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一口メモ

一口メモ

犬・猫の皮膚病

皮膚が痒い! 暑い季節は皮膚のトラブルも増えますね。

  ●皮膚病はいろいろありますが、今回は痒みを示す皮膚病のお話です。

1. 痒みの強い皮膚病

  • 大まかに、痒みの強い皮膚病としては、外部寄生虫(ダニなど)による皮膚炎、真菌による皮膚炎(主にマラセチアによる)、細菌による皮膚炎、そしてアレルギーによる皮膚炎があります。また、これらの皮膚炎は併発することも多いです。

2. 外部寄生虫による皮膚炎

  • ① 疥癬(カイセン)というダニ(マダニと違って顕微鏡でないと見えません)による皮膚炎はとても強い痒みを示します。
  • 疥癬は皮膚に住み着き主に接触することで感染します。皮膚の病変は主に耳の縁や目の周囲、胸やお腹の下、肘や大腿部などにできます。
  • 皮膚をかきとる検査でダニが見つかればいいのですが、疥癬がいても検査でダニが見つからない場合もあります。治療は殺ダニ剤を使いますが、ダニが見つからなくても疑わしい場合は殺ダニ剤を使ってみることもあります。
  • ② ノミによる皮膚炎も強い痒みを示し、特にノミアレルギー性皮膚炎は腰や背中、尾のつけねや大腿部など主に体の後方に皮膚病変が見られます。
  • 治療はノミの駆除、ステロイド剤、細菌性皮膚炎を併発している場合は抗生剤も使います。

3. 真菌(マラセチア)による皮膚炎

  • ① マラセチアという真菌による皮膚炎は強い痒みを示し、皮膚を検査(スタンプなど)することでわかります。
  • バセットハウンド、ウェスティ、コッカースパニエル、シーズーなどに多く、皮膚の病変は脇の下や内股、頸の下側や四肢の指の間などにできることが多いです。
  • 治療は抗真菌剤を使いますが、この皮膚炎にかかる子は、もとにアレルギーなどの病気を持っている子が多く、この場合それらの治療も必要です。
  • また、適切なシャンプーを使って皮膚を清潔な状態にすることも大切です。
  • ② そのほか真菌によるものとしては皮膚糸状菌による皮膚炎があります。
  • これは人にも感染することがあり、円形の脱毛がみられる場合が多く動物の場合、他の細菌感染などがないときは痒みは少ないようです。

4. 細菌による皮膚炎

  • ① 皮膚の表面だけが炎症を起こすものに、急性湿性皮膚炎(ホットスポット)といって何らかの原因でおこった痒みで舐めたり掻いたりして起こる皮膚炎や皮膚の皺の部分にできる皮膚炎があります。
  • 痒みが強いために舐めたり掻いたりしてさらに悪化してしまうために早めの治療が必要です。
  • 治療は、患部の周りの毛を刈って洗浄、抗生剤や場合によってステロイド剤を使います。また、カラーを装着することも必要となります。
  • ② 皮膚の浅い部分に細菌感染を起こす皮膚炎はよくみられ、スタフィロコッカスという球菌によるものが多く、痒みを示します。
  • 治療は抗生剤の投与とシャンプー療法です。再発することも多く、抗生剤の投与は確実に行うことが大事です。

