した有機物を食べて育ち、2度の脱皮をして1~2週間で繭をつくって蛹になります。

蛹が羽化して成虫になる期間は温度や湿度などによって変わってきます。長い場合1年近く蛹のままでいることもあるようです。
 

ワンちゃん、猫ちゃんに寄生するノミですが、日本ではネコノミが主で体長1~3mmくらいです。 ノミによっておこるペットの病気というとまず、ノミが寄生することによる皮膚炎やアレルギーがあります。
また、人に猫ひっかき病という病気を起こす菌は、猫から猫へノミが媒介します。

さらに、瓜実条虫というサナダムシは、ノミの幼虫がその卵を食べて体の中で発育し、成虫になったノミをワンちゃんや猫ちゃんが食べることによって小腸に寄生します。この条虫は人にも寄生します。
 

このようにノミはペットに多くの病気を起こすとともに他のペットや人にも容易に感染、寄生します。

対策としては、ノミの駆除をしっかりと行うことが大事です。ノミはつかないように予防するのが一番ですが、一度ついてしまうと先ほどのノミの生活環でもお話しましたが、ペットについている成虫だけでなく、環境に潜んでいる卵、幼虫、蛹をしっかりと駆除していく必要があります。
ペットにノミの成虫が5匹いたら、その周囲の環境には何と95匹の未成熟のノミがいると言われています。

ノミを駆除する薬を定期的に使うこと、そして環境をきれいにすることが大事ですね。
 
以上八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●ダニが媒介する新しい病気について

皆さんこんにちは。今日は最近ニュースなどでも話題になっているダニが媒介する新しい病気についてのお話です。

病気の名前は重症熱性血小板減少症候群、略してSFTSといいます。

2011年に初めて特定された、新しいウイルス(SFTSウイルス)に感染することによって起こる病気です。主な症状は発熱や下痢、嘔吐、腹痛などの消化器症状で その他神経症状や呼吸器症状、出血症状などを起こし、死亡することもあります。

2009年以降中国で報告され、日本では2012年秋に死亡した患者がこの病気と確認されたのちに、現在までに8人の感染が確認され、5人が死亡したことがわかっています。
 
この重症熱性血小板減少症候群という病気ですが、マダニが媒介する病気です。マダニは日本国内に広く分布、生息しています。家の中にいるダニとは異なり森林や草地などの屋外に生息して市街地にも見られます。
3~4mmと比較的大型で吸血するとさらに大きくなります。
 

この病気にかからないようにするにはどうすればよいか?ということですが、マダニに咬まれないようにすることです。

私もアウトドア派なので何度かマダニに咬まれたり、マダニが服についてくることはよくあります。野外、草むらなどを歩く時にはなるべく肌を露出しない、そして野外活動後マダニがついていないか咬まれていないかを確認することが大事です。

もしマダニに咬まれたら病院で適切な処置を受け、発熱などの症状が見られたら病院を受診するのがいいでしょう。
 

さてワンちゃん猫ちゃんたちペットはどうでしょう?マダニの活動が盛んになる春から秋にかけてよくマダニに咬まれますね。

今のところペットからこの病気は報告されていません。見つかったばかりの病気なので調べられていないのです。

ただ、マダニに咬まれることの多い哺乳動物からこの病気を起こすウイルスの抗体が検出されていることから、この病気に感染すると考えられています。

実際に発症するかどうかは確認されていません。詳しいことはまだわかっていないのです。
 

ただ、マダニに咬まれるワンちゃん猫ちゃんはたくさんいますが、この病気のような症状を起こす例はほとんどないので過剰に心配する必要はないと思います。
 

マダニはその他にもバベシア症、ライム病などの病気も媒介するので、マダニ対策をきちんとすることが大事です。
 
マダニの予防薬を使うこと、なるべくマダニの多い草むらに入らない、そして野外で遊んだ後はマダニがついていないかチェックすることが大事です。

マダニに咬まれたら適切に処置して、その後に体調が悪くなったら早めに病院を受診することがいいと思います。
 
以上、八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●画像診断について

皆さんこんにちは。今日は動物病院で行われる検査の中の画像診断についてのお話です。

画像診断とは体の中の臓器を器械を使って画像で表してそれをもとに診断することです。

レントゲン検査、超音波検査、CTやMRI検査などがありますが、今日はその中でも動物病院でよく行われるレントゲンと超音波検査についてお話します。
 
まずはレントゲン、これはほとんどの動物病院にあり画像診断の基本ともいえます。レントゲンでは骨が一番白くクリアに写り、空気は黒く、水分および水分を含んだ臓器は白っぽく写ります。体の中の臓器を影絵みたいに白と黒のコントラストで透かして見る感じです。

レントゲンというと骨折や脱臼を見る、というイメージですが、やはり骨や関節をみるのが一番得意です。
また、空気は黒く写りますから、体の中の空気が一番多い肺を見るのも得意です。
また肺と血液を含んだ心臓は接していますから白と黒のコントラストで心臓をみるのも得意です。
肺や気管、心臓の病気はレントゲン検査でみるのが基本です。

お腹の臓器はというと肝臓、腎臓、脾臓、膀胱なども大まかには写ります。
わかることはそれぞれの臓器のだいたいの大きさや形、位置です。

胃や腸などもおおまかな位置や異常なガスがないかなどがわかります。胃腸の中の異物に関しては石や骨、針などはわかる場合もあります。

また、体の中に異常な塊があれば写ることもあります。その他、骨が写りますからお産の前に胎児が何匹いるかなどの診断も得意です。
 

次に超音波検査、この検査は最近かなり進んできていて、心臓やお腹の中の臓器についてかなりわかるようになってきています。
ただ、この検査は機械の性能や見る人の技術によってかなり差があります。

レントゲンはどちらかというと空気が得意で水が苦手でしたが、超音波検査は逆に水が得意で空気が苦手です。

したがって、骨など水分の少ない臓器や空気の多い肺はほとんどわかりませんし、胃や腸に空気(ガス)が溜まっていると検査がしづらくなります。

逆に水分の多い心臓や膀胱などは最も得意で、いい器械では心臓の血液の流れや弁の状態までもわかります。

レントゲンと違って静止画ではなく動画でみることができるのです。胸やお腹に水がたまっていてもよくわかります。

水分の多い肝臓や腎臓などの臓器を内部まで詳しくみることもできます。またお腹や胸の中に腫瘍などの異常な部分がないか、膵臓や副腎、腸管なども高性能の器械では大分みられるようになってきています。
 

このように病気の診断では、症状や血液検査そして今回お話した画像診断の結果などを総合して判断していくのですね。

以上八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●猫ちゃんの風邪

皆さんこんにちは、今日はこの時期に多い猫ちゃんの風邪についてのお話です。
猫ちゃんは人と同じように鼻水を垂らしたりくしゃみをしたりという風邪が結構あります。人のインフルエンザと同じように寒いこの時期や、季節の変わり目に多いです。

猫ちゃんの風邪の原因ですが、主にカリシウイルスとヘルペスウイルスという二つのウイルスがもとになって症状を起こす場合が多いようです。さらに、この二つのウイルスに細菌などが混合感染して症状を悪化させる場合が多いです。
 
猫ちゃんの分泌物、つまり目やにや、鼻水、涎などと直接接触することで感染します。
また、人が感染した猫ちゃんに接触したり、食器やケージなどに付着した分泌物に触れたりして間接的にも感染します。潜伏期間は2日から10日くらいとまちまちです。
 
症状としては、鼻の症状では、くしゃみをしたり、水っぽい鼻水や黄色い膿のような鼻水が出たり、ひどい時には鼻が詰まってしまい口で息をすることもあります。

目の症状では、結膜炎で瞼が腫れたり、目が赤くなり涙や目やにが出ることも多いです。

喉の症状としては、咳をしたり、声がかすれて出にくくなったり、飲み込みにくくなったりします。

口の中の症状では、口内炎やベロに潰瘍ができることもあります。口が痛くて涎が出たり口臭が強くなったりします。

また、全身症状としては発熱することがあり、発熱すると食欲が落ちたり脱水になります。

子猫ちゃんや年取った猫ちゃんでは体力が落ちて肺炎になったり、全身にウイルスや菌が回って死んでしまうこともあります。

また、持続感染といって、症状が治まった後もウイルスが体の中に残って、体が弱った時に鼻炎などの症状を起こす猫ちゃんもいます。

通常は4、5日から2週間くらいで症状は治まってきます。
 
治療ですが、細菌の混合感染を起こしていることが多いので、抗生物質を使います。
注射や飲み薬、目薬を使います。
またインターフェロンなどを使うこともあります。
人の吸入治療のようにネブライザーといって加湿吸入治療をすることもあります。
脱水している場合は輸液をします。
また、栄養を取ることが大事なので、口の中が痛くて食べにくい場合は流動食を少しずつあげたりします。
 
最後に予防ですが、初めにあげた2つのウイルスに関してはワクチンがあります。
ワクチンを打っておくと罹っても症状が軽くてすみます。また、感染力が強いので風邪の猫ちゃんは隔離したり、感染した猫ちゃんに触った場合はよく消毒してうつさないようにすることが大事です。

ちなみに人やワンちゃんにはうつらないのでご安心を。
 
以上八ヶ岳動物病院の浜田でした。

 


●血液検査ついて

皆さんこんにちは、今日は動物病院でよく行われる血液検査についてのお話です。

血液検査も数ある検査の一部です。したがって血液検査で何でもわかるわけではありません。

体の中に大きな異常があっても血液検査では全く異常がないということもあります。
 
では血液検査でわかることは何でしょうか?まずは血液中にある赤血球や白血球などの成分です。
これは直接顕微鏡で見ることもできるのでよくわかります。具体的にいうと、赤血球が少なくて貧血状態、とか白血球が多くて炎症があるとか血小板が少なくて血が止まりにくいなど、その辺は血液検査の得意分野です。

次に、血液中の血球成分を除いた血漿、または血清という液体で調べる方法では、まず血糖値、糖尿病や低血糖の診断ができます。

肝臓と腎臓の機能を見るのも得意分野です。

肝臓に関しては肝臓や胆管から出る酵素(ALT、ALKPなど)をみることによって肝臓に負担がかかっているかどうかがわかります。

肝臓の機能に関しては肝臓で作られる物質(ALB、BUNなど)をみることで評価できます。

腎臓の機能に関しては、腎臓から外に排泄される物質(BUN、Cre)が血液中に上昇していないかで判断します。
 

その他血液検査でわかることとしては、血液中の蛋白、これにはALB、Gloがあり、肝臓の機能や炎症、免疫と関係しています。

また病的な状態ではこれらの蛋白が尿や便から出て行ってしまうこともあり腎臓や腸の病気の診断の助けになることもあります。
 

血液中のCAやPは、それを調節しているホルモンの異常や腫瘍と関係していることもあります。腎臓の働きにも関係してきます。

その他Na、K、Clという電解質の測定では、体の中のこれらのイオンがどれだけ変化しているかをみることによって腎臓の働きや嘔吐や下痢で失われた量をみたりします。

その他にも血液検査でわかることはありますが、概ね今まで述べてきたように、貧血や脱水があるかどうか、炎症やストレス状態かどうか、肝臓や腎臓の働きはどうか、血糖値はどうか、というようなことが一般的な血液検査でわかることです。
 

逆に血液検査ではわかりにくいことは何かというと、まずは心臓や肺の異常です。

これらは聴診やレントゲンなどの画像で異常がでてきます。

また、腫瘍でもかなり進行しないと血液に異常は出てきませんし胃や腸の異常もあまり血液検査ではわかりません。

さらに肝臓や腎臓についても初期は血液検査で異常が出てきません。
 

このように血液検査でわかることも限られているので他の検査も含めて総合的に診断する必要があるわけです。

以上、八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●おしっこ(尿)の異常について

皆さん、こんにちは。寒くなってきましたが寒いとトイレが近くなりますね。今日は寒くなると増えてくるおしっこ(尿)の異常についてのお話です。

尿は腎臓で血液から作られて尿管を通って膀胱に貯められ、尿道から外に排出されます。したがって尿に異常がある場合、例外もありますが、この腎臓、尿管、膀胱、尿道とその付近の異常がある場合が多いです。
 
尿の異常には、尿が出ない、尿が漏れる、頻尿や多尿、赤い尿などがあります。
 
まず命にも関わる異常として尿が出ないという事から話します。尿は血液の中の水分、不要物、老廃物からなりますが尿が出ないと体に有害なアンモニアなどが蓄積して尿毒症といって体に毒素が回っている状態になり、進行すると命に関わります。

尿が出ない原因としては腎不全といって腎臓が働かなくなり尿が作られない状態があります。また腎臓で出来た尿が尿管の異常で膀胱に行かなかったり、膀胱に貯まった尿が膀胱や膀胱の出入口や尿道の異常で外に出せない状態などがあります。

よく見られるのは、雄猫ちゃんや雄のワンちゃんで結石によって尿道がつまってしまう状態です。

この場合、おしっこをしようとしても尿が全くあるいはほとんど出ないで、頻回にいきんでいるという症状が見られます。便秘と間違うこともあります。
 

次に比較的よくみられる症状として頻尿があります。血尿といって尿に血が混ざることもあります。このような症状がみられる場合、膀胱や尿道の感染や炎症のことが多いです。また、結石といって膀胱や尿道に石がある場合もあります。多くはないですが膀胱や尿道の腫瘍の場合も同じような症状がみられます。

また雄のワンちゃんでは前立腺の病気でも同様の症状がみられます。
 

赤い尿が出る場合、先ほど述べたような膀胱や尿道、前立腺の感染や炎症、腫瘍による出血の場合もありますが、血色素尿といって赤血球が溶けてしまうような全身の病気が潜んでいることもあり注意が必要です。

代表的なものにタマネギ中毒や血液に原虫が寄生する病気、免疫的な異常によって赤血球が溶けてしまう病気、急性のフィラリア症などがあります。
 
多尿といって尿が多くなる病気としては、腎臓の病気や糖尿病、副腎のホルモンの異常や子宮に膿が溜まる病気、心因性の病気などがあります。
 

最後に尿が漏れる病気ですが、脳や脊髄などの神経が原因の場合や尿管などの生まれつきの異常、膀胱や尿道を圧迫するできものがある、その他避妊手術の影響によるものなど原因がなかなか特定できない場合もあります。
 
以上大まかですが、尿の異常を示す病気についてお話しました。八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●僧帽弁閉鎖不全症についてⅡ