5. アレルギーによる皮膚炎

  • アレルギーによる皮膚炎の中で多いものは、ノミアレルギー、食物アレルギー、アトピーです。これらが併発していることもあります。
  • ① ノミアレルギー性皮膚炎は2で書きました。
  • ② 食物アレルギー性皮膚炎は、季節を問わない皮膚の痒みを示し、病変は顔面、脇、内股、頚部、四肢、外陰部・肛門周囲などにみられステロイド剤にはあまり反応しません。
  • 治療はアレルゲンとなる食物を与えないことですが、これを見つけるのは困難です。まずは除去食試験といってアレルギーをおこさない特別な食餌を与えてみて症状が治まるかをみます。
  • これには1~2ヵ月くらいかかります、さらにその後もとの食餌に戻して症状が出れば診断できます。
  • さらに原因食物を特定するには1品ずつ食物を加えていって症状が出れば・・・これはかなり大変です。
  • 実際にはここまでする場合は少なく、食餌で維持していく場合が多いです。
  • ③ アトピー性皮膚炎は、多くは1~3歳の若い年齢で発症して、皮膚の強い痒みを示し、病変は顔面、脇、内股、頚部、四肢などで外耳炎、結膜炎を併発することも多いです。
  • また、ウェスティ、シャーペイ、柴犬、フレンチブル、シーズー、レトリバー系などのワンちゃんに多いです。
  • 治療は、併発する細菌感染やマラセチアの治療、シャンプーによる皮膚コンディションの管理、炎症をやわらげる薬剤の投与(ステロイド剤、シクロスポリン、必須脂肪酸、抗ヒスタミン剤など)などを行います。
  • また、アレルゲンに触れないような工夫(掃除や散歩コースなど)も重要です。ただ、この病気は根治をめざすというよりもうまく付き合っていくと考えた方がいいかも知れません。
  • 比較的新しい治療法として減感作療法やインターフェロン療法というのもありますが、これらはどこの病院でも行っているわけではありません。
  • 今回痒みの強い皮膚病について大まかにみてきましたが、他にも痒みを示す病気はあります。皮膚の異常をなるべく早く見つけて治療することが大事です。それには、普段からスキンシップを密にして、毛の手入れ(ブラッシングや暑い時期のカットなど)、皮膚の手入れ(シャンプーなど)をして早く皮膚の異常に気付いてあげましょう。


血液検査

血液検査で何がわかるか?

これを簡単に説明するのは難しいですが、なるべく簡単にします。

まず、血液中の赤血球や白血球、蛋白濃度などを調べて、貧血(血が薄い)や脱水(血が濃い)があるかをみます。

また、炎症があるか、ストレス状態にあるかなどもみます。

次には血液中の酵素や微量な物質を調べて、おもに肝臓や腎臓の状態を調べます。(その他、必要に応じて膵臓や副腎・甲状腺など内分泌の異常や体の中の電解質の状態もみます)

ただ、血液検査で病気がすべてわかるのではなく、体の中に大きな異常があっても血液検査で異常が出ないこともあります。

血液検査でわかりやすいこと、わかりにくいことがあるのです。

たとえば体の中に大きな癌があっても血液検査で全く異常がでないこともありますし、心臓や肺の病気、脳の異常などでも同様です。
 
血液検査でわかりやすいこととしては、貧血、脱水、激しい炎症、激しいストレス状態、さらには腎臓や肝臓の状態、低血糖や高血糖、電解質の異常があります。
 
逆にわかりにくいことは、上記の所見のない病気、病態ということでしょうか。

血液検査についてもう少し…。

  • 血液検査(猫の白血病・エイズの検査)

まず検査で何を調べているかということですが、白血病ではウイルス(抗原といいます)があるかどうかを、エイズでは感染によって作られた免疫(抗体といいます)があるかどうかをみます。では具体的に検査結果を解釈してみます。

  • 白血病の検査 

陽性(+)の場合:検査の時点で白血病のウイルスを持っているということです。つまり白血病に感染しているということです。ただ、感染してもずっと感染し続ける場合(持続感染)と免疫で排除されてしまうこと(治るということ)があります。

感染した猫の免疫の状態によって違うのでしょうが子猫では持続感染になる場合が多いようです。

したがって間をあけて(最低30日といいます)再検査をして陰性になる場合もあるのです。
 
陰性(-)の場合:検査の時点で白血病のウイルスを持っていないということです。ただ、感染してからウイルスが出てくるまでに時間がかかるため、少し前の感染は否定できません。

また、潜伏感染といって体の中にウイルスが隠れてひそんでいる場合があり、それも否定することはできません。したがって間をあけて再検査をして陽性になる場合もあります。

  • エイズの検査
     
    陽性(+)の場合:検査の時点で感染した証拠(抗体)があるということです。ここで注意することは子猫の場合、お母さんの免疫によって感染していなくても陽性になる場合があります。

また、最近出たエイズのワクチンを注射している場合も検査が陽性になります。
 
陰性(-)の場合:検査の時点で感染した証拠(抗体)がないということです。

ただ白血病と同様、感染してから抗体が作られるまでに時間がかかるため、やはり少し前の感染は否定できません。エイズの場合は最低60日で再検査をするのがいいようです。(感染の機会がない猫は必要ないですけど)

  • 血液検査ではこんなことがわかります。参考にしてください。





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