皆さんこんにちは、今回は先月に引き続き犬の僧帽弁閉鎖不全症についてのお話です。

今回は治療についてお話します。前回もお話しましたがこの病気は治る病気ではないので心臓の弁を治すのではなく心臓の負担を軽くしたり症状を抑えるような治療になります。

人工弁にする手術も行われているようですが、ここでは一般的な治療について話します。

心臓病全般に言えることですが、基本は安静です。

特に興奮したり、激しい運動をすると心臓に負担がかかります。食餌についてはバランスのいい食餌をとるということでしょうか。

もちろん塩分の取りすぎはよくないですし太りすぎも心臓に負担がかかります。また水分を十分に取ることが大事です。

次に薬による治療ですが、これは心臓の状態によって変わってきます。

基本的には病気が進んでいくにつれて薬の数や量が増えていくと考えていいです。

この病気でまず初めに使われるのがACE阻害剤というものです。

この薬は血管を広げることによって血液の流れを良くして心臓の負担を軽くする薬です。

心臓が悪いワンちゃんで1種類の薬を飲んでいる場合はほとんどこの薬です。比較的安全な薬であまり副作用が出ることはないようです。
 
次に利尿剤があります。この薬は文字通りおしっこを出させる作用があります。

血液の流れが悪くなって溜まった水分を体の外に出すことによって心臓の負担を軽くしたり、肺水腫といって肺に水が溜まった状態を改善してくれる薬です。

この薬は適切な量を使わないと、体の水分がなくなって脱水になったり、

腎臓の働きが悪くなったりすることがあります。症状を見ながら量を調節して使っていく薬です。

この薬を使っている場合は十分に水が飲めるようにしておくことも大事です。

さらに、強心剤という薬もあります。

文字通り心臓の働きを強める薬です。

中には副作用の強い薬もあるので注意が必要です。また疲れた心臓をさらに疲れさせてしまう危険もあります。

最近では副作用が少なく効果が強いといわれる新しい強心剤も使われるようになってきました。
 

その他の薬として、血管拡張剤なども使われることがあります。
 
いずれの薬も症状を見ながら、調節して使っていくものです。症状を一番見ているのは飼い主さんですから、心臓病の場合定期的に病院に通って症状に応じた薬で治療をすることが大事です。

さらに、症状が進んで呼吸が苦しくなった場合酸素吸入をすることもあります。今では酸素発生装置をレンタルしてくれる会社もあるので、在宅で酸素吸入をすることもできるようになりました。

今回は僧帽弁閉鎖不全症の治療についてお話しました。八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●僧帽弁閉鎖不全症について

皆さんこんにちは、今日は心臓の病気で一番多い、僧帽弁閉鎖不全症についてのお話です。
 
この病気は主に小型犬に多く、中年から老年になって症状が出てくることが多いです。また、キャバリアという犬種は遺伝的にこの病気を持っていることが多いです。

どんな病気かということですが、心臓には4つの部屋があり、そのうちの左側の心房と心室という部屋の間にある弁、これを僧帽弁というのですが、この弁が変性したり弱くなったりして十分に閉じなくなる病気です。

弁が十分に閉じなくなると、血液が流れるべき方向に十分に流れなくなったり反対方向に逆流したりするのです。

では、心臓の左側の部屋では、どのような事が行われているかというと、肺から酸素を十分に含んだ血液が流れ込んで、さらにそれを全身に送るという大事な仕事が行われています。

この左側の部屋の間にある弁が悪くなるとどうなるか?

まず、酸素を十分に含んだ血液が全身に回らなくなります。すると全身の臓器に影響が出てきます。本当にひどくなれば酸素欠乏の状態になりチアノーゼといって普段はピンク色の粘膜が紫色になったりします。

また、血液が逆流して肺の方に血液が溜まるようになると肺水腫といって肺に水が溜まった状態になり呼吸困難となりとても危険です。

そして、血液の流れが悪くなった心臓は次第に大きくなって肥大してきます。また、流れが悪くなったのを改善しようと一生懸命働くので心臓もだんだん疲れてきます。

このように、この病気は徐々に進行していきます。治る病気ではありません。

では、この病気の診断はどのように行われているのでしょうか?基本は心臓の聴診です。

僧帽弁に異常があると血液の流れが異常になりそれが雑音として聞こえます。左側の弁ですから胸の左側で強い雑音が聞かれるわけです。
また、今では心臓の超音波検査で実際に血液の逆流の程度や弁の状態を検査することも可能となりました。

 
では飼い主の皆さんは何に気をつければよいのでしょうか?この病気の初期症状に気をつけることです。

まずは咳です。もちろん心臓病以外の原因で咳が出ることもありますが、心臓が大きくなって気管を圧迫したり、肺に血が溜まることによって咳が出るようになります。

次に、疲れやすいということがあります。特に運動をした時に心臓が十分に血液を全身に送れなくなります。

さらに、痩せてくる、失神する、呼吸が苦しいなどがありますが、これはかなり症状が進んだ状態です。

特に小型犬を飼っている方は、このような症状が見られたら病院で診察してもらいましょう。

今回はこれくらいにして次回は治療のお話をします。八ヶ岳動物病院の浜田でした。
  


●皮膚のトラブル

皆さんこんにちは、暑さも厳しくなり皮膚のトラブルも増える季節です。今日は皮膚が痒い!という主にワンちゃんのお話です。
 
痒みが強い皮膚病というと、まず、疥癬やノミなどの寄生虫による皮膚炎、細菌感染あるいはマラセチアという真菌による皮膚炎、そしてアレルギーによる皮膚炎があります。

そして、これらの皮膚炎は単独だけでなく併発することも多く、診断や治療を難しくしています。
 
寄生虫による皮膚炎ですが、疥癬は顕微鏡で見なければ見えない小さなダニで、これが感染して皮下にトンネルを作って寄生します。

痒みは最強と思われるほどで常に掻いています。

主に耳の縁や肘、大腿部などに病変ができますが、皮膚を削る検査でもうまく検出できないこともあります。

治療はダニを殺す薬を使い抗生剤などで皮膚の炎症も治療します。

ノミの寄生による皮膚炎も痒みを示しますが特にノミアレルギー性皮膚炎では痒みが強く主に下半身の腰、尾の付け根、大腿部などに病変ができます。

治療はノミの駆除、ステロイド剤、感染があれば抗生剤などを使います。
 

次に細菌感染による皮膚炎ですが、主にスタフィロコッカスという細菌が皮膚に感染して痒みを示します。

治療は抗生剤を使い、シャンプーも併用するのがいいです。

また、マラセチアという真菌の一種が皮膚に感染するととても痒く、皮膚が真っ赤になるほどです。

シーズーなどで多く腋の下や内股、頸などに病変が出ることが多いです。治療には抗真菌剤や痒みが強い時はステロイド剤も使います。
 

最後に痒みも強く、診断、治療とも簡単ではないのがアレルギーによる皮膚炎です。

アレルギーの原因となるものも、はじめに話したノミやハウスダスト、草木や花粉、敷物、食器、食べ物といろいろあります。

原因を見つけるのは簡単ではありません。

また、若いころから発症し体質でもあるアトピー性皮膚炎は柴犬、シーズー、ウエスティー、フレンチブルドッグなどに多く一生付き合っていく病気ともいえます。

アレルギーの治療はステロイド剤などの免疫抑制剤を使ったり、シャンプーを併用したりします。

また、アレルギーがもとで細菌やマラセチアに感染するのでそれらの治療も行います。

食餌アレルギーではアレルギーを起こさない食餌を与えたり、ノミアレルギーではノミの駆除、とアレルギーの原因を取り除く努力をすることが重要です。

また最近では、インターフェロン療法や減感作療法といった新しい治療法を行う病院も増えています。

このように痒みの強い皮膚病にもいろいろとあり、治療は時間もかかる場合もあり、必ずしも簡単ではありません。

アトピー性皮膚炎などは一生付き合っていくようなこともあります。

皮膚が痒い時、なるべく早く病院に連れていってあげましょうね。

以上、八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●ペットと暑さについて

暑さが厳しくなってきましたが、今回はペットと暑さについてのお話です。

一般的にはワンちゃんは暑さに弱く、猫ちゃんはそれほどでもありません。

暑さとペットの関係を考える時にその動物のルーツを考えてみるとわかりやすいですね。
アラスカン、シベリアンなどの名前が付いているワンちゃんは北方系なので当然暑さは苦手です。

一般的には寒冷地ほど体格が大きくなる傾向にあるので、大きな体格のワンちゃんは暑さに弱い傾向にあります。

一方、小さい方では人気のチワワ、こちらの原産国はメキシコです。暑さよりも寒さが苦手ですね。
ワンちゃん自体はもともとのルーツは狼ですから、寒い地方の出身が多いのですがバセンジーという種類はアフリカのコンゴが原産です。

暑さに弱いといえば、鼻のつぶれた短頭種といわれるパグやフレンチブルドッグ、ペキニーズ、シーズーなどがいます。

これらの種類は中国出身が多いのですが、解剖学的にも呼吸器の入り口付近に問題が多いために、呼吸による体温調節がし難く、特に暑い夏には十分な注意が必要です。

また、ワンちゃんは自分の体調などを考えずに楽しければ遊んだり、散歩したりしてしまうので、飼い主さんがきちんと暑さを考えて管理してあげることが大切です。

猫ちゃんはどうでしょう。

猫のルーツはアフリカのリビア猫なので暑さには比較的強く、むしろ寒がりなのでこたつで丸くなりますね。

ただ、部屋の中や車の中などで異常に暑くなる場所では注意が必要です。
猫ちゃんが鼻でひくひく早い呼吸をしていたら相当重症です。

猫ちゃんの場合は暑ければ激しい運動はしないでしょうし、涼しい場所を探してそこで静かにしていることが多いので、そのような環境を作ってあげることが大事です。

その他の動物では、もともと涼しい地方に住んでいたフェレットやチンチラも暑さは苦手です。

実際の暑さ対策ですが、まずは環境温度、湿度に気をつけることです。

特にワンちゃん猫ちゃんを部屋に残して出かけるときには温度が上がらないように工夫が必要です。

エアコンは冷えすぎにも注意しましょう。また、カーテンや網戸などからの脱走にも気をつけましょう。

車の中は特に気をつけないと相当高温になります。また、部屋の中が熱い場合、食べ物も傷みやすいので注意が必要です。
 
散歩をする場合は、気温の上がらない早朝や夕方にしましょう。コンクリートやアスファルトはとても熱くなっていますので気温が下がる夕方も注意が必要です。特にダックスなど背の低い動物は人よりもずっと暑い場所を歩いているということを忘れずに。実際にペットたちの目線で考えてあげましょう。

長毛種では短くサマーカットにすることも有効です。
 
扇風機は人では涼しく感じますが汗をかかないペットたちにはあまり効果がありません。

また、保冷剤を使う場合は動物が齧っても安全なものにして下さい。

保冷剤の中にはエチレングリコールといって中毒を起こす物質が含まれているものがあります。
 
最後に暑いときに怖い病気といえば熱射病ですが、この病気は一刻を争い、命にも関わる病気です。

すぐに病院へ連れて行くのはもちろんですが、応急処置として、体を冷やすことが大事です。

具体的には体に水をかけたり、濡れたタオルをあてて扇風機で冷やしたりします。

特に内股や腋の下を冷やすといいようです。

また、飼い主さんもそうですが、ワンちゃん、猫ちゃんもパニックになっていることが多く、過呼吸でさらに症状が悪化しますので落ち着いて、やさしく声をかけたりするのがいいでしょう。
 
暑いけど楽しい夏、しっかり暑さ対策をしてペットとともに楽しく過ごしましょう。

以上八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●フィラリア

皆さんこんにちは、今日は皆さん良くご存じのフィラリアのお話です。

蚊の活動も活発になり、ワンちゃんのフィラリア予防の季節になりましたが、今回はフィラリアという虫とこれが引き起こす病気、そして予防について考えてみます。
 
フィラリアはそうめんみたいな糸状の虫で長さは雄で約10~15cm、雌で約20~30cmくらいになります。

主に心臓の中の右心室という部屋から肺動脈に寄生します。

フィラリアに感染しても症状を示さないこともありますが、寄生する数が増えるにつれて様々な症状を示すようになり、肺の症状として咳をしたり、心臓の症状として循環不全になって腹水がたまったりします。

また、恐ろしい急性の症状として呼吸が苦しくなり、赤いおしっこをして腎臓や肝臓も悪くなり急死することもあります。

フィラリアは心臓や血管に寄生するために普通の寄生虫と違って駆除するのが難しいです。

血管には出口がないために死んだ虫も血管内に残るので駆虫することによって悪い症状が出ることもあります。

それで予防することが重要なわけです。
 
フィラリアの成虫はワンちゃんの血管の中にミクロフィラリアという子虫を生みます。

蚊が吸血するときにこの子虫が蚊の中に入り、蚊の体の中でその子虫が成長して2週間ほどすると感染する子虫になります。

この感染する子虫を体の中にもった蚊が別のワンちゃんの血を吸うときにフィラリアの感染子虫がワンちゃんの体の中に入ります。

この子虫が皮下、筋肉、脂肪組織などで発育してその後3カ月くらいで血管の中に入って、その後心臓・肺動脈に寄生して親虫になります。

親虫になるのに半年くらいかかり、それからミクロフィラリアを生むようになります。
 
フィラリアの予防ですが、一般的には1カ月に1回薬を飲ませる方法と年1~2回の注射による方法があります。

注射は効果が持続するのですが、月に1回薬を飲ませる方法は、毎月子虫を殺していくという予防法になります。

この薬は血管に入る前のフィラリアの子虫に効果があるので、フィラリアに感染しはじめた(つまり蚊に刺され始めた)1カ月後くらいから、感染の終わる1カ月後まで飲ませます。

注意しなければいけないことはこの薬は1カ月効果があるわけではないので、一番最後の薬を確実にあげるのが大事です。

薬を飲ませた後に蚊に刺されればフィラリアにかかってしまう可能性があるのです。

また、この薬は血管の中にいるミクロフィラリアにも効果があるのでフィラリアにかかっているワンちゃんでは薬を飲ませることによってショック症状をおこすこともあります。

フィラリア予防をしていないワンちゃんもたくさんいますので、フィラリアに感染していないことを確認して、確実に予防することが大事ですね。
 
以上八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●子猫に多い病気とその対策

皆さんこんにちは。

今回は、前回の子犬に続き、子猫に多い病気についてお話します。
 
子犬と違って子猫の場合、野良猫の子供を保護して育てることも多く、より小さい時から飼い始めることも多いと思います。

保護した子猫で多いのが、いわゆる猫風邪といわれる病気を起こすウイルスによる感染症です。

症状としては、結膜炎、ひどい場合は眼が開かないこともあります。

さらに鼻炎でくしゃみをしたり、これもひどい場合鼻がつまっていることもあります。

また、口の中に口内炎やべろに潰瘍ができることもあります。二次感染といって細菌感染がいっしょにおこると肺炎になって死亡することもあります。

治療としては、ウイルスに効く薬はありませんので、二次感染を抑えるのに抗生剤を使ったり、眼薬を使ったり、輸液をします。
 
その他感染症としては、白血病ウイルスによるもの、これはお母さん猫から感染していることもあり、免疫が落ちて様々な症状を起こして死亡することもあります。

また、猫伝染性腹膜炎ウイルスによる病気ではお腹や胸に水がたまって死亡することもあります。

猫エイズは、咬まれた傷からうつることが多いので子猫には少ないのですが怖い病気です。

また、パルボウイルス感染症はとても死亡率の高い病気で嘔吐や下痢を起こして脱水してしまいます。

このようなウイルスによる感染症を予防するには適切な時期にワクチンを注射するのが一番です。
 

次に子猫に多い病気として、寄生虫によるものがあります。

代表的な物として回虫や鉤虫があり、嘔吐や下痢をおこし、たくさん寄生すると栄養不良や貧血を起こすこともあります。

条虫というサナダムシの仲間では、鼠が媒介する猫条虫やノミが媒介する瓜実条虫、そしてカエルや蛇を食べて感染するマンソン裂頭条虫があります。

また、主に下痢を示すジアルジアなどの原虫の感染もあります。

このような寄生虫は主に糞便の中に虫卵を排泄しますので、検便して虫卵が見つかれば適切に駆虫します。

その他皮膚の病気も結構あります。

野良猫ちゃんの場合、ノミやダニがついていることもありますし、皮膚糸状菌といってカビの仲間が毛に感染して皮膚炎をおこすこともあります。

治療はノミ・ダニの駆除、抗真菌剤の投与を行います。

また、子犬と同様、低血糖といって血糖値が下がり痙攣などの神経症状を示すこともあります。治療は糖を飲ませたり、注射したりします。

その他異常に成長が悪かったり、弱かったりする場合、生まれつきの病気をもっていることもあります。
 
子猫を保護したら、便をもって一度病院に連れていくのがいいでしょう。

以上八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●子犬に多い病気とその対策

皆さんこんにちは。

春になって新しくワンちゃんを迎えた方もいるかと思いますが、今日は子犬に多い病気とその対策についてお話します。

●まずは寄生虫です。

子犬が病院に来ると必ず検便をします。回虫や鉤虫という主に小腸に寄生する寄生虫がいるかどうか検査するのです。

お母さん犬からもらってくることが多いのですが他の犬の便を口にすることによっても感染します。

これらの寄生虫に感染していても症状を示さないこともありますが、下痢や嘔吐、虫を吐くこともあります。

寄生した虫の数が多いと貧血を起こしたり栄養不良になることもあります。子犬を病院に連れていくときはウンチを持って行って検便してもらうといいです。

寄生虫の卵がウンチの中に出てきますのでそれが見つかったら駆虫薬を飲ませて駆虫します。

●次に怖い病気として伝染病があります。

子犬は抵抗力が弱いので伝染病にかかりやすいのです。

特に怖い病気としてジステンパー、パルボウイルス感染症、伝染性肝炎があります。

ジステンパーは発熱、風邪のような症状から始まり痙攣などの神経症状を起こし死亡率が高い病気です。

パルボウイルス感染症は発熱、嘔吐、下痢を起こしこれも死亡率の高い病気です。
伝染性肝炎も発熱、風邪のような症状から眼が青白くなり急死することもある怖い病気です。

これらの伝染病にかからないようにするには適切な時期にワクチンを注射するのがいいです。
ワクチンは早い時期に注射すればいいというものではありません。お母さんの初乳に含まれる抗体というウイルスをやっつける物質が生後2カ月くらいでなくなるので、その頃をめがけて2カ月から3カ月の間に2回注射するのが一般的です。

●低血糖

あと子犬に比較的多い病気として、低血糖というのがあります。

これは血糖値が急に下がってしまい痙攣を起こしたりするもので、特に小型犬の子犬に多いです。

これは、子犬が肝臓に糖を貯蔵する能力がまだ少ないことによりますが、一回の食餌量が少ない、食餌回数が少ないことにもよります。

それで子犬の時は大人のワンちゃんよりも食餌回数を多くします。

●異物の摂取

その他に子犬に多いこととして、異物の摂取があります。

人間の赤ちゃんもそうですが何でも口にしようとするので誤って異物を食べてしまうことがあります。

子犬の目線で口にしてはいけないものがないかをよくチェックしてあげる必要があります。

また、明らかに成長が悪いとか痩せている、疲れやすいという場合には、生まれつきの病気、たとえば心臓病などをもっていることもあるので病院でよくみてもらいましょう。

以上、八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●大動物の獣医さんと小動物の獣医さんの違いのお話

皆さんこんにちは、今日は牛や馬など大動物の獣医さんと犬や猫などの小動物の獣医さんの違いのお話です。

私は以前、北海道で大動物主に牛の診療をしていたのですが、まず大きな違いですが、往診です。広い北海道で牧場から牧場へ車を飛ばして、冬などわざと牛舎の前で車をスピンさせて一回転してクラクションを鳴らして到着!そしてよく見るとその格好は、白衣ではなくて繋ぎやウインドブレーカーに長靴。聴診器をぶら下げていないと一体この人は誰?農家の人?という感じです。

さて、一方犬や猫などの小動物の方では、基本的には往診はなく、きれいな病院での診察です。格好はもちろん白衣やスクラブ。中には背広を着用している獣医さんもいます。
 
次に診察道具ですが、大動物の場合、細かな道具はありますが、基本的には聴診器一本、腕一本みたいな感じです。もっとも往診で治療するわけですから注射器や手術道具、お産の道具、そして直検手袋という指先から肩まである大きなビニール製の手袋が主な診察道具で、あとは薬を少しもっていけば診察できるわけです。

一方小動物はというと、診察に使う道具はそれほど変わりませんが、検査器具が大きいし多いですね。レントゲンはもちろん、超音波検査や血液検査の道具。人間の医療と同様、検査技術や検査機器の進歩で、小動物の医療も常に進歩しているわけです。
 
動物の寿命や病気に対する考え方も大きく違います。馬はペットに近い部分もありますが牛など産業動物ではペットではありませんから、牛乳を出せなくなったり、肉牛がどんどん痩せていくようでは必要なくなってしまします。だから病気でもすぐに治ってまた活躍できるかどうかが重要になってきます。治らないのにお金がかかる治療はなるべくしません。

一方小動物ではペットとして家族同様です。お金がどんなにかかってもいいから高度な医療を望む場合もあります。そしてその分長生きしますから癌や生活習慣病といわれる病気も増えているわけです。
 
昨年口蹄疫で多くの牛たちが殺処分されました。その時の現場の獣医さん、農家の方々、農協の方々、そして牛たちの映像をビデオで見ましたが、とても涙なしにみることはできませんでした。みんな牛たちに深い愛情を注いでいることがよくわかりました。

話は少しそれましたが、大動物も小動物も動物という命には変わりありません。私たちが肉を食べる時、ペットたちが肉の使われたフードを食べる時、多くの命が関わっていることに感謝しないといけないですね。

そういう命に関わるという意味ではどちらの獣医さんも一緒なのかなと思います。

以上、八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●新しい癌の治療について

皆さんこんにちは。今日は先日セミナーで聞いてきた新しい癌の治療についてお話しようと思います。

ペットも長生きするようになり、人と同じように癌という病気も増えています。

癌の治療というと、一般的には3大治療といって、外科手術、抗がん剤治療、そして放射線治療、これが標準的な治療です。
しかし、放射線治療というのは装置が高額すぎて一般的な動物病院ではできません。

したがって、普通の動物病院でできる標準的治療は外科手術と抗がん剤治療になります。

これらの治療では大きく切除した場合の痛みや機能障害、薬の副作用などで苦しむこともあります。

今回聴いてきたセミナーでは、標準的治療以外の治療法を研究している先生からその事例を紹介していただきとても興味ある内容でした。

具体的には、光線温熱療法、免疫療法、サプリメントやビタミンC療法など医学の方ではかなり研究されていて、どちらかというと癌と戦わない体に優しい治療といえます。

獣医分野でもこのような研究をしている先生がいるというのはとても心強いのですが何とその先生、私の大学時代の同級生なのです。

鳥取大学の獣医外科の先生なのですが、日々癌と戦い、手術しても再発したり機能障害のため生活の質が落ちる子たちを多く見てきて、外科医として虚しさを感じてこのような研究を始めたそうです。

では具体的に治療法を紹介していきますが、まず光線温熱療法。

これは2008年にこの先生が開発した治療法で、癌細胞が正常細胞よりも熱に弱いことを利用した温熱療法と、色素剤を用いて活性酸素を誘導して癌細胞を殺す光線力学療法を組み合わせたものです。

また、局所の温度をあげることによって体の免疫機構がより働くようになり、同時に抗がん剤の効果も強める働きがあるとのことです。
そして嬉しいことにこの治療法が行える動物病院が全国に約150施設もあるということです。
 
次に免疫療法ですが、これは手術で摘出した癌組織を使ってワクチンを作り、それを注射することによって癌の再発を防ごうというものです。

この癌ワクチンも獣医分野ではその先生が開発したもので、今いろいろな癌に試していて癌の種類によってはかなり効果が期待できるということです。

また、光線温熱療法や癌ワクチンを組み合わせることによって、今までは大きく切除しなければならなかったものが切除範囲を狭くすることも可能になるということです。

その他、ビタミンC療法や、メラノーマというとても治療が困難な癌に対する新しい薬の話などがありとても勉強になりました。

このように癌と戦わない、体に優しい治療法がさらに進んで、私たちのペットが癌になった時に少しでも苦しまない治療が可能になるといいですね。

以上、八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●動物看護士さんは大変!

皆さんこんにちは、今日は動物看護士さんは大変!というお話をします。

動物病院へ行くと優しい看護士さんがいて動物看護士になりたいと思う子供たちも多いと思います。

では実際の動物看護士さんはどんな仕事をしてどんな人たちなのか?あくまでも私の知っている範囲でお話したいと思います。

まず、みんな動物が大好きです。そして動物を助けるために一生懸命です。だから優しくて働き者です。また命に関わる仕事なので厳しい一面ももっています。保護された生まれたての子猫を家に連れて帰って徹夜で面倒をみたり、動物病院で飼えなくなったワンちゃんや猫ちゃんをひきとったり、そんな人たちもいます。

さて、それでは実際の仕事はどうでしょうか?はっきり言って大変です。

うちの病院ではまだ看護士さんがいないのでその大変さは身をもって感じています。

まず基本は掃除・洗濯ですね。病気の動物たちが来るのですから、汚れますし、病院なので常に衛生的にしていなくてはいけません。

入院している子がいるとさらに大変です。その辺でおしっこやうんちをしてしまう子もいますしね。

小さな病院では、受付もやらなければなりません。もちろん、カルテを作ったりパソコンに打ち込んだりもします。

受付が終わると診察の補助です。診察道具の準備や片付け、そして保定と言って実際に動物を押さえたり、採血や注射のしやすいように押さえたりもします。

もちろん血液検査もします。それだけではありません。おしっこの検査やウンチの検査もやります。

実際に顕微鏡でみて異常がないか獣医さんに報告もします。検査の知識も必要で勉強しなければならないんですね。

手術となれば麻酔をみたり、助手をしたりすることもあります。これも命を預かる大変な仕事ですし多くの知識も必要です。もちろん道具の準備や片付け・消毒もします。

そして治療が終わればお薬も準備します。これも大変な仕事です。薬を割ったり、分包したりもします。最後には会計、これもお金を扱うので大変な仕事です。

その合間には患者さんに出すワクチンのお知らせの葉書の準備をしたり、電話の対応をしたりとやることはたくさんあります。

怪我にも気をつけなければなりません。結構みんな手が傷だらけです。

明るく優しい動物看護士さんも裏ではこんなに大変なんです。人間の病院では看護士、臨床検査技師、薬剤師、受付、会計とそれぞれですが、小さな動物病院ではみんな一人でやらなければなりません。

今度、動物病院で看護師さんを見つけたら、こんなことも頭に置きながら感謝の気持ちを忘れないで下さいね。

以上、八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●水をたくさん飲む!

皆さんこんにちは、今日は水をたくさん飲むことについてのお話です。
どんな時に水をたくさん飲みますか?

ワンちゃんでは暑くてハアハアしている時、これは自然なことですね。

また、食餌をウェットフードからドライフードに変更した時も水を多く飲みます。

それ以外で最近水を多く飲むようになってきた、とかおしっこの量が増えてきたという場合いろいろな病気が潜んでいることがあります。

尿の生成や喉の渇きは、主に腎臓や脳で作られるホルモンによって調節されています。

この調節がおかしくなってしまうとたくさん水を飲むようになります。

具体的にはどんな病気があるかといいますと、まず腎臓の病気です。高齢の猫ちゃんに多い慢性腎不全といって徐々に腎臓が悪くなる病気では、だんだん痩せてきて水を多く飲み、吐くようになります。

人間では透析という方法がありますが、腎臓病は治りません。

病気の進行を遅らせたり脱水を改善させるのに点滴をうったりするしかありません。

早めに病気を見つけて腎臓病用の食餌を食べるのがいいのですが、腎臓病を早期に見つけるのは結構難しいです。

腎臓病になるとおしっこが薄くなり尿蛋白が出るようになるので、それを頻繁にチェックするのがいいようです。

次に糖尿病、これは水もたくさん飲みますが初期には食欲も旺盛になります。

全身状態が悪化して短期間に死んでしまうこともあります。

治療は人と同じでインシュリンを使いますが、猫ちゃんではインシュリンを使わなくてよくなる子もいるようです。

また、避妊していない中年以降のワンちゃんでは、子宮蓄膿症といって子宮に膿がたまる病気があり、水をたくさん飲みます。

陰部から織物が出たり、食欲がなくなり吐くことも多いです。

手遅れになると死んでしまう怖い病気です。

治療は子宮と卵巣を取り出す手術が必要です。

さらに、ホルモンの病気で、猫ちゃんでは甲状腺からのホルモン分泌が多くなる病気があります。

食欲も増えますが痩せて攻撃的になったり心臓が悪くなったりします。

ワンちゃんでは副腎皮質というところから出るステロイドホルモンの分泌が多くなる病気があります。

この病気では食欲も増して皮膚が薄くなり感染し易くなったりします。

いずれもホルモンの分泌を抑えるような治療をしますが副作用などもあり治療の難しい病気と言えます。

その他ステロイドという薬やストレスなどで水を多く飲むこともあります。

この他にも水をたくさん飲む病気はありますが、代表的なものをお話してきました。

水をたくさん飲むようになったなと感じたらおしっこを取って病院に行ってみることをお勧めします。

以上八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●飼い主さんとペットは似ている!

飼い主さんとペットは似ている!

皆さんこんにちは。

今日は病気の話題はお休みにして、飼い主さんとペットは似ている!というお話をします。

少し話はそれますが、自分の学生時代の友人にクマの研究をしている人がいたのですがその人はクマによく似ています。

また、カミキリムシを集めていた友人は何故かカミキリにそっくりでした。

よく長年連れ添った夫婦は似てくるといいますが、飼い主さんとペットも似ているなあと感じることがよくあります。

動物病院に来る飼い主さんでも、ウサギを飼っていてウサギによく似た方は多いです。と言ってもバニーちゃんじゃありませんけどね・・。

鳥を連れてくる方でも雰囲気が鳥によく似た方がいます。

中にはインコと会話ができるという方もいました。あとで何を言われたかとっても気になりましたが・・。

猫ちゃんは、それほど似ていると感じることは少ないのですが、体型が似ていることは多いですね。

ワンちゃん、これがやっぱり一番似てくるのではないでしょうか。

特に眼が前についていて顔が比較的平らなシーズーやパグ、思わずそっくり!と思うこともしばしばです。

やっぱり、眼の位置が人に近く、常に人のそばにいて表情を見ているからではないでしょうか。

そして、嘘のない、裏切ることのない純粋な飼い主さんへの愛情、これが似てくる原因なのではないでしょうか。

見た目だけではなくて、行動やしぐさなども似ていることは多いと思います。

さらに、猫ちゃんでも言いましたが、体型、これも飼い主さんに似ることが多いですね。

やはり食生活が影響しているからですね。

俺は違うぞなんて夫婦喧嘩しないで下さいね。

食生活というと一番気をつけなければいけないのは、間食ですね。

似ていても犬は人ではありませんから。

そして特に小型犬では、小さいということをよく考えて下さいね。

体重2キロのチワワなら人の30分の一ですから、おやつにあげるのもほんの少しですよ。

最後に病気、これはあまりうれしい話ではないのですが、飼い主さんと同じ病気ということも結構あります。

何と今うちの病院で治療している糖尿病の猫ちゃんとワンちゃん、どちらも飼い主さんが糖尿病なのです。

しかも猫ちゃんの方はお父さんと注射しているインシュリンも同じ・・こうなると愛情もさらに深まりますね。

病気を理解して治療していくにはどちらかというといいのかも知れませんが、病気まで似なくてもいいのに・・。

飼い主さんとペットは似ているというお話をしてきましたが、似ている似ていないにかかわらず、一緒に生活していればみんなかわいいですよね。

以上 八ヶ岳動物病院の浜田でした。

 


●犬や猫の「下痢」について

皆さんこんにちは。今日は下痢についてのお話です。

わかりやすくするために子犬・子猫の時の下痢、猫ちゃんの下痢、ワンちゃんの下痢とわけてお話します。

まず、子犬や子猫の下痢ですが、離乳時期に食事に慣れなくて下痢することは多いです。

またこの時期にはパルボウイルスによる重篤な下痢を起こすことがあり嘔吐も伴い短時間に死亡することもあるので注意が必要です。

回虫や原虫などの寄生虫感染による下痢もありますので検便をすることも大事です。

この時期は抵抗力も弱く体も小さいので下痢をして水分がとれないとすぐに脱水してしまいますので早めに病院で見てもらうことが大切です。

またワクチン注射を確実に行うこともこわい伝染病の予防になります。
 

次に猫ちゃんの下痢ですが、一般的には猫ちゃんはあまり下痢をしません。

もちろん食べすぎや変な物を食べて下痢することはありますが、急性で一時的な場合が多いです。

慢性で長く続く下痢の場合、甲状腺機能亢進症というホルモンの病気や腸の腫瘍・炎症性の病気、膵臓の異常で消化酵素が出ない病気などあまり一般的でない病気のこともあるのできちんと検査してもらう必要があります。

また猫ちゃんの場合便秘の時に粘液状の便しか出ないため下痢と間違えることもあります。
 

ワンちゃんは、比較的よく下痢をします。一番多いのは食べすぎや散歩中に変な物を食べたり食餌を変えた時などの、食餌によるものです。

食中毒のような細菌性の下痢もあります。人と同じでストレスで下痢をする子も結構います。

鞭虫という寄生虫の感染も重度の下痢をしますが、これは検便でわかります。

急性の膵炎も下痢をすることがあり、腹痛や嘔吐を伴うこともあります。

血便が出る場合は、先ほどのパルボウイルス感染や出血性腸炎という怖い病気のこともあるので早めに病院でみてもらいましょう。

慢性の下痢の原因には猫ちゃん同様多くの病気があり、診断も難しく内視鏡や手術をして初めてわかる場合もあります。

これには、腸の炎症性の病気や腫瘍、腸閉塞や腸重責、異物、アレルギーなどがあります。

また膵臓から消化酵素が分泌されない病気や肝臓・胆管の病気で慢性下痢を起こすこともあります。これらの診断には詳しい検査が必要なことが多いです。
 

以上、下痢といっても実に様々な病気があるものですね。ほとんどは急性の一時的な下痢ですが、こわい病気もありますので、治らない下痢や慢性の下痢の場合はしっかりと調べてもらいましょう。

以上、八ヶ岳動物病院の浜田でした。


●犬や猫の「咳」について

皆さんこんにちは、八ヶ岳動物病院の浜田です。今回は咳についてのお話です。

咳の原因は大きく分けて、喉や気管、気管支、そして肺などの呼吸器の病気と、心臓の病気があります。

咳は猫ちゃんではあまり見られませんがワンちゃんでは比較的多く見られる症状です。

「咳」というと人では風邪が多いですが、いわゆる風邪というのはワンちゃんにはあまりありません。

子犬の頃に咳をするケンネルコッホという病気は呼吸器にウイルスや細菌が感染しておこり肺炎になることもあります。

これは人の風邪に近いかもしれません。

また猫ちゃんでは、いわゆる猫風邪というウイルスやさらに細菌が混合感染する呼吸器の病気があり、咳よりくしゃみ、喉の炎症や口の中の潰瘍などの症状が出ます。

その他咳をする病気としては、喉や気管、気管支の炎症、肺の炎症があります。ワンちゃんではアレルギーとも言われていますが、原因の良く分からない慢性の気管支炎や肺炎もみられます。

また、フィラリアにかかると咳をすることが多いです。
異物を吸い込んでの気管や気管支の炎症や、食道の病気で異物を吸い込んで肺炎を起こすこともあります。

さらに小型犬では気管虚脱といって気管がつぶれてしまう病気があり発作時にはかなり苦しいガチョウの鳴くような呼吸になります。

猫ちゃんでは、アレルギーが原因といわれている気管支喘息も激しい咳の発作が見られます。
    
また、喉や気管、気管支や肺に腫瘍ができていても咳をします。

心臓の病気でも悪化すると咳がでるようになります。
キャバリアや小型犬に多い僧帽弁閉鎖不全症という病気では病状が進むと心臓肥大となり気管を圧迫して咳が出るようになります。

また、弁が閉まらないことによる血液の逆流が強くなると肺にうっ血がおこり、肺に水が貯まる肺水腫という状態になると呼吸が苦しくなり、咳も激しく命に関わる状態となります。

心臓病をかかえているワンちゃんは咳がひどくなったら注意が必要です。

猫ちゃんでは心臓の病気でも咳をすることは少ないですが、咳をする場合は大きな病気が潜んでいることが多いので注意が必要です。

このように咳をする病気には呼吸器や心臓という、悪化すれば命に関わる病気が多いので、早めに病院に行って診てもらうことが大事だと思います。 

また、実際に咳がひどい場合、体温や外気温が高い場合には冷やすこと、また、興奮でさらに悪化するので、安静にして安心させること、さらに冷たい水にぬらしたタオルで体をくるむなどの処置もいいようです。


●災害時の動物救護活動は?

皆さんはじめまして、今回からみどり湖動物病院高橋先生の代わりに参加することになりました、八ヶ岳動物病院の浜田です。よろしくお願いします。

3月11日に起きました東日本大震災で亡くなられた方々、動物たちに心よりご冥福をお祈り申し上げますとともに被災された方々、動物たちに心よりお見舞い申し上げます。

今回は、災害時の動物救護活動、そして災害時に備えてどのような準備をしたらいいかというお話をしたいと思います。

阪神大震災の経験を生かして、動物愛護団体や獣医師会が中心となって緊急災害時動物救援本部が作られ、これが今回の災害でも動物救護活動の中心になっています。活動の流れとしては、活動拠点の設立、物資の輸送、調達、被災地の情報の収集、そしてペット用避難所、一時預かり施設の設置、などを行い多くのボランティアさんたちが奮闘しています。

被災現場での問題点としては、ペットの迷子、物資の不足(具体的にはペットフード、特に鳥やウサギのフード、猫用トイレ砂の不足)。ペットと避難所や仮設住宅には入れない、他の被災者のペットに対する苦情。ケージの不足、さらにペットと車で生活する人のエコノミー症候群などがあるようです。

それでは実際に私たちペットを飼っている人が災害に備えるにはどうしたらよいでしょうか?

災害時にパニックになり行方不明になるペットは多いようです。一番いいのはマイクロチップというその子の情報が入ったカプセルのようなものをあらかじめ装着しておくことですが、最低限名札などを常につけておくべきです。
緊急避難用のセットを準備しておくのがいいですが、その中身は、まずキャリーバッグやケージ、リード、匂いの付いた毛布など。そして数日分の食餌と水。ワンちゃんの場合は数日なら人の食べ物でも大丈夫ですが、猫ちゃんや鳥、うさぎではそうはいきません。

次に排泄用のペットシーツや簡易トイレ。ダンボールや大きなビニール袋、新聞紙などがあれば代用できます。

その他に準備したい物として、ワンちゃんでは口輪やカラー、パニックになって暴れてしまう場合に必要です。

また猫ちゃんでは洗濯ネットが重宝します。さらに薬、特に心臓病や糖尿病などの場合、常に余分に準備しておくことが大事です。ワクチン接種記録などのある飼育手帳のようなものも役立ちます。また、靴や靴下があるとガラスやがれきによる怪我の防止になります。

次に災害時の避難施設でも生活できるように、ワクチン接種やノミ・ダニなどの予防を確実にしておくこと、基本的なしつけをしておくこと、そしてケージの中でもおとなしく生活できるようにしておくことが重要です。

実際に今被災地で活動している方々に感謝するとともに、獣医師会では動物救護活動への義援金も受け付けています。

詳しくは各動物病院の方にお問い合わせ下さい。


●獣医さんは大変!

皆さんこんにちは、八ヶ岳動物病院の浜田です。今回は、「獣医さんは大変!」というお話をしようと思います。

私たち獣医は、いろんな種類・大きさ・性格の動物を診なければなりません。私は以前北海道で大動物の診療をしていたのですが、乳牛でも体重600kg以上700kgを超える牛もたくさんいます。生れたばかりの子牛でも50kgくらいあります。

私が今まで診察した一番大きな動物はペルシュロンという大きなそりをひく競馬で使う重種馬で体重800kg以上、そして一番小さいというとハムスターや小鳥の30g前後です。
ざっと2万7千倍です。

これが動物園の獣医だったら象もいるしもっとすごいでしょうね。

一般的な動物病院でも、ハムスター・小鳥からセントバーナードなどの大きな犬まで、結構なものです。
また、犬といっても、顔の長いボルゾイみたいな犬やパグみたいにつぶれた顔の犬。
ダックスみたいに足の短い犬やグレイハウンドのように足の長い犬など様々です。

さらに、外で番犬として繋がれて飼われている犬やおうちの中でシャネルの首輪をしている犬まで実に様々です。

性格の方も、「先生、うちの子咬むんです、触れないんです」なんていう子から、診察台で尻尾を振って喜んでいる子まで様々です。

また、何といっても一番困るのは、動物たちは喋れない、ということです。

主に獣医は動物たちに注射などの嫌なことをします。

動物たちの表現方法は、怒る、齧る、ひっかく、暴れる、うんちおしっこ・・など。
もっとも、飼主さんの顔を見ながらじっとがまんしているおりこうな子もいますけど。

私たちが実際に診察していて、動物たちが喋れたらどんなにいいかと思うこともあります。
「どこが痛いの?」「何か変なもの食べちゃったの」とか聞きたいことはいっぱいありますね。

一方で動物たちが喋れたら「先生痛い、そこじゃない」とか怒られちゃいそうですけど・・。

動物が喋れない分、五感や検査などを駆使して診断をしていくのですが、もちろんわからないこともあります。

何しろ獣医は内科・外科から眼科、皮膚科まですべての病気をみなければならないのですから。

人のお医者さんですべての科をみる人なんていませんよね。

今や獣医療も進歩してCTやMRI、心臓手術すらも一般的に行われている時代です。

獣医は常に新しいことを勉強していかないといけないわけです。

私も「獣医さんは大変」。なんて言っていないで「獣医さんはすごい」、と言えるように努力していかなければならないなと思っています。


●ペットと暑さについて

皆さんこんにちは、八ヶ岳動物病院の浜田です。
暑さが厳しくなってきましたが、今日はペットと暑さについてのお話です。
自分の飼っているペットたちのルーツわかりますか?たとえば、シベリア出身のワンちゃんを夏の暑い環境で飼ったら地獄ですよね。

シベリアン、アラスカンなんて名前がついていたらわかりやすいですけど、こういう種類は当然暑さが苦手ですね。

一般的には寒冷地ほど動物は体格が大きくなる傾向にあるので、大きな体格のワンちゃんは暑さに弱い傾向にあるといえます。

小さいといえば人気のチワワ、原産国はメキシコです。こちらは暑さよりもむしろ寒がりの傾向があるようです。

犬自体はもともと寒い地方の出身が多いのですが、バセンジーという犬はアフリカのコンゴが原産です。

暑さに弱いと言えば、鼻のつぶれた短頭種といわれるパグやペキニーズ、シーズーなどがいます。

これらの種類中国出身が多いのですが、解剖学的にも呼吸器の入り口付近に問題が多いため、呼吸による体温調節がし難く特に暑い夏には十分な注意が必要です。

また、ワンちゃんは自分の体調などを考えずに楽しければ遊んだり散歩したりしてしまうので、飼主さんがきちんと暑さを考えて管理してあげることが大切です。

ワンちゃんはこれくらいにして、猫ちゃんはどうでしょう?

猫のルーツはアフリカのリビア猫です。したがって猫は暑さには比較的強く、むしろ寒がりなのでこたつで丸くなりますね。

ただ、部屋の中や車の中など異常に暑くなる場所では注意が必要です。猫ちゃんが鼻でひくひく早い呼吸をしていたら相当重症です。

猫ちゃんの場合は暑ければ激しい運動はしないでしょうし、涼しい場所を探してそこで静かにしていることが多いので、そのような環境を作ってあげることが大事ですね。

その他の動物では、もともと涼しい地方に住んでいたフェレットやチンチラも暑さには弱いです。

実際の暑さ対策ですが、一番は環境温度・湿度に気をつけることです。

車の中は最も注意が必要です。

また、散歩などは気温の上がらない早朝や夕方にしましょう。

コンクリートやアスファルトで火傷することもあります。特に背の低い動物は人間よりもずっと暑い場所を歩いていることを忘れずに。

また人は涼しく感じますが汗をかかない動物たちは扇風機では効果がありません。

さらに保冷剤などを使う場合は、動物が齧っても安全なものにして下さい。

保冷剤の中にはエチレングリコールといって中毒を起こす物質が含まれていることもあります。

最後に熱射病になってしまったら、病院にすぐに連れて行くのはもちろんですが、応急処置として体を水や濡れたタオルで冷やすようにして下さい。

命に関わる病気ですから応急処置が大切です。

